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無視覚

目が痛くなって
コンタクトをとった
遠くは見えないけど
全く見えないというわけではないので
困らない
ただ人は判別出来ない

トイレから出ると
裕人が待ってた
始めはぼんやりしていたけど
徐々に近づくにつれて
顔がハッキリした

並んで歩くと
一番近くにいる裕人の顔だけがハッキリ見えて
後のものはぼんやりしていた
人も建物も霞んで映る
裕人だけが視界にクリアに映った

気がつけば自分の気持ちを
洗いざらいに話してた
コツコツ稼いでる単位とか
煩わしい人間関係とか
アタシは裕人に生かされてることとか
見えない分何でも話せたと思う
そこは確かに通い慣れた道であるのに
全く違うものに見えて
人間の視覚は
なんて適当なものなんだろうって
思い知らされる

裕人は
アタシの話をみんな聞いてくれた
本人ですら
何言ってるのかわからなくなるような話をしてくれた
化粧のおちかけた
汚い顔にもキスをくれた
彼は彼が言うほど
嫌な人間じゃないことを
アタシは知ってる

夢じゃなくてリアルがほしい
夢みたいな感情や物語より
生々しいくらいの現実の方がずっと信じられる

夢を語るのは
もうウンザリだ
痛いくらいの現実がほしい

アタシはアナタより
いくつも体のパーツが欠けている
気づいているかなぁ
アタシはキミの知らないことを
したことがある
…お見通しだろうな

愛は夢だろうか
勘違いであることは間違いない
だけど
その勘違いに生かされてる人間もいる

欠けているところを
埋め合えてるって
勘違いをする

だけどアタシは
生きてる
生かされてる
生きてていいよって
言われてるような気がする


抱きしめられるとき
アタシは触れたら崩れるガラス細工みたいに
一瞬にして粉々になる
目をつむって
いないと
繋がれた繊細なチェーンを
全て手放してしまいそうで。。。
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