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無題

蜜柑……ではない名前の柑橘類を数種いただいたので、家で食べます。

いよいよ南へ行く日が迫っております。
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小説6章3節 自走式人形の足の下

2節はどこへ行ったのか分からない。
どんな内容だったか記憶も無いし、メールをサルベージしても出て来ないのだ。
下らない「彼女が大きくなって押しかけ女房に」というネタの切れ端はあったが。爆
取り敢えず6.3となっているからには6章3節としておく。
08年2月9日配信。
3月から私は別の作品にとっかかってしまってこれのことはいつの間にか黒歴史としていた。


照準を定めた。あれが多分、ルイーゼの家だ。誰かが廻していた住所録を見た。大体は覚えている。
全身の神経が尖った。

「殺してやる!」

操縦桿を握る手が震えた。思い切って、発射のスイッチを押した。
だがしかし、弾は逸れ、建物には当たらなかった。機体の腕の動きを横から止めるものがあったからだ。隣にある畑か、ルイーゼの家の庭に当たったようだ。

「やめなさい!」

衝撃と同時に無線に声が入った。通信の切り方は分からない、ずっと入れっぱなしだ。
知らない男性の声だった。
夜陰でよく分からないが、煙が上がっているようだ。炎も見える。建物を直撃しなかったとはいえ、火は燃え広がる。住民も気付く。
キンティアは先程の通信を無視した。こんな村、燃えてなくなってしまえ。三年生も何か言っているが、聞こえない。
カメラを色々な方向に向ける。次の的を探すためだ。押さえられているのは分かったが、強引に向きを変えた。

「私は空軍基地の者だ。駐在所からの要請があって来た。君がしていることは歴とした犯罪なんだぞ!」

―犯罪?

頭の中が真っ白になった。捕まえられたら刑務所に行くのだろうか。それは嫌だ。
ぎこちない動きで、空軍の機体を投げ飛ばした。
軽い地震と同じくらいの振動が伝わる。天災レベルだ。

―力負けするとは。

旧式とはいえ軍用機だ。それを軽がる投げ飛ばされて、操縦士は呆気に取られてしまった。
悪いことだということくらい、余程の馬鹿でなければ分かる。彼女も自分で分かっている。しかし―

「復讐…なの……」

うつむいたまま、彼女は声を絞りだした。激情が言葉を紡ぐのの邪魔をする。

「これは、復讐なの!」

彼女は叫んだ。涙が溢れた。銃を乱射した。
どうせ捕まってしまうなら、壊し尽くしてしまうほうがいい。
「地主」の家が見えた。皆が地主さんと呼ぶので、そう覚えた。噂では地主には息子がいて、同い年だが、お坊ちゃま学校に通っていて、欲しい物は何でも与えられているらしい。幼稚園が同じだったという子が言っていた。キンティア自身も息子らしき少年を見たことがある。つんとした態度の、冷たい印象の少年だった。
地主が村の有力者であることくらい、何となくではあるが、キンティアにも分かっていた。権力者と言うのはおかしいが、そんな気がした。村の象徴でもあろう。何せ「地主」なのだもの。偉い人だ。
これが村への復讐なのなら、まず村の有力者の地主のうちを壊すのが筋かもしれない。そう思って、彼女は地主のうちにも発砲した。建物の角に当たって欠けた。もう後には引けない。彼女は犯罪者なのだ。
周りはもう既に、軍や警察が所有する機体で取り囲まれていた。破壊行動をする未知の機体、それ以外の何ものでもないと取られているのだ。
無理もない、行動を見れば、いや、動機の一部すらテロリストのそれだ。彼女は見境無しに銃を向け発砲し、踏み付ける。まさに凶器を用いた暴力であり、怪獣が暴れているようなものだ。そういえば、かの怪獣も性別は雌だった。真に攻撃性を秘め、恐ろしいほどに破壊的なのは本当は女性なのかもしれない。

「出てきなさい、君はもう完全に包囲されている」

警察がほぼお約束ともなっている文句で呼び掛けるも、その声は心なし力がない。未知の機体だが、出力が大きい、すなわち強い、ということは先程軍用機が投げ飛ばされたのを見れば分かる。

「早く降りてきなさい」

形だけは強い語気で説得を続けるが、迂闊に近寄ろうとしようものなら銃を乱射するので、距離を詰めることさえできない。気が急いた誰かが放った弾が当たった。しかし、装甲に穴が開くこともない。これには事情通は驚くより他ない。

「目的は何だ」

そろそろと一つ、警察の機体が歩み寄る。

「何か要求したいことがあるんだろう。話し合おうじゃないか」

しかし、思い切り蹴り飛ばされた。

「要求?みんなぶち壊したいだけだよ」

彼女は怒っていた。しかし、口から出る言葉は冷めていた。
妙に素人くさいぎこちない動きだが、それを補ってあまりあるほどの出力だ。もう手に負えない。
だが、彼女自身は愚かな自分を後悔しつつあった。馬鹿なことをしてしまった。自分に、皆を傷つける筋合いなんてない。それなのに。
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小説6章1節 私達の行方

2007年12月14日、メーリスにて流したもの。
この後、製作環境の変化+HDD吹っ飛びによりいかんともしがたい状態になり、6章3節を書いて断念。
「最後」という言葉を出すべきではなかったか。
しかし、私にとっては最後の決戦とも言える場面(リアルもそういう局面)だったのだった。


手の中には、カードキーがある。この切り札は、プラート先生がスペアとして作ったものを、無理を言って貰ったのだ。鍵だけあっても、機体そのものが無ければ何もできない。それを見越して渡したのだろう。
知り合いの三年生が、道をのろのろ歩いていた。

―調度いい。

「一緒に、来な」

普段なら、絶対にしない口調に、自分すらも違和感をおぼえないでもなかった。

「何…」

持っていたのは今日、工作に使ったはさみだけだが、脅すだけならこれで充分だろう。刃のほうを向けて、静かに言った。

「あたしの友達なら、何も言わずに来て」

真剣だったが、他人が見たら、間抜けな光景だったろう。低学年の子は、自分と仲良くしてくれていた。友達という言葉に弱いのは、自分だけではないはずだ。
もしもこれで、この子までも逃げていくなら、この世に友達なんていないのだ、と考えた。
手を引っ掴んで駆け出すと、抵抗無く、三年生はついてくるようだった。それが若干の救いと思った。
機体を預かっている老人が所有している倉庫は、予め先生から聞き出し、地図で調べてある。
どこに行くの、と三年生が聞いた。もうすっかり息があがっていた。自転車があれば良かった。
倉庫に侵入し、操縦席に入り込んだときには、門限の六時をとうに過ぎていた。老人に会うことは無かった。親が自分たちを探さねば良いが。
カードキーを見た。切り札を出すのは「最後」だぞ、と、意味深長に先生は言った。最後。今がその時だとは、実のところ思ってはいなかった。

「ねぇ、何する気」

暗い操縦席で、不安げに三年生は言った。

「うるさい」

背中を押して足元の隙間に三年生を押し込んだ。頭は走るうちに醒めて、自分のしていることに馬鹿馬鹿しさを感じてもいたが、今更退けない。表面だけは思い切りよく、カードキーを差し込んだ。
ばば抜きのばばは最後まで持っていたら負ける。
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