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今夜僕は君だけのための 追い風になることを誓うよ

「もったいないよ」



ゆうきが言った


「まゆみの生き方はもったいない」





バイトが終わって
外に出たら
雨が降っていた


mixiに
突然の雨のことを
書くとゆうきがメールをくれた


車を出してくれる、とのことで
どうしても濡らしたくない荷物があったから
ありがたかった



「もったいない」


ゆうきが
タバコの煙りを
吐き出しながら言った


アタシが喘息なことを
知っているので
窓を少しだけ開けて
そこから
煙りを流してくれていた


アタシは
もったいないなんて
思ってない


そう言うと
ゆうきは
ちょっと笑って


「もちろんオレの価値観だから強要はしない」



「だけどまゆみは良い子だから」



ゆうきがタバコを
潰した


そういえば
鈴木さんにも
良い子、と言われたことがある


良い子ってなんだろう



良い子だと何が
もったいないんだろう



そもそも
この人は
アタシのどこを見て
良い子と言ってるのだろう


アタシは
黙ったまま
窓の外を見た


コンビニの
強すぎる灯りが
窓の雨に滲んで
揺れてる



アタシのこと
何にも知りやしないのに



送ってもらった恩が
あるにもかかわらず
アタシは少し
イライラした


最近のアタシは
何にでも
イライラする



アタシは
ゆうきが思うほど
自由ぢゃない
思い通り生きてないし
友達だって少ない


幻想を褒めないで


余計イライラするから




そう言いたいのを
抑えて
アタシはくしゃみをした

そしたら不思議とイライラがどうでも良くなってしまった
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