『すねて片寄る布団のはずれ
惚れた方から機嫌とる』


好きな都都逸のなかの一つです(´ω`*)



―――……


「っ…なんで解らないんですか?!光秀さまの分からず屋っ!!」

「ちょっ、なんでそんなにつんけんしているんですか、蘭丸」

「つんけんしていて悪かったですねー。ものすごく鈍い恋人を持って苦労してるもので」

「なっ!いくらなんでもその言い方はないんじゃないですか?!」

「他に言い様がないんですから仕方ないじゃないですか」

「……っ、蘭丸のおたんこなす!」

「なんですって?!この鈍ちん!!もう光秀さまなんて知りません!!」

「っ…私だって蘭丸なんて知りませんっ!!」

お布団の中で小さな口喧嘩をして、二人して「ふんっ!」と布団の両脇に寄っていく。

だけど、さっきまですぐ傍に触れていた熱がなくなって、なんだか妙に寒くて…。

(…ちょっと、言い過ぎたかな…)

時間の経過と共に落ち着きを取り戻していく思考と心と身体の寒さでいろんなことが馬鹿らしくなってくる。

すると身体は自然に布団の反対側へ向いて、すすす…と寄っていって。

布団の隅っこで小さくなっている恋人を抱え込むように抱き締めて、その手を握る。

「…手、冷たくなってますよ。ちゃんと掛けなきゃダメじゃないですか」

「……いいんです。…蘭丸は私のことなんて知らないんでしょう?…なら、どうなろうと知ったことではないでしょうが…」

ふんっ…と、そっぽを向く恋人をギュッと腕の中に閉じ込めてその首筋に鼻先を寄せた。

「どうでもいいわけないです。…貴方は私の大切な恋人なんですから」

「っ…そうやって丸め込むんです、貴方は!いっつも私の気持ちなんて全部無視して!」

「ごめんなさい…、でも、貴方だって悪いんですよ。他の男に好意を寄せられて突き放しもせずに好きにさせているなんて…」

恋人が他の男に抱き付かれて平気なようならそれはもう冷めてる証拠です。

そう言ってギュッと腕に力を入れると、繋いだ手が握り返してきた。

「…すみません…、そう…ですよね。次からはきちんと固辞するように心掛けます…」

「そうしていただけると大変助かります」

「はい…」

しゅんとした空気を纏った光秀さまに、苦笑してその首に後ろからチュッと吸い付く。

ふる…と小さく身を震わせたその背を優しく抱き締めて絡めた指に目をやる。

この方は他人からの視線に疎い。
それを知っていて付き合い始めたのだ。
こんなことにいちいち目くじら立てても仕方ないと解っている。
けど…、嫌なものは嫌だ…。

気付かれないように息を吐いて、ゆっくりと笑みを浮かべた。

…悋気を抱かないようならもうおしまいだと人は言うし自分もそうだと思う。だからこそ苦労もするし心も痛める。

なら、光秀さまを愛している限り同じようなことを何度となく体験するから、私はこの方を嫌いになるのか?…答えは否だろう。

どうしたって嫌いになんてなれるわけないし離れることなんて考えられない。

きゅ…と私の衣の裾を掴んできた手に苦笑を漏らして光秀さまをくるっとひっくり返し、正面から抱き締めた。

ほんと、適わない。

「…致します?」

「……蘭丸がしたいなら…」

控えめなおねだりの仕方や、この手の起こす小さな仕草の愛らしさを知ってしまったら、もう離れられるわけないじゃないですか。

「…じゃあ、しましょうか」

「ん…」

恥じらうように逸らした視線とは裏腹に私の袖を握って離さない、この手が愛おしい。

宥めるように一つずつ愛撫を重ねていって、少しずつ貴方を腕の内に引き込んでいく。

そんな幸せを感じながら、私は静かに夜に身を浸していった。


……―――。

って感じですかね。

ふう…。やりきった…。←

本当は都都逸しか書かないはずだったんですが、気付いたら孟宗竹くんが出張ってましたm(__)m申し訳ない。


それにしても最近の日の入りは早いですね。もうお空が橙色がかってますよ。

ヤクPowerでだいぶ楽に過ごせてはいますが、さて学校へは行けるかどうか…。

…取り敢えず、定期的に訪れる目眩だけでも収まってくれることを祈りますです。