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壊れた君と哀れな僕



スザクとルルーシュ






「…また、女のとこか。」

「うん、そうだよ。」

真顔でそう告げるスザクを見るのはもう慣れた。何にも無かったような顔でいつもみたいに玄関に靴を放り出し、スザクはカバンを差し出してくる。俺も表情を変えずにそれを受け取って、後ろからその背中を追った。

同棲を始めてから三年が経つ。昔からこういうところのあるヤツだった。だけど一緒に暮らしたら何か変わるんじゃないだろうか。そんな淡い期待はもう、とっくに過去に置いてきた。

「…最近帰ってこないけど、新しい女でも出来たのか?」

「うん。可愛い子なんだぁ。結構気に入ってるよ。」

「…俺より?」

「そんなこと聞かないでよ。ルルーシュより好きな子なんか、この世にいるわけないじゃん。」

だったらどうして。
喉まででかかったその言葉を飲み込んだ。
スザクに何を言ったところで無駄なことなんて、もうとっくに分かってる。

「愛してるよ。」

ふいに抱き締められて、久しぶりに感じるその温もりに泣きそうになった。スザクの言葉も行動も、信じられないと思っているのに。なのに心のどこかで嬉しいと感じている自分を否定出来ない。本当にどうかしている。

「…要らないなら、そう言ってくれよ。」

でも、嫌なんだ。1人は嫌なんだ。
今日は帰るから。そんな言葉を鵜呑みにして喜んでる馬鹿な俺も悪いよ。でも2人分の晩御飯を作って一晩中待ち続けるなんて、もう嫌なんだよ。

「要らない?何言ってんのルルーシュ。」

その笑顔に、どうしようもなく腹が立った。笑うような話なんて、俺は一つもした覚えはない。

「もういいよ、別れたいんだろ?だからこんなことするんだろ!?」

突き飛ばして、必死に涙をこらえた。
何を言われるのかは見当がつく。それも当たり前のことだ。俺は一体、何度この台詞を口にしてきたことか。

分かってる。分かってるけど、ダメなんだ。きっと俺から離れるなんて多分無理なんだよ。
だから、お前から切ってくれよ、頼むから。






壊れた君と、哀れな僕

そんなこと言ってないじゃんって、また君は小さく笑った。








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