「ぎゅーって、したいアル。」
意中の相手に突然言われたこの一言に、サンディは非常に戸惑った。それはもう心臓に不意打ちをくらった。
もちろんハオラの事だから、何もやましい意味などないのはわかっているけれど。
「やだハオラっちってば、お互いのサイズ考えてみなよ?
おっきいハオラっちにぎゅーってされたら、小っちゃなアタシはまるごと潰れちゃうんですケド〜」
サンディが笑いながら答えると、ハオラは「そうなんだよなー」としゅーんと凹む。
「だって、クウォンとか大神官様とか、クリア・ライフとかアッシュヴラウンとか。昔から、大好きな人には、ぎゅーってするんだ。
アッシュには嫌がって蹴っ飛ばされるけどさ」
アハハ、と寂しげに自分に苦笑するハオラを見て、サンディは思った。
(ハオラっちって、しっかりしてるよーに見えて意外と甘えん坊なんだなぁ……)
そういえば、確かに彼がクウォンに会うたびに駆け寄って抱きついたり、クリア・ライフにじゃれてハグしている所を見た事がある。
彼は、人肌が―――温もりが、恋しいのだろうか。
「ごめん、そもそもサイズ関係なく女の子にはいけないアルね。ぎゅーってしちゃセクハラだもんな。」
「あっ、いやいや!そんな事ないとは言えないケド、………。別にハオラっちなら…怒らないと思うしっ?
ホラ、弟みたいなもんだからネ。」
「ギャル妖精は、優しいなー。本当に大きかったらいいのに。
でも、小っちゃいギャル妖精も大好きアルよ!可愛いもん!!」
ニコーッと満開の笑顔で褒められ、サンディは思わず耳まで真っ赤になる。
「―――あ、アッシュヴラウン発見!!
アッシュアッシュ、一緒に遊ぶアルよっ、組み手するアルー!!」
『ひっつくなと言ってるだろガキヘンリー!僕に触れていいのはクリア・ライフのみだっ』
「あいやぁあー!ひどいアル、また蹴った!!」
(…うーん、なんだかクウォンさんが心配するのもわかるんですケド。)
まだまだ無邪気な“武神”を、旅の間自分がしっかり見守らねばと心に誓うサンディだった。
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甘えたがりな武神とそれに戸惑うギャル妖精
ハオラは別に女の子を抱き締めたいとかではなく、他の大切な人達と同じようにただただ純粋にサンディが抱きつきたいくらいに好きなのですよ。大好きなお友達とでも言おうか(マキナ風味)
ちなみに“ガキヘンリー”とは、“ヘンリーみたいな顔のガキ”という暗黒モンスター語です←なにそれ