リボーンと綱吉
「もう俺がいなくても大丈夫だな。」
そうやって悲しい顔をして笑う君を、どうすることも出来なかった自分。嫌い。嫌いだよ。ダメダメな俺も、何も話してくれない君も、全部嫌いだ。
「もう、行っちゃうの?」
「あぁ。」
「…どこに?」
リボーンは答えない。分かってる。ずっと一緒にいたはずなのに、俺は何1つ彼のことを知らないんだ。
「…リボーン」
情けなくて涙も出ない。だけど、聞かずにはいられなかった。
「行ってくる。」
そんなんで、そんなたった一言で別れるくらいの仲なの俺たち。思わず立ち上がって、リボーンの元へ駆け寄る。
「ねぇ、帰ってくるよね?」
「ツナ…」
「ちゃんと俺のところに帰ってくるよね?ねぇ、リボーンそうだろ?」
「仕事に戻れ。お前はもう立派なマフィアのボスなんだ。」
「…っお願いだから、答えてよ…!」
なんでそんな泣きそうな顔してるの?なんで、なんで、なんで。
「俺が頼りないから?俺じゃ、俺じゃ何もしてやれないのかよ…?」
ポロポロと、堰を切ったように涙が溢れた。どうしたらいいんだよ。
「ツナ、それは違う。お前が大事だから俺は行くんだ。そのことだけは、知っておいてほしい。」
その日初めて、俺とリボーンの視線が交わった。それは悲しそうな顔でも辛そうな顔でもなくて、何かを決意したような顔だった。
「やらなきゃいけない仕事がある。帰って来る。必ずだ。」
どこまでもついて行くと言いたかった。だけど、俺がそれを言うことをきっと彼は望んでいない。俺はもう飾りでも何でもなく、歴としたボンゴレのボスなんだ。
「…お前がそう言うなら、俺はここを守るよ。ここはお前の家だから。」
必死に笑った。不細工な顔で、それでも懸命に。
帰って来たら言いたいことがあるんだ。
リボーンは小さく笑って、そうしてその日を境に屋敷から姿を消してしまった。
ただ、君のために
それだけのために、俺はここに在り続ける。
…続く?