嘘だったということにしてください。


(昔)グレイ→←アリス&クラウディオ×アリア
現パロエイプリルフールネタなほのぼの寄りの(割りと)スキット
※重度の性格破綻&Xオーバー注意!


『春雨に出し汁を加えて煮たらフカヒレの味に…なりません!』
テレビの司会者が冗談を言ったら会場に笑いが溢れた。
「今日はエイプリルフールか…。あ!」
アリスは何かを閃いたように手を叩き、企み事をする瞳になった。

家から出たアリスは、真っ直ぐにある人物の家に向かった。そのある人物とは…。
「グレーイ!」
「なんだテメエかよ」
不機嫌そうな表情を隠そうともしない、グレイ=リングマークその人である。
「ねえグレイ」
「…なんだよ」
「私ね?実は…グレイのことが好きなの(なんて)」
「…はあ?…冗談はその不細工面だけにしろよ」
「冗談なんて酷いわグレイ!私、折角恥ずかしい気持ちを抑えて告ったのに…!」
「(こいつ、マジで俺のことを…?)あ、アリス?」
「…なに?」
(嘘の)想いを信じて貰えずにジト目で睨むアリス。
「(か、かわ…!!)俺も、お前が…」
「アリス、助けてーーー!!!」
グレイがアリス(の嘘に気付かず)にかねてから持っている自分の想いを伝えようとした矢先、間の抜け悲鳴が響き渡った。
「アリア?」
妹のように可愛がっている少女の出現に驚きつつ、後方から珍しく全力で走っている金を見つけ、アリスは目を眇め、その隙にアリアは彼女の背中に隠れた。
「アリア…やっと、追い付いたぞ」
これまた珍しく肩で息をしながらも、怒りを隠しもしないのはクラウディオだった。
「おはようクラウディオ、息は大丈夫なの?」
この王子様(あだ名)がここまで怒りを顕わにするのは珍しい。十中八九自分の後ろに隠れている少女が関与しているのだろうが、アリスは敢えてそのことを聞かなかった。
「ああ、そいつを渡してくれたら、すぐに回復する」
「分かっ…」
「ダメ!」
アリスの返答より早くアリアが返す。
「…アリア、クラウディオになにを言ったの?」
この空気に耐えられなくなったアリスが、向き直ってアリアに問うた。
「…今日って、4月1日(エイプリルフール)でしょ?」
「ええ、そうね」
「…だから、それに託けて嘘をついたら、何故か急に追い掛けてきたの!」
「急にじゃない。あれは確実にお前が悪い」
互いに自分に非は一切ないと宣うアリアとクラウディオ。正反対の意見を持つ二人にアリスが問い掛けた。
「…? 因みに、その内容は?」
「そ、それは…」
「…こいつは、俺の目の前でジュリアスのことが好きだと言ったんだ」
ジュリアスはアリアの家庭教師で、アリアは否定しているが、二人は周りが怪しむ程仲が良い。因みに、クラウディオの方はジュリアスが大嫌いと言って憚らない関係である。
「「……………」」
クラウディオとアリアが恋人同士であること、アリアが影で相当人気があることは周りの人間ならみなが知っている。二人はクラウディオに同情の眼差しを送った。
「だ、だってエイプリルフールなんだから、少しくらい嘘をついてもいい、んじゃないかと思って。それに…」
クラウディオに少しは妬いて貰いたいし。そう言い掛けてアリアは口を閉じた。恥ずかし過ぎるからだ。
「アリア…」
「…な、なに?」
「この世には、ついていい嘘と悪い嘘があるって知ってる?」
アリアには二人の気持ちが痛い程分かってしまう。だからこそ、静かに怒っているのだ。彼女から見て、クラウディオはアリアに甘く、この上ない程に慈しんでいるから。
「へ?」
「グレイ」
「分かってる」
言うや否やグレイはアリスの前にいるアリアの首根っこを掴んだ。『ぐえ』とアリアが呻いたが、それを華麗にスルーして。
「ちょっとグレイ、なにすんの!?」
「おいグレイ、アリアになにを…」
やはりクラウディオはアリアに甘い。いや、甘過ぎる。先程までの怒りを忘れて慌てる彼を見て二人は溜息をついた。
「ほらよ。」
「わ、悪いな…」
いきなりのことに驚きが勝っているからなのか、普段の彼からは想像出来ない素っ頓狂な返答にグレイは噴き出しそうになった。
「…グレイの裏切り者ーーー!!!」
驚き慄いているのはアリアも同じだった。しかしこちらは自分の身体に危機を与えようとするグレイを睨み付けているが。
「生憎だが、俺はお前の味方になった記憶なんかねえな。…後、アレだ。お前も頑張れよ」
後半はクラウディオにだけ聞こえる声で言った。
「(グレイのバカグレイの冷血グレイの意地悪グレイのアホグレイのバカ)」
飽く迄中立の立場(アリスの味方)にいると豪語するグレイに、アリアは心の中で(低レベルな)呪咀を送った。
「分かってる。…さて、浮気発言をした恋人には、じっくりと、俺の愛を刻んでやるよ」
敢えて『じっくり』という言葉を強調したクラウディオは、アリアを横抱きにして元来た道に向かって歩きだした。
「本当やらなくていいから!離してよ、ロリコン絶対反対!」
アリアの罵声と細やかな抵抗は華麗に無視されたことは言うまでもない。

「あいつらって、本当に仲良いよな」
(一方的に)騒ぎ立てるアリアと動じないクラウディオの去った方向を見て、呆れたようにグレイが零した。
「そうね」
「ところでアリス」
「なに?」
「今日、エイプリルフールなんだよな?」
「そうよ」
「じゃあ、さっきの言葉は…」
「あんたが」
「あ?」
「あんたがもう少しまともな人間になってくれたら、本当になるんじゃない?」
私、あんたの顔は好きだし。実はあの言葉(嘘)にはある程度真実も紛れていた。素直になれないアリスの全く素直じゃない告白に、グレイは相好を崩した。
「ほ、本当か…?」
「さあね」

『最高に最強な彼氏と彼女の都合』

〜Fin〜


これ、なんていうアリス最強伝説?
最初の『春雨に〜』は特種の小倉さんが言ってたことです。