つづくことば213


次の言葉の続きを考えましょう
詩や小説のタイトルにするのも可
⇒お家に着くまでやってみます(・ω・´)
カプごちゃごちゃssなので地雷ある方はダメカプのところをスクロール推奨。
推敲ゼロですので、誤字脱字には目を瞑っていただけると嬉しいです(><)
では、参ります!


*空は冷たくて
⇒親光

「降ってきましたね」
凍るような海風の吹く船上で光秀は薄暗い色の空へ向かって手を広げる。
ちらちらと空から落ちてくる白い結晶の一粒を手のひらに乗せ、明るい笑顔で此方を振り返った光秀に笑みを返すと元親は光秀の黒髪に降りた幾つかの結晶を優しく手ではらってやった。
「そうだな」
柔らかい粉雪を美しい肢体のあちらこちらに纏い立つ姿は雪の精にも似て、息を止めてしまうほどに清廉で…。
そっとその頬を撫でて微笑む。
「…綺麗だな、光秀…」
「……え…」
一瞬ぽかんとして直ぐに顔を真っ赤に染めた光秀を愛おしく見つめ、その唇を親指でツッと押すようになぞった。
「そろそろ中へ入ろうか、光秀」
風邪を引く、と付け足して向きを変え、船室へ歩きだすと慌ててついてくる足音。
その足音が追い付けるくらいの速度で歩いていると、トンッと軽い衝撃が背に訪れた。
「どうした、光秀」
此方の腰に回っている光秀の腕を伝って指を絡めるとその手を自分の口元まで持ち上げ、軽く彼の指を食む。
「ん…っ」
甘く鼻を抜けた光秀の声に気を良くしてそれを何度も繰り返していると光秀は違うと言うかのように首を振って背を叩いてきた。
「っ…元親殿っ」
「なんだ?」
嫌がる声も愛らしいな。
軽い抗議まじりの光秀の声にも動じずににやにやと笑いながら指吸いを続けていると急に後ろから襟巻きを引かれた。
「く…ッ…、雪の船上での心中…か…、悪くない…な…」
「なっ!!ち、違います!!」
慌ててパッと離されたそれにつまらない…と息を吐く。
「未来へ回向し後の世も一つ蓮ぞやと、と行く気ではなかったのか?」
「違いますよ!!元親殿が寒かろうと心配しただけです、私は!!」
「…は?」
「で、ですから私は貴方のお支度が寒そうだなと思って…!!」
…ああ、成る程。自分の身体で俺を覆い風避け代わりになろうとした訳か、光秀は。
先程の彼の行動の理由が判るとその行動の愛らしさに内心笑みが浮かぶ、…が。
「なんだ…。誘っていた訳ではないのか」
「さ、誘ってなんかいませんよ!!」
「そうか…。残念だな」
「残念がらないでください!!」
ぽこぽこと一生懸命反論してくる光秀の手をギュッと引き、自分の前に移動させてその額にチュッと口付けた。
「?!…も、元親ど…」
「まあ、どちらにせよ、俺は興が乗った」
「…へ?」
「ヤるぞ」
「はいい?!!!」
絶句している光秀の腕を引いて船室へ向かって歩いていく。
こんな寒い夜にすることといったら一つしかないしな。少し時間が早い気もしないではないが大して問題にはならないだろう。
なんだか悲痛な声が聞こえるような気もするが、まあ、気のせいだろうと思うことした。


*冬の気配は
⇒信光

緩やかな空気の春
煌めくような夏
穏やかな世界は秋
…では冬は?
「極寒、です」
「ほう」
どてらを羽織り丸まってぷるぷる震えている光秀を抱え込むように火鉢に当たりながら、信長は面白そうにクックッと笑った。
「それにしても、光秀が斯様に寒を厭う質だとは思わなかったな」
「わ、笑わないでくださいっ!私もある程度は我慢できますっ!…けど、今年の冬は…」
「まあ、いつになく寒くはあるな」
「……はい…」
深ーいため息と共に紡がれた二文字に苦笑を返すと信長は猫の仔のように丸まった光秀の腰を抱え直した。
「ほら、もう少し寄れ」
「はい…」
火鉢を少し自分の方へ引き摺って信長の腕に収まり直した光秀の髪を優しく梳く。
「…こんなに乾燥しておるのに、うぬの黒髪は傷みを知らぬまま、か…。愛いな」
「はぁ…、ありがとうございます」
「これだけあれば襟巻きにも出来ような」
「はぁ…、……え?」
「どれ、こんな感じか?」
「ちょっ…、信長さまっ!!」
自分の髪を首に巻き付けられて嫌がる光秀を面白そうに観察していると、嫌々をしている首に掛かった乱れた髪が異様に色っぽく見えて…、気が付けば唇を寄せていた。
「っく…ん、信…長さま…っ」
甘やかな声が漏れた唇までなぞり上げ、ゆっくりと唇を重ねる。
角度を変え、焦らすように何度も唇を重ねる間に、縋るように此方の袖を掴んできた手が愛らしくてその背を強く抱き寄せる。
「ん…っ、…ぁ」
「…愛い、光秀」
「信長さま…」
口付けを解き、彼の美しい肢体を隠している帯も解いていく。
火鉢の側から自分の方へ倒れこませるようにして火元から遠ざけ、己の熱で暖めて…。
冬の気配をその思考から追い払ってやろう。
そう、声に出さずに呟き、ゆっくりと甘い肢体を開いていった。


*君といれば
⇒三光

『顔見りゃ苦労を忘れるような
人がありゃこそ苦労する』
――君といれば苦労も忘れる。
そんな君がいるからこそ、苦労もする。
「…まあ、だからといって手放す気など微塵も起こらんがな」
そう言って微笑んだ三成はいつもより何だか眩しく見えて、思わずため息が出た。
それは、久方ぶりの逢引きの別れ際。何気なく告げられた愛詩。
普段、甘い言葉なんて滅多に口にしない彼の素直な想いが暖かくて、心底愛おしい。
「……『嫌な御方の親切よりも好いた御人の無理が良い』」
――嫌な方がしてくださる親切な行為よりも好きな方が仰る無理の方が何倍も嬉しい。
…だから、完全には無理でしょうけれど、貴方の苦労を少しでも減らしてあげたい。
そう、言葉に含めて微笑み、告げると、苦笑した三成に抱き締められ、口付けられた。
百万言より愛おしいそれに頬が緩む。
唇を離し視線を絡ませると、互いに笑いあいじゃれあった。
一緒に生きていくことの難しい私たちだからこそ、そのなかで生き抜いていくことの苦しみも、喜びも知っている。
邪魔をされながらも愛を貫くことの厳しさを忙しいなかで逢引きを重ねることの大変さをお互いに身に染みて解っているから、余計に互いを大切にしあえる関係だってある。
そう思えるようになったのはきっと、彼と歩んでいくと決めたから。

→続きは追記