8/6 00:58拍手コメントよりリクエスト。
タイトルのまんま、最初から最後までエロしかありません。
裏ですので閲覧にはご注意下さい。
決して狭くない、むしろ一般的な感覚からするとよほど広いと言えるその空間に、肩を寄せ合って入る必要などない。
だと言うのに二人はぴったりと肌を密着させ、およそこの場に相応しくない行為に耽っていた。
普段なら、時折天井から落ちる雫が立てる小さな音も風情だと思えるほどの静かな場所に、今は悩ましげな吐息と水面のさざめきが響いていた。
「んんっ……は、あ……」
バスタブの縁を握り締め、白い喉を反らせてユーリが喘ぐ。
背中に感じるのは湯の熱さではなく、恋人の体温。
首筋に感じるのは湯気の柔らかさではなく、恋人の息遣い。
上昇する体温に比例して荒くなる呼吸に興奮を煽られ、フレンは手の動きを加速させた。
ばしゃん、と水を跳ねさせてユーリの身体も跳ねる。
「うあ……!!っちょ、そんな動かした…ら、出るッ、て!!」
「ん…?いいよ、出して」
「あぁッ……!」
左手で根元を揉み込み、右手で激しく扱くとユーリの腰が浮くのを、更に強く腕で挟み込むようにして押さえ、肩に張り付く黒髪を掻き分けるように舌で撫で上げた。
絶頂を堪えるユーリの呼吸が奏でる不揃いのリズムに、フレンの理性も狂わされていく。
「なんで、我慢するの」
「ふぁ…あッッ!だ…って、ここで出したらッ!!っン、も…入れな……あ、ああア!!」
「いいってば、シャワーあるんだから…!」
ほらイってよ、と耳元で囁かれてユーリが全身を強張らせた。
バスタブに食い込まんばかりに爪を立て、縁に頬を押し付けて背を反らす。ユーリの根元を弄っていた左手をさらにその奥に滑り込ませ、皺を伸ばすようにぐるぐると動かし、少しだけ中に潜り込ませるとユーリの声が一際高くなった。
「あ、ふッ、ぅあ、ダメ、も……ッッ!!」
「ふ…、ユーリ……!」
激しく波立つ水面から伸び上がる上気した身体をびくびくと痙攣させて、ユーリは自らの上げた嬌声の残響を感じながらぐったりと背後のフレンに身体を投げ出した。
吐き出した白濁が目の前に漂うのが正視出来ずに顔を背けると、耳元に小さな笑い声が聞こえてユーリはますます顔を赤くした。
湯から上がっても、フレンはユーリを解放しようとしない。
浴室の床に向かい合わせで座るユーリと互いの脚を腰に絡ませ、背中に回した腕でユーリの身体を支えながらもう一方の手で器用に石鹸を泡立て、それをユーリの身体に塗り付けていく。
単に身体を清めるに留まらない手つきにユーリは表情を歪ませた。
「はっ、あ、も…普通に、洗えよ…!」
「この体勢が既に普通じゃないと思うけど」
「あの、な…!もうダルいんだって…!」
「…そうなのか?さっきのでのぼせたのかな」
ユーリの呼吸は荒いままで、身体もフレンが支えていなければそのまま後ろに倒れてしまいそうだ。
フレンは更に身体を前に寄せ、絡めた脚に力を入れてユーリの腰を引き寄せた。
あっ、と小さな声を上げたユーリがフレンの肩にしがみつくような格好になり、フレンはその背中を抱きながら、突き出されたユーリの尻の谷間に泡塗れの指を滑り込ませる。
「ひあ……ッ!」
フレンの肩に額を押し付けていたユーリがぴくりと震えて顔を上げ、耳に届いた小さな悲鳴にフレンは目を細めた。
「…まだ、奥まで触ってないのに…今日はやけに可愛らしい声を聴かせてくれるんだね」
「は…っ、だか、ら…力、入らな…」
フレンは指を進めた先、湯の中でも軽く触れた部分に力を込め、今度はゆっくりと、しかし一息に人差し指を埋め込んだ。ユーリの身体が先程より大きく揺れる。
「んああぁ!!」
「泡のおかげでよく滑るね…気持ちいい?ユーリ」
「っ、ちょっ…やめ、頭に響く…」
「…まだ一本だよ?具合悪いなら早くしたほうがいいかな」
人差し指をぐるぐると動かしながら、続けて中指を差し入れた。温まって柔らかくなった内側は石鹸の泡の力も借りて潤いを増しており、三本目の侵入も容易く受け入れてなお物欲しげに蠢いている。
「柔らかい…今日、凄く熱いよ」
「ぃやっ……め、あッん、あ、ア!!」
フレンの肩に顔を押し付け、苦しげに息をつきながらも指の動きに合わせて揺れる腰を見下ろし、フレンは喉を鳴らした。
白い肌はすっかり薄紅色に染まっている。
湯で温まっているのと快楽によるもの、どちらが強いのだろうかと考えながらちらりと視線を横に向けると、苦しげに眉を寄せ、瞳を閉じて肩に顔を押し当てるユーリの様子が目に映る。
上気した頬にかかる濡れた髪はより艶やかさを増してユーリの肌色を引き立たせていた。
べったりと張り付く髪を払う事なくフレンに身体を預け、薄く開いた唇からは浅い呼吸を繰り返して肩を小刻みに震わせる姿はいやらしくも可愛いもので、ユーリのこのような表情を見られるのが自分だけだという事に、フレンは至上の喜びを感じる。
だからこそ、こうしてたまに会えば激しくユーリを求め、新しい表情や仕種を見つけたくて仕方ない。自分しか知り得ないユーリが増えていくという事は、それだけユーリと自分の繋がりがより深くなる事なのだとフレンは思っていた。
「う…ぁ、フレ…ン、オレ、もうマジで頭が、くらくら…する…っ」
ユーリが僅かに目を開けて、上目遣いで必死に訴える。その表情も堪らなくそそられるが、ここで本当に倒れられてしまうのはフレンとしても本意ではなかった。
本当は、このままユーリに自分の欲望を突き立てて浴室中に響き渡る嬌声を堪能したかったが、仕方ない。
埋め込んだ指で内壁をぐるりとなぞり、位置を確かめてから一点に指先を集中させて強く擦るように押し付けると、途端にユーリがフレンの腕の中で大きく身体を弾けさせた。
「んあぁッ!?う、アあ――――ッッ!!」
「く……」
フレンの腹に熱い感触が広がり、びくびくとユーリが痙攣する度に、ユーリから放たれたものの残滓がフレン自身にも降りかかる。
密着させた下腹部から伝わるユーリの熱に嘆息していると、急に身体にかかる重さが増した。見るとユーリは肩を掴んでいた両腕をだらりと投げ出し、ぐったりとして上半身をフレンの胸へと投げ出している。
「ユーリ?ユーリ…大丈夫かい?」
「…てめぇ…」
僅かに顔を上げただけで恨みがましく見上げてくる額に口づけを落とし、フレンはシャワーを手に取った。
殆ど水に近いぐらいの温度に調整してからコックを捻り、まずは自分達の足元から洗い流していく。
「…ユーリ、少し身体を離してくれないと、ちゃんと流せないよ」
「…あー…、冷てえな…」
「気持ちいいだろう?ほら、前も流すから起きて」
相変わらず自分の胸にもたれ掛かったままのユーリの肩を軽く押すが、ユーリは怠そうに唸るだけで動かない。ユーリはあまり自分から事後の触れ合いを求めるほうではないので、不思議に思ってフレンはユーリの顔を覗き込んだ。
「…ユーリ、どうしたんだ?本当に具合悪くなった…?」
確かに具合は良くねえけど、と前置きしてユーリはフレンから顔を反らし、ぼそっと呟いた。
「………腰、抜けた」
身動きの取れないユーリの身体を清めてから、フレンはバスタオルで包んだユーリを抱き上げ、下ろせと喚く抗議の声を無視して寝室まで運んだのだった。
ベッドに横たえたユーリはまだ身体が怠いらしく、しどけなく四肢を投げ出して胸で息をついている。
冷たいシャワーで流したのにも関わらず火照った身体は桜色に染まったままで、フレンは堪らずにその身体に覆い被さると何かを言いかけたユーリの唇を自らのそれで塞いでいた。
抱え上げた両膝の間に身体を割り込ませ、ユーリの後孔を貫く。既に充分解された孔はフレンの猛りを易々と受け入れ、根本までを一息に飲み込んで強く締め付けてくる動きに否応なしに昂ぶる衝動を抑えられず、激しく腰を打ち付ける。
熱い。
繋がった内側も、互いの吐息も触れる肌も、室内の温度さえ上がっているように感じる。
「はっ…、は、ユーリ、熱い……!」
君は?と聞いてもユーリは首を振るばかりで、意味のある言葉は出て来ない。
閉じられた瞳の端から流れ落ちる涙を舐め取り、開いた唇の端から零れる涎を舌で掬い、唇を重ねてさらに口内を貪るように差し入れた舌で掻き回す。
「んん、んッふ、ふぅっ、んんッッむ、うぅんン!!!」
鼻から苦しげに漏れる息がかかるが、それすら熱い。
口内は言うに及ばず、塞いで埋め尽くして、ただひたすら突き上げる自身を包む全てが熱い。
文字通り熱に浮かされながら、最後にユーリの中へも『熱』を注ぎ込んだ。
ユーリからも『熱』が散らされる様を見下ろしながら、このまま溶けて一つになれたらいいのに、とぼやけた頭の片隅で考えていた。
※※※※※※※※※※※
「………………」
「満足か」
「はっ!?ああユーリ、僕達は幸せ者だね!!」
「達、じゃねえ。とりあえず鼻から口からいろいろ出てるもんを拭け」
「あれだけ好き勝手ぶっちゃけた妄想を実現してもらえる機会を与えてもらえるなんて、本当に僕達は幸せだよね!」
「達、じゃねえ。おまえは鬼か。具合悪ぃっつってんのに容赦ねえな」
「そういう状態でもないと君を好き放題するなんてなかなか難しいよ」
「普通にしろよ」
「そうじゃなければ縛るとか」
「人の話を聞け!!」
「ちょっと恥ずかしかったけど、カミングアウトもしてみるものだね!」
「……………次はねえからな!!」
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終わり