栄口と阿部と泉
「なぁ、泉知らね?」
真っ赤な頬。上下している肩。乱れた呼吸。
膝に手をつきながら、阿部は俺にそう言った。
「なぁ、知らない?」
手の平を擦りながら、息を吹き掛けている。この寒空の中、どれだけ探していたのだろうと胸が裂けそうになった。
泉は、いない。三橋と手を繋ぎながら帰って行ったとこ、俺は見てしまったんだ。
ここに残ってたのは偶然じゃない。だって阿部の顔がちらついて頭から離れなくて、心配になって帰れなくなったんだ。俺が気にすることじゃないって、気にしたってどうしようもないことだって分かってるのに。
知ったら阿部は泣くのかな。
奮える肩を抱きしめてあげたい。そっと涙を拭ってあげたい。
でも気丈な彼のことだ。俺の前で泣くことなんて決して無いのだろうと思う。
「…泉になんか用事?」
「あぁ、まぁちょっと。」
明日になったら分かってしまうかもしれないのに。
「なんか急いでたみたいだから、一足先に帰ったよ?」
こんなつまらない嘘でしか君を守れないちっぽけな自分が、悔しくてたまらないよ。
White Lies
栄口と水谷
「いたっ…!」
「どうしたの?水谷?」
「いや、ちょっとキツくて…」
「えぇ!大丈夫?」
「ちょっと、かたい、から…慣らさないと…」
「そうだよね、大丈夫?ちょっと休む?」
「ううん!平気!大丈夫だから入って?」
「…水谷が、そう言うなら…」
「っ」
「本当に平気?俺もういくよ?」
「うん、俺もすぐにいくから…」
って練習中に新しい靴が固くて足が痛くなった水谷を心配する栄口くんが書きたかった、だけです。
実際あざみがバッシュ慣らさないときつくてって自分で言ってなんか卑猥だわと思って書いてみた、さっきのに引き続きほぼノンフィクション文章です。
またまたくだらなーいの本当にすいません←