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無自覚で、鈍感。




雲雀さんと山本くん






「いった!何すんだよ雲雀ー!」

目の前で涙ながらに訴える彼は野球部のエース。でかい図体でみっともないとか思わないの。
僕はくるりと身を翻すと乱れた制服を整え風紀委員長の席に座った。
相手にされなかったのが寂しかったのか、山本武が捨てられた子犬のような目でこっちを見ているのがここからでもよく分かる。

「なぁひーばり!ひばりちゃん!」

その呼び方止めろって何回言ったら分かってくれるんだろう。でかい体してるくせに脳みそはあんまり入ってないのかな。僕は持っていたトンファーを思い切り投げ付けた。

「静かにしてくれない?大事な仕事があるって言ったよね。いい加減にしないと噛み殺すよ。」

「またまたー!雲雀に俺より大事なものなんて無いくせに。」

自信満々に言う山本。ムカつく。何がムカつくって、言い返せない自分が、だ。

「なぁ、雲雀ちゃん?」

「…その呼び方止めてよ。」

「いいじゃん。可愛いじゃん。」

「だからそういうのがムカつくって言っ」

顔を上げて反論しようとしたら、目の前に山本武の顔があった。

いつもみたいに思いっきり殴ってやろうと手に力を込める。
それで君も皆みたいに僕を、怖がればいいのに。
腕を振り上げても微動だにせず、それどころか笑っている彼。
僕の前に立ってこんな顔をしてる人なんて、世界中探してもこの人くらいだろう。

「…今日は、殴んねーの?」

カラン、と床にトンファーを落としたのと同時に塞がれた唇。

「可愛い。ずっと触りたかった。嬉しい。」

「…僕は、嬉しくない。」

「そんな顔して何言ってんの?あ、誘ってるんだ?」

さっきとは全然違う大人びた顔で笑う彼。

「そんなわけ…!」

頬が紅くなってるのが分かって、咄嗟に下を向いたがもう遅い。
山本武は僕の体をぎゅうときつく抱きしめた。


殴ってやればいいのに。分からせてやるまで痛めつければいいのに。
いつもそうしてるのに。

思考とは裏腹に握っていた拳はいつの間にか開かれて、僕はその手を背中にゆっくり回していた。

こんなの、違うのに。
僕を見たら皆、青ざめて必死になって逃げて行くはずなのに。

逃げるどころか何度殴っても相変わらず笑って僕の傍に寄って来る山本武。
そうか、僕がおかしいんじゃない。山本武がおかしいんだ。


「…君といると自分が自分で無くなるから、君なんて大嫌いだ。」


そんなことを彼の胸の中でぼそりと呟くと、それ愛の告白?って言って、山本武はまた僕をきつく抱きしめた。






無自覚で、鈍感。





どうかしてる。
笑ってくれて、嬉しいだなんて。


僕らは尊き犠牲の上に




マスタングとホークアイ






「うわぁ!」

叫び声と共に突如大きな物音が聞こえて、乱暴にドアを開きすかさず銃を構える。

「何事ですか!?」

しかし目の前でひっくり返っているその人を見て、溜息をつきながら構えていたそれを下ろした。

「…大佐、何をなさっているのですか?」

「いや何、ちょっと片付けをしていたら不覚にもこの有様だ。」

部屋を見渡せば、無造作にぶちまけられた古い資料に沢山の写真。足の踏み場が見付からなかった。

「いや、参ったね。思っていたより片付かん。」

「…そうですか。」

床に広がる小さな沢山の思い出たち。優しいこの人は何一つ忘れたりはしない。
自分がしてしまったこと、自分が手にかけた人々のこと、自分が守れなかった者たちのこと、何一つとして決して。

「大佐、手伝います。」

一枚一枚を丁寧に拾い集める。
珍しく昔を懐かしむようにそれらを眺めていた大佐だったけれど、全てを片付け椅子に座ると一転、強い意志を込めた瞳で私に言った。

「私は、それでも前に進まねば行かん。これら全てを背負い、糧にして、上を目指すのが私の使命だ。」

「…ついて行きます。天国でも地獄でも、何処までも。」




僕らは尊き犠牲の上に




それでも生に縋り付く。






病める時も、健やかなる時も




アルとエド






いやだ いやだ いかないで いやだ、

「嫌だ…!」

ぎゅうと握った拳は空を掴み、俺は苦笑しながらその手を額に当てた。

夢、か。

気付くと大量の汗をかいていたので、ゆっくりと布団から出て着替えを済ます。
明日も早い。さっさと眠らなければ。

再び布団に戻るものの、睡魔はなかなか襲って来ない。どうでもいい時にはやたら眠くなるくせに、いざそうしようとするとそれが難しいことに感じるだなんて、人間はとても面倒臭い生き物だ。

「兄さん、どうかしたの?」

ぐだぐだ考えていたら急に横から声が聞こえて、俺は慌てて飛び起きた。

「アル!?何だよいきなり!びっくりするだろ!」

「何言ってんだよ。ちゃんとノックもしてから入って来たじゃない。兄さん考えこむと周りの声、何にも聞こえなくなるんだから。」

返す言葉も無い俺は再びベッドに横になってふて腐れたように布団に潜った。
確かにそうかもしれないと思う。
でも、だけど。
お前の声は、聞き逃したことないんだ。

「…何だよ。」

気がついたらアルのでっかい手で、俺の手がぎゅうと包まれていた。

「兄さんは色々悩みすぎなんだ。ゆっくり休みなよ。ね?」

優しくそう囁く俺の最愛の弟は、眠ることも出来ない。温もりを感じることも出来ない。食べることも出来ない。

「…必ず、戻してやるから。」

「はは。」

「何だよ?」

「本当に戻っちゃっていいの?」

「あぁ?」

「だってきっと僕の方が背が高いし、多分うんとかっこよくなってるよ!」

アルが笑いながら言った。うるせぇとか調子に乗るなとか罵声を浴びせながらも、だから俺も笑った。

「それで、今度は僕が兄さんを守るよ。皆を守るよ。守られてばかりはもう嫌なんだ。」

俺はとっくにお前に守られてる。お前を必死に繋ぎ止めたのだって、お前のためでもあり自分のためでもある。いや、むしろ後者の方が大きかったかもしれない。

「アルがいなきゃ、俺はダメなんだよ。」

「ん?何か言った兄さん?」

「いや、別に。」

言いながら、ゆっくりと瞳を閉じる。手を握られている安心感からか、睡魔は自然に襲って来る。

相変わらず伸びない背丈を気にしている俺の横で、大きくなったアルが笑っている夢を見た。







病める時も、健やかなる時も、



供に歩み、供に刻もう。




僕たちのこれから。




サスケとナルト





「あーつまんねーつまんねつまんねー!!!」

「うるせぇ。」

「だって!だってさぁ!」

せっかくの夏休みなのに、サクラちゃんはヒナタとか引き連れて海とか行っちゃったりなんかしてるのに。なんで、なんで俺ってば。

「お前と二人で居残りなんだよ…!」

叫びながら横を向けば、このくそ暑いのに汗一つ垂らさずに見張りを続けるサスケの姿が目に入る。
サクラちゃんと居残りだったら全然許せるのに、(っていうか邪魔が入らなくて嬉しいぐらいだ)なんでよりによってサスケと二人きりで突っ立ってなきゃいけないんだ。

「仕方ねーだろ。ジャンケンにしようって言ったのどこのどいつだよ。」

「絶対勝てると思ったんだよ!」

「どこからそんな根拠の無い自信が出てくるんだよ。」

「うるせー!負けたヤツにだけは言われたくないってばよ!」

こいつ、憎まれ口叩かせたら本当に超一流。
口喧嘩でも拳交えても勝てないなんて本当に悔しいけど、でも、だからこそ俺の一生のライバルだ。

「俺はジャンケンなんて勝てるんだよ。相手の動きを先読みするなんて初歩中の初歩だ。」

「はぁ!?なんなんだよ!じゃあやってみよーぜ!?そんな言うんならやってみよーぜ!?」

ジャーンケンポンッ!

サスケがにやりと口角を上げて笑った。こいつ、ほんっとにムカつく。

それから何度やってもやっぱり勝てなくて、俺は地面に膝をついて倒れこんだ。

「なんで、勝てないんだ…!?」

「お前の動き、分かりやすすぎんだよ。」

そう言って、相変わらず涼しい顔をして座っているサスケ。
本当腹綿煮え繰り返りそうなくらいムカついたけど、ただ、一個だけひっかかることがあった。

「…じゃあなんで、お前ここにいるんだ?」

「は?」

「だから、そんな強いんだったら皆にも勝てただろーって言ってんだよ。」

顔を覗き込みながらそう聞いたら、今まで顔色一つ変えなかったくせに急に真っ赤になったサスケ。
何なんだってばよ。本当に意味わかんねー。

「なぁ!なんでだよ?」

「黙れ、ウスラトンカチ!」

「はぁ!?俺ってば今質問しただけだろ!?悪口言うことないだろ!?」

言うだけ言って腕を組みながらそっぽを向いているサスケ。その後なんか目を合わせてすらくれないのでなんだか無性に腹が立って、勝負を挑もうかと思ったけど一応任務中なのでやめておいた。





僕たちのこれから。


僕たちは、まだまだこれから。



(なぁ、そろそろ飽きない?)(…別に。)










***
早速やってしまいました。もうほんとこういうことに関してだけ行動が早過ぎて嫌になります^^
ナルトは無意識でサスケが好きで、サスケは自分の気持ちに気付いちゃって慌てながらも頑張って片想いしてたらいいなぁと思って願望のままに書いたら割と意味が分からなくなりました^^
っていうかこのサイトのどの文にも特に深い意味とか無いんですけどね。←

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