時系列主観めちゃくちゃ。
現パロ。
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海鳥の声で目が覚めると、夜明けがすぐそこまで迫っていた。
ピアノの椅子に座ったまま眠ってしまったせいか、体がこわばっている。
しばらくぎこちない運動を繰り返しながら、軋む体を立ち上げた。
床に臥している彼の傍まで音を殺して歩み寄り、腰を下ろす。
オレはそのまま彼を見ていた。
まだ薄暗い部屋の中で、彼の浅黒い肌が僅かな光を反射していた。
床に投げ出された手首に触れようと手を伸ばし、思い止まり、引っ込める。
今までオレを取り巻いていたもの総てと、隔たる環境の中。
彼だけが、これが連続した現実であると知らしめる存在だった。
夢路に逃れ彷徨っても、いつも寸前の処で伸びてくる、その頑強な手に捕らえられ、オレは現実に引き上げられる。
そんな彼も、今は夢寐に沈んでいる。
穏やかな吐息の下、彼はどんな夢を見ているのだろうか。
何かが、オレを動かそうとしていた。
彼を構成する器官や、心持ち少し痩せた様に見える首。
オレは、もう一度だけ……。