スグルさんが
また来た



もう川越に
帰ってきたらしい




何故か
お店に入って来る前から
ニヤニヤしてて
その顔みてたら
アタシまで笑えた



ドアを開けて
入ってくるときに
ワザとオーバーに
わぁっ!!ビックリしたー
みたいに
驚いてるところが
相変わらずだと思った



スグルはヒモになったら
一生女が養なってくれるょ
って言われたことがあるらしい





確かに
このルックスと
芸の細かさと
母性本能くすぐる仕草があれば
どんな女も落ちる気がする




店内を足早に一周してくると
最後のレジまでの
直前距離を
やたらガシガシと
歩いて向かってきた


顔はあの
余裕たっぷりの
表情で
薄い唇が
アヒルみたいになってる



「なに笑ってんの」
スグルさん特有の
癖のあるイントネーションが
余計笑えた

ホントに帰ってきたんだな
この人



いえ、べつに

そう言いながら
コーヒーをスキャンしていたけど
堪えられなくて
ちょっとの間
お互いクツクツと
声を挙げないようにして笑った




「なんか今日僕、ホントはお休みだったんですけど、さっき呼び出しかかってこれから仕事ですょー」

そう言って
スグルさんは
うつ向いた

頬が赤い


「(メンバーの)誰か車にひかれたんだってー。僕、お酒飲んでるんですけどねー。大丈夫かな、これ」

相変わらず
無責任な感じで
呆れた
また笑えた


お仕事頑張って


やっとのこと
そう言うと
スグルさんはニッと
笑って
「うんっ、ばいばい☆」
と手を振った




もはや
懐かしいとか
そんなレベルぢゃないな