さかさまつげにやられ、目がかゆい。抜いてもかゆい。かきすぎて痛い。
急に冷えて湯たんぽ投入。風邪ぎみなのに体調管理がしずらい気候。
の、割に太る。太った1.5。
やる気降下、ためいきしか出ない。幸せなんて逃げて行く。
微熱が下がらない。右回りに目が回るよー
二十、流れ
どうせなら脱衣麻雀をやろう、と言い出したのは誰かは聞かなかったが、四人とも異論はなかったのだろう。そもそも麻雀も仲間内の恒例の遊びだったし、犯罪すれすれの危ない遊びならこれまでも何度かしていたらしい。
男同士の脱衣麻雀だから、全裸にまでなるつもりもなかった。やり慣れた遊びに適度の緊張感を、という暗黙の了解があり、誰かが負けが込んだらやめるつもりだったらしい。
最初に負けたのは友人で、次に負けたのも彼だった。流れが全く彼になかったのだろう、残りの面子は上着や帽子を脱いだくらいで友人だけは上半身裸だった。とうに靴下まで脱いでいたので、ジーンズのベルトを外したら終わりになるだろう、三人が三人ともそう考えていた。
ところがその局面で場の流れが一新する。あれよあれよという間に彼の手が上がり、気が付いたらボクサーブリーフ一枚、対面にいた仲間が振り込み、そこではっと正気づいたように両手を上げて降参の意を示して終局したらしい。もちろん、友人はジーンズのベルトすら抜いていなかった。
僕が付き合わされた競馬場でも最初友人は負け続けた。かすりもせずことごとく外し、何が面白いのかわからない僕は余分な動作などなく疾走する競走馬の走りをただ見ていた。
最終レースの手前くらいでようやく友人はひとつ当てた。それでも明らかに負けたほうが多く、最終レースにも期待はしていなかった。しかし、そのレースで彼は負け分を取り返し、夕食を奢ってくれるくらいの勝ちを稼いだ。
悪友である彼はそういう人物だ。
最後の最後、危なくなったら本気を出す。運を掴む。流れを寄せる。
それまでは端から見ていてもやる気がないかのように欲がない。暇を潰す遊びは好きだが本気にはならない。それは自分に対しても他人に対しても同じだ。
だとしたら、彼にとって僕の今はそれ程までに崖っぷちなのだろう。
「…僕は、そんなに危ない?」
「ああ」
即答され苦笑いした。
「きみには言われたくないと思ってた」
「もっと賢いと思ってたよ」
「…よくわからないな」
「自覚してないだけだろ」
自覚?
「きみにはわからないよ」
「わかりたくもないけど、な」
「…じゃあ、ほっといて」
彼の手のひらが僕の目元を覆い、視界が遮られた。冷たい手のひらに僕は熱を出していることに気づく。手足の指先は眠ってしまったかのように感覚が消えているのに。
「出来るもんならしてる」
いや、してた、か。彼が低く呟いた。