ルルーシュとスザク
「こんなところまで追って来るなんて、お前はつくづく俺から離れられないようだな。」
「勘違いも甚だしいな。僕は自分のためにここに来たまでのこと。」
「勘違いなど。結局お前は俺以外の人間を、好きになんかなれないんだよ。」
「何故そんなことが言い切れるんだ。自意識過剰もそこまでいくと笑えるな。」
自信をたっぷり含んだ目でそう言うルルーシュに、スザクもまた至極冷静に答えた。
一歩一歩近付いてくるルルーシュを睨みつけながら、スザクは必死の思いだった。彼だけには悟られてはいけない。どんなことがあろうと、決して。
「なら、俺を殺してみろ。」
「甘いなルルーシュ、僕に出来ないとでも?」
余裕の表情のルルーシュに負けじと、スザクも口角を吊り上げて笑みを浮かべる。
「今すぐにと言うわけじゃない。」
「…どういうことだ。」
ゼロレクイエム。その単語の意味を、ルルーシュは切々と語ると最後にこう言った。
「お前が俺を殺せ。」
ルルーシュは、スザクに断る隙を与えまいとしているのだろう。しかしスザクには断る気など毛頭無かった。ルルーシュが命を懸けて挑むこの一世一代の大勝負の片棒を、他の者になど担がせてなるものか。
「分かったよ。」
「そう言うだろうと思ったよスザク。お前ほどの適役はいない。」
「どういう意味だい?」
「さっきお前は言ったな。勘違いだと。しかしこれほどまでに俺を恨み俺に執着を持っている人間が、この世にいるだろうか。そういう意味だ。」
ルルーシュが告げたその意味が、スザクには漸く分かった。
そうか、最初から僕に言わせる気なんて無かったのか。
スザクは小さくため息をついた。
言わせないために、わざと自分をけしかけるようなことを言う天の邪鬼。
なら僕は君に、敢えてこの言葉を送ろう。
「愛してる。だから僕がこの手で、君を殺す。」
ルルーシュは目を見開いた後、悔しそうに笑った。