スザクとルルーシュ
「ルルーシュって将来の夢とかあるの?」
スザクが俺の膝の上に寝転がりながらやんわりと微笑んだ。
「…夢、か。」
あまり考えた記憶はなかった。母さんの為に、ナナリーの為に。ブリタニアに復讐する事が俺の全てだった。そう思って生きていたから、個人として叶えたい夢など持った事はない。
「お前は?何かあるのか?」
「んー、僕はもう叶ったかな。」
「高校生にしてすでに夢を叶えるとは、なかなか侮れないな、スザク。」
寝転がる彼のふわふわの髪の毛を撫でた。スザクは気持ち良さそうに俺に身を委ねている。
「君のおかげだよ。君とまた一緒に過ごす事が、僕の唯一の夢だったから。」
言いながら、スザクが俺の頬を撫でた。
瞬間、息が止まりそうになる。この世でこんなにも愛おしいと思う存在に出会うことなど、もう二度とないと思っていたから。
「全く大袈裟だな、お前は。」
「そんな事ないよ。…君は僕の全てだ。」
スザクが俺を優しく抱きしめる。
温かい。ずっとここにいたい。だけど。
もう止める事など出来はしない。
もっと早くこの気持ちに気付けていたなら。もっと早く気持ちを確かめ合えていたなら。
様々な思いが脳裏を駆け巡ったが、きっと未来は変わらなかっただろう。
「世界を敵に回しても、僕は君の隣にいる。」
「…お前は、ほんとにバカだよ。」
得意の憎まれ口を叩きながらも涙が頬を伝った事、お前はきっと気付いていただろう。
最後まで、愛していると言えなかった。
口先だけで生きてきたはずなのに、そのたった6文字が、どうしても、お前にだけは言えなかった。
ゼロレクイエム、全てを伝えた日。
それでも隣にいてくれたから。
愛してると、それでも優しく抱きしめてくれたから。
全てを見透かされているような気がして、俺はまた少しだけ泣いた。
もしも生まれ変われるなら
(君にあいしていると、伝えられる自分でありたい。)