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White Lies






栄口と阿部と泉






「なぁ、泉知らね?」

真っ赤な頬。上下している肩。乱れた呼吸。
膝に手をつきながら、阿部は俺にそう言った。

「なぁ、知らない?」

手の平を擦りながら、息を吹き掛けている。この寒空の中、どれだけ探していたのだろうと胸が裂けそうになった。

泉は、いない。三橋と手を繋ぎながら帰って行ったとこ、俺は見てしまったんだ。
ここに残ってたのは偶然じゃない。だって阿部の顔がちらついて頭から離れなくて、心配になって帰れなくなったんだ。俺が気にすることじゃないって、気にしたってどうしようもないことだって分かってるのに。

知ったら阿部は泣くのかな。
奮える肩を抱きしめてあげたい。そっと涙を拭ってあげたい。
でも気丈な彼のことだ。俺の前で泣くことなんて決して無いのだろうと思う。

「…泉になんか用事?」

「あぁ、まぁちょっと。」

明日になったら分かってしまうかもしれないのに。

「なんか急いでたみたいだから、一足先に帰ったよ?」

こんなつまらない嘘でしか君を守れないちっぽけな自分が、悔しくてたまらないよ。





White Lies






勘違い・2



栄口と水谷





「いたっ…!」

「どうしたの?水谷?」

「いや、ちょっとキツくて…」

「えぇ!大丈夫?」

「ちょっと、かたい、から…慣らさないと…」

「そうだよね、大丈夫?ちょっと休む?」

「ううん!平気!大丈夫だから入って?」

「…水谷が、そう言うなら…」

「っ」

「本当に平気?俺もういくよ?」

「うん、俺もすぐにいくから…」








って練習中に新しい靴が固くて足が痛くなった水谷を心配する栄口くんが書きたかった、だけです。
実際あざみがバッシュ慣らさないときつくてって自分で言ってなんか卑猥だわと思って書いてみた、さっきのに引き続きほぼノンフィクション文章です。

またまたくだらなーいの本当にすいません←


猛烈アプローチ



田島と花井





花井。花井。花井。

好きで好きでたまらない。毎日毎日頭の中で考えたって足りないくらい。どうしてこんなに好きなんだろう。どうしてこんなに愛しいんだろう。
こんなにも想っているのに、どうしてお前は俺だけのものにならないんだろう。

「田島、何してんの?」

深い溜め息をつき顔を上げると、俺の気持ちを知ってか知らずか目の前では愛しい人が脳天気に笑っていた。

「花井のこと考えてた。」

「…お前いい加減にしろって。こないだもそんなこと言って女の子振ったとか聞いたけど本当かよ?」

「本当だけど。」

「マジかよ!」

花井は頭に手を当てて心底困ったとばかりに顔をしかめている。

「真剣に言って来る子に対して真剣に答える義務があるだろ?」

俺は少し驚いた。どうやら真面目な花井に気に障ったのはそこだったらしい。俺はまたてっきらそこで花井の名前を出すなと怒鳴られるんだと思っていたのにどんだけ気遣いさんなんだろ。

「真剣に答えたよ。真剣に答えた結果がそれだったんだから仕方ないじゃん。」

むくれたようにそう言えば、花井は苦笑いを浮かべるばかりだ。

「っていうかじゃあそういう花井こそ、真剣に考える義務があるってことだよな。」

真っ直ぐに見つめると、花井は少したじろいだ。

「お前どこまで本気かわっかんねぇよ…!」

「俺は花井のことならいつだって本気だよ。」

言いながら手を握る。花井は真っ赤になって小さく呟いた。

「ならなおさら…いい加減に返せないから余計悩むじゃないかよ…!からかわれてるだけだって言い聞かせてあんま考えないようにしてたのに、いい加減にしろよな本当!」

そんなこと、初めて聞いた。俺は驚いて声も出なかった。だって花井が俺を、意識してくれてるってこと?

「嬉しい、花井。もっと俺のことだけ考えてよ。」

「言われなくてもそうなってるから困ってるんだよ…!」

耳まで真っ赤になりながら叫ぶ花井が本当に可愛くて、俺はそっと花井の手を取った。ここが教室だなんてもう関係無い。ここは俺と花井だけの空間。

「花井、好き。」

今はただ頷いてくれるだけだけど、いつか君からもこの言葉を聞かせて欲しいと切に願った。







猛烈アプローチ






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