「かお の ない ゴースト」
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トキ音オンリーワンドロ10月のお題
『ハロウィン』をお借りしました。
前回に引き続き、薄暗い内容になっています。
Keyベースでいつもお借りしていて、説明大いに端折っているので、どれも意味不明すぎてホラーになる。
以下補足蛇足と、大元起こしていたプロットも放り込んでます。
2023-10-29 20:07
ハロウィン
23日時点でだいたい書くこと文字起こしして、やっぱり絵で行こう、となった24日、唐突にシンエヴァの映画を見始める。本屋でも目についた本が今自分に必要な本である、といわれているように、唐突にエヴァが目に入り、もしかしてコレが今私に必要なものなのか…と思い見始めた結果、楽しかったけどやっぱりわからない。でも一ノ瀬さんは音也がいなくなるとゲンドウ方向に傾きそうだな、と思いました。最愛の人に会うためのシステムを作り出しそう。
最近『屍者の帝国』とか『黄泉がえり』といった本を続けざま読んでいるので、どうしてもそっちの方に思考が引っ張られる。
ゴーストの元ネタは『ア・ゴースト・ストーリー』という映画です。分かる人は一枚目で察するかもしれませんが、見づらいですが上の添付のような表紙の映画です。本編うろ覚えのため見返していたら(ワンドロ中に映画を2本見ている時点でワンドロではない)、記憶以上にゴーストさんいっぱいいましたね。立ち姿と、壁のメモをとったら消えた覚えしかなくて、改めて見ると亡き人どうのこうのの物語ではなくかなり大きなスケールでした。冒頭で「夢から醒めるとき、扉が閉じるような感じ」といっていたので、今後参考にしたいです。
宇宙の話をしている時にこれつまりそれよー、って思ったのに、なんて言ってたか思い出せません。人はどう存在を残すか、という旨の話でした。記憶とはどうとでも繋がっていく、それが存在すること。
静かに過ぎていく映画なのでもしよければ御覧ください。アマゾンプライムに字幕版なら今もあるはずです。
「土に指をつっこんで穴を掘るように、穴につっこみ掘る」といっていたのは覚えている。そこんところは、はい。
オマージュ等はできなかったため、立ち絵のみお借りしました。
セシルの誕生日のオバケくんは、2013年10月31日のプリツイより。最終的におんぷくん顔ではなく、穴開けてちょび髭つけたゴーストになっていたのはプリツイログ本以外でどこか見ることができるのかちょっとわかりませんが、それです。
一ノ瀬さん、コーヒー淹れているのにいまから音也の家にいくんかーい。
コレに関しては、大元コーヒーを啜りながら話していたのが、紆余曲折で淹れれるだけになり、結果音也の家で一緒に楽しむ方向です。
ハロウィンの「死者が戻ってくる日」的な方向性でいったので、トキヤのいう「貴女」は一十木のお母さんのことです。ロザリオがお母さんのものと知っているKeyの時空です。
Keyでオルフェの話をしたり黄泉がえりの話をしたり、そこのところとリンクしているので相変わらずわかりずらい。
大切なこと。
二人はまだ同棲して
おりません
今更余談ながら、台風の日の話も、同棲していません。面倒で説明は背負ったので(いつもそれ)、停電のとき、音也は身動きがとれず、一ノ瀬さんはすぐに音也の方に迎えたのは、あれが一ノ瀬さんの家だからです。食器の心配はもちろんのこと、音也が怪我しないようにとおもって動くなっていったんですけど、そんなの直球で言えやって話ですよ。
まだ、同棲してないの?(ホラー)
以下プロット。
『子どもたちと施設のハロウィンイベントに参加するのに、衣装をつくってるんだ』
「それで?あなたは何になるんですか?はやりジャックオランタン?」
『顔出しできないからね。それも考えたんだけど』
施設に顔を出したときに、流れでそうなったらしい。
そう話しつつも、携帯の画面は、音也の部屋の脱ぎっぱなしの上着とソファだけを映している。
ビデオ通話してもいいかと言われたのに、顔が写ったのは一瞬だけだった。
見せたいものがある、と言う割に、見たい顔は枠の中に収まっていない。
アイドルとして活動していても、時折施設に訪れては手伝いもしている。
今年のハロウィンもそうだ。
さすがにアイドルとして仕事をしている手前、騒動になってはいけないから、顔がバレないような仮装をするつもり、という。
『俺もいた時はお菓子をもらいに回ったんだよ。トリックオアトリートって。大人のひとはね、「ハッピーハロウィン!」って返してくれるんだ。手作りのお菓子もあったし、よく見るお菓子もあった。籠いっぱいになると嬉しくて、参加しなかった子どもたちにも分けてあげるんだ』
当時のことを、楽しかったという。
その思い出を語るのは、それを知っている相手だけ。
『でも、ハロウィンって日本のお盆みたいなものなのにね』
まだ、音也が施設出身なことは公にはされていない。
どんな家族構成なんだろう?や、両親のどちらに性格がにているのかな?と特定のファンの間では、あまりにも家族のことを話さない彼に対して憶測が飛び交っているのも確か。
音也自身、話題が出ても一切触れない。こちらも驚くほど、そういった話題が出たときは違和感なく、別の話題に変わっている。
『トキヤ何してるの?』
「珈琲を淹れています」
珈琲を淹れながら片手間に耳を傾けると、「いいなー俺もカフェオレ飲みたい」「ちょっと待ってね、あともうちょっとでできるから」「ココで一曲。何聞きたい?」とふわふわとした会話が続く。
疲れた体に、その緩やかさが心地よく、珈琲の香りと生活音が、仕事と切り離された時間をくれる。
『トリックオアトリート』
トリックオアトリート
おかしをくれなきゃ
いたずらしちゃうぞ
『でもさ、お菓子もうれしいけど、会いに来てくれたら嬉しいって思うんじゃない?』
ふと背筋に冷たいものが走った。
『トキヤ、覚えてる?』
『コレ』
珈琲をあと一巡り、淹れたら、その声に答えようと思うのに、どうしてだか、そちらを見たくはなかった。
じっくり最後の一滴まで注ぎ、抽出された雫を見送る。
黒を眺める間、画面の向こうからは催促なく、もはや身動きの音すら消えている。
コレ。
眼球だけ動かし、小さな窓へ視線をやる。
それは、布に2つの穴を開けただけのシンプルな作りだ。至極シンプルで、この時期に見かけることだって多いはずなのに。
会イニ 来テ クレタラ
『セシルの誕生日のときのオバケくん!アレの改良版だよ。目のところ黒ビニール貼ってるからちゃんと見えるんだ!どう?』
「…………どう?と言われましても……映っていませんよ」
『あれ?おかしいな。俺の方からはちゃんと映ってるんだけど』
真っ白なゴーストはゆらゆらと揺れながら画面の向こうで彷徨う。
違う。映っていないのだ。
『通信状況が悪いのかな?ちょっとまってね』
「脱ぎ散らかした服は見えていますよ」
『どうしたんだろう?えーっと……』
2つの黒い穴は、本当に真っ黒で、その向こうの姿すら映さない。
ゴーストは彷徨う。
帰ってくる人に紛れていたずらをしにくる。
いないはずなのに。まだ。
知っている声すら、違うように聞こえる。
トリックオアトリート。
いたずら か、ほどこしか。
おとや
佇むだけのゴーストが、命あるように動く。
白い布の向こうから、髪の毛があちこちにはねている見慣れた困惑顔がみえた。
無意識に止めていた息が、体から抜けていく。
心底ほっとした。
自分でも笑えるくらい、ほっとしたけれど。
彼の首に揺れる存在が目に留まる。
「あぁ、いますね。髪の毛のボサボサないつもの顔が見えていますよ」
『良かったー』
「なんだったんだろうね?」と言いながら、安心したようにこちらに姿を表す。
先程まではいなかった。
一ミリも、自分の知る彼の存在がどこにもいなかった。
2つ穴の向こう側に、その瞳さえ見えれば違ったのかもしれない。
よかった。
そう思ったのは私も同じだ。
私の知る彼がそこにいる。
「ゴーストはやめておいたほうがいいのでは?その大きさだと子どもも怖がります」
『やっぱりこれちょっと怖いかな……ってかやっぱ見えてたじゃん!』
「本当に見えていませんでしたよ」
トキヤにいたずらされたー!と喚く姿にそう答える。
愛嬌があるといえばある。
恐怖を感じるといえば感じる。
いるのかわからないといえば、たしかにそう。
あなたの姿はどこにも見えませんでした。
私の知っているあなたの姿は見えないのだ。
間違いは言っていない。などと、屁理屈だとはわかっている。でも、こちらとて、いたずらを受けた気分だ。そう思うのは心が狭いだろうか。
『え……怖くなってきた……』
なんだろう?そんな不具合ある?と己の部屋の中を見渡す顔は、冗談抜きで不安そうにしている。怖がらせたことはいささか申し訳ないと思うが、怖いと思うなら好都合。
「怖いなら側にいましょうか?」
その言葉に、喜色満面が映る。
『来てくれるの?手伝ってくれる?』
「いいですよ。お詫びに」
『??とにかく、待ってるね』
早く来て、というふうに急ぎ足で切られた通話に顔が緩む。
淹れた珈琲はボトルにでも淹れて、彼が飲みたいといったカフェオレが作れるように携えていこう。
お詫びの意味を、理解はしていないだろうから。これから別の仮装でも作るのだろうか。
前もあれこれ口出しをして、結果手伝ったようなものだ。ちゃんと彼へのお菓子も用意しないと。
だからちゃんと待っていてください。
会イニ 来テ クレタラ
私にはまだ帰ってきて欲しい人はいませんからね。
画面の向こうはゴーストを装うだけの姿。
彼はゴーストではない。
あんな姿では、きっと彼は仲間と思って連れて行かれてしまう。
誰に?あの人に?
彼は帰ってきてほしいとは願わない。それは知っている。でも。
『甦ってほしくはないけど、また会いたいとは思う』
画面越しに見た、首から下がるロザリオが、ゆらゆらと揺れるのを見た。
「会いたいときにはどんな手を使っても会いに行ける」
私は。今もそうだ。
本当に会いたいと思えば、こうやって少しの時間でも、会いに行って一緒に珈琲を飲んで、抱きしめて、同じベッドで朝を迎えることだってできる。明日の朝は早いから、きっと彼を残して家を出るけど。
嘘をついて、彼を怖がらせても、それでも彼の側に行くための口実につかう。今この瞬間すらその存在が頭を埋め尽くしている。
会いに来るのが許さる日なら、それはどう思うのだろうか。
死者の日。死者が会いに来る。
しかし、それに紛れて良からぬものもやってくるのもこの時期だから、人々はそれらに紛れるように姿を変える。
会いたい人にはほどこしを、悪霊にはいたずらを。
貴女はどうなんでしょう?
彼がカレーを好きになったのも。
彼がひまわりを大切にするのも。
彼が歌を届けたいと願うのも。
大切に首から下るロザリオが、揺れていた。
許されるなら、
貴女も それを目印に
彼に会いに行くのでしょうか?
その時はきっと、彼は喜ぶだろう。
それすら、快く思えない自分の卑小さに笑いが出た。
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