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最後の『葡萄』にやられた…!!

昨日はハチャメチャに語ってしまったので、今回は真面目に。






梨木香歩さんは今回で4冊目。

どの作品もラストに凄まじい余韻を残す傑作でしたが、
今回の『家守綺譚』も全く同じ。いや、本当はそれ以上…!!

この家守については、今まで読んできた他の作品とは似ても似つかない部分がたくさんあって、とても新鮮な気持ちで読めた。
まず、文体。
明治を舞台にした作品であるので、どことなく夏目漱石を感じる。描写は細かいがサラサラと美しい。素朴だが、大変高貴な感じだ。
そして、本編の内容が、限りなくエッセイに近いこと。主人公の書生の青年"綿貫征四郎"が、「私」となって話はすすむ。
彼の日常には小鬼やもののけ、たくさんの不思議なものが登場するし、はたまた草木に惚れられたりもする。でも、綿貫はそんな不思議な出来事を受け入れて日々をゆったりと過ごしている。

ここで、物語の核となる一番の存在は、やっぱり親友"高堂"だ。
綿貫は彼が若くして亡くなったため、彼の家を守っているのだ。(だから家守り。)
しかし、死んだはずの高堂はたまに彼の親友の前に現れる。
とにかく高堂と綿貫の会話がホッとする。死者と人間のものとは思えないほほえましさである。
でも、この設定があって、この物語に締まりができたのをぜひ最後の話を読んで感じて頂きたい。

とにかく面白すぎて、最後の余韻も切なくて良かった。あの一言がいいんだよねぇ。
正に完璧な作品でした。

今まで梨木作品では『西の魔女が死んだ』が不動のNo.1だったが、見事に覆された。
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