『ガラシャたんがキュンとする場面』
普段の穏和さはなりを潜め、どことなく怜悧な雰囲気の元就がガラシャを抱き締めたのはいつだったか。長く短い拘束の中で、彼女はふとそう思った。
「元な「どこにも行かせない」
沈黙に耐えられなくなったガラシャの声を覆うように出された元就の声は、確固たる決意の炎が揺れているようだった。
「君は私だけのものだ。良いね?」
後ろから聞こえる声はやや硬く、否定を許さない響きのそれに、ガラシャの心臓は鼓動を早めるのだった。
『さあ、本を読もう』
堆く積み上げられた書物の中に、ガラシャは目的の人物を見付けた。
「なにを読んでおるのじゃ?」
「ああ、これは孫子の兵法書だよ」
「元就は勉強家じゃのう」
「芸や遊びより、日々武略や謀略を磨く方が、私にとって肝要なことだからね」
「それに、歴史の勉強にもなるし、一石二鳥なんだ」
「なんだか凄いのじゃ……」
「そういう君は…枕草子か」
「ほむ、元就と一緒に本を読みたくて持ってきたのじゃ!」
「嬉しいことを言うね。じゃあ縁側に行こうか、水を撒けば少しは涼しくなる」
「分かったのじゃ!」
『×××××と呼んでくれ!』
ガラ「教えよ元就!」
就「(またか…)そうだね、私の願いを聞いてくれるなら、なんでも聞いてあげようか」
ガラ「ほむ、分かったのじゃ。して、わらわはそちに一体なにをすればよい?」
就「これからは私のことを…『おじいさま』と、呼んでくれないかな」
ガラ「……?元な…、おじい、さま?でよいのか?」
就「(グッサァ」
ガラ「…おじいさま?」
就「……、そうだね、今からおじいさまの部屋に来るかい?美味な菓子を食べながら、話を聞こう」
ガラ「まことか!?おじいさま、大好きなのじゃ」
(思わぬところに、安穏な老後があったね)
『ポケナガにて、ガラシャたんと初めて会った時の私の心境を元就公に代弁して頂きました』
ガラ「わらわもおるぞ、覚悟いたすのじゃ!」
就「(なんだあの可愛い生き物小さくて柔らかそうだ可愛い抱き締めて良いかないや寧r(ry)」
一「元就、どうかした?」
就「いや、どうということはないよ」
一「そう?なら良いんだ」
〜中略〜
ガラ「父上の為、わらわが一を討ち果たすのじゃ!」
就「(グサッ ……(フラァ」
一「お、おい元就!?」
就「はじめまして、私は元就だ」
ガラ「…わらわはガラシャじゃ」
就「ガラシャ…、名前まで愛らしいね」
一同「!!?」
ガラ「…も、元就…?ここは戦場じゃぞ?」
就「そうだったね、では手短に済ませよう。一は私の主だから、討たれては困るけど、私なら討ち取って構わないよ。構わないから…私と契約して、夫婦になってくれないかな?」
一同「(゜Д゜)ポカーン」
ガラ「……つまり、元就はわらわに求婚(?)しておる。そういうことか?」
就「勿論」
一・利三「「うわあぁぁぁぁぁぁ!!!!(隆元)(光秀様)が泡吹いて倒れたあぁぁぁ!!!」」
味方編成:一(主♂)・お市・元就・隆元・道雪・紹雲
『君のことが、』
就「悩みがあるんだ」
ガラ「悩み?元就にも悩みがあるのか?」
就「勿論。生きていたら、悩みは尽きない」
ガラ「分かったのじゃ。元就の悩み、わらわが見事解決してみせようぞ!」
就「それは心強いね。では早速相談に乗ってくれるかな?」
ガラ「勿論じゃ!」
就「私は、君のことが好き過ぎて、心臓が足りないんだ」
ガラ「……はう?」
就「あれ、聞こえなかったかな?君が好き過ぎて、心臓が足りないんだ」
ガラ「も、元就…?いきなりなにを言っておるのじゃ!?」
就「いきなりじゃないよ。君のことは、かなり前から好きだった。だけど…、そうだね、耐えられなくなってきたのは最近かな」
ガラ「………」
就「答えて、なんて性急なことは言わない。だけど、明日から私のことを少しでも意識してくれたら嬉しいね」
就「それじゃあ、また」
ガラ「(どどど、どうすればよいのじゃ…!?)」
『就ガラがかいこにトリップしたよ!』
「教えよ、元就は狐なのか?」
ある日突然やってきたガラシャという少女が、彼らからしたら突拍子もないことを言うのは、最早日常となっていた。
「は…?」
「なに言っているんだ?」
隆景と元春は、今日もまた(ある意味)難解なガラシャの言葉に首を捻るのだった。
「宗麟が元就のことを狐と申しておったから、そう思ったのじゃ」
そう聞いて、二人は漸く合点が着いた。毛利と大友で北九州の覇権争いをしていた時、元就に散々苦しめられた宗麟が、彼のことを『毛利狐』と言っていたことを小耳に挟んだことがあったが、それをまさかガラシャに言ってしまうとは。
「(バカだなあ……)」
「(可哀想に……)」
この主語は、勿論『宗麟が』だ。
ずる賢いという意味で使われたその言葉に、ガラシャには謀将としての面を見せないようにしているそちらの元就がどう出るかなど想像に難くない。
「父上は毛利のお稲荷様ですよ」
「狐じゃなくてお稲荷様、お狐様だな!」
内心では、大友ザマァwww、あいつ(宗麟)終わったなとか好き勝手思いつつ、二人は元就のセールスポイントをガラシャに説き始めるのだった。
〜Fin〜
うーんスランプorz