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当文芸部では年7回、部内誌を発行して作品を見せ合い、合評をしています。また、課題図書を設けて議論を交わす読書会や、他大学さんとの交流行事、合宿や学祭などのイベントもあります。 どうぞゆっくり文芸部の日常の断片をご覧下さい。
こんにちは。部長の13です。
こんばんは。部長の13です。
本日からいよいよ印刷が始まりました。
今回は、いろは12月号全3部、ペダンティックポテンシャル12月号、書評集秋号の全5冊の配布物があります。現在は第1部と第2部の途中まで刷れています。部員の皆さんは、協力してどんどん刷っていきましょう!
読みあわせと合評会も近づいてきています。いよいよ新幹部の運営も目前です!
こんにちは。13です。
当文芸部では、部内から作品を募り、その中から部員たちの投票で選んだ作品を関学新聞に掲載させていただいております。
そこで、掲載終了した作品及び掲載候補を公開することにしました。
今回の作品は、2011年10月の関学新聞に掲載された短編作品です
『キャラメル博士』 高頼
「滋養って書いてあるとなんだか薬みたいだよな」
博士君がそう言った時、私はなんでいきなりジヨウなんて言葉が出てきたのかわからなかった。固まってしまった私を気にせず、博士君はさらに続けて「ほら、滋養強壮とかの滋養」と言ったんだけど、頭の中でジヨウの漢字変換すらできない私は博士君の発言についていけなかった。
何も答えられない私に、博士君はついさっき私が彼にあげたキャラメルのパッケージを指して、これと言った。
確かにそこには滋養豊富と書かれていた。滋養ってこんな漢字なんだと思うと同時にこんな細かい所に気付くなんてすごいなぁと思った。
博士君はとても頭が良い。テストはいつも学年の三番以内に入ってて、全国模試の数学では一番をとったこともある。それに読書家でいろいろな雑学もたくさん知ってるから、みんなから博士君と呼ばれている。
それに比べて私はとても頭が悪くて勉強嫌いだ。テストの点は赤点ギリギリだから、成績は下から数えた方がすぐ見つかる。本なんて漫画くらいしか読まない。
そんな私がこうして博士君と向かい合って勉強しているのは、私が数学で赤点をとってしまったことがきっかけだった。
それまではあくまで赤点ギリギリだったんだけど、初めて本当に赤点をとってしまったことに私はとてもびっくりした。
追試に受からなければ数学を落としてしまうことに焦りを感じた私は、博士君に数学を教えて欲しいと頼んだのだ。
博士君はあっさり引き受けてくれた。勉強を教えてくれと頼むのは私だけではなく、よくあることらしかった。
博士君に頼んだのは正解だった。博士君には私が思っていたような、頭の良さを鼻にかけた嫌味な感じはまったくなかった。むしろ訳のわからない数式も、私でも分かるように一から十まで優しく丁寧に説明してくれた。
数学の先生の授業を聞いてても、眠たくなるだけなのに、博士君の説明はずっと聞いていても大丈夫だった。嫌いなはずの数学も博士君の口から語られると、本当はとてもおもしろいもののような気がした。
それからというもの私は数学だけじゃなくて、いろいろな科目を博士君に教えてもらっている。勉強のことであっても博士君の話をもっと聞きたいと思ったからだ。
私が博士君のことが好きになるのにそんなに時間はかからなかった。
「頭を使うと甘いものが欲しくなるよね」
博士君がそう言ったので私はキャラメルを用意した。ただ甘いというだけ選んだのだけど、博士君は私が全然気付かなかったような所まで見てる。
でもきっと博士君は私の気持ちには気づいてくれない。博士君は恋愛よりも勉強優先の人だから。それはちょっとだけ切ない。
キャラメルの甘さが、博士君の脳細胞にまで浸透して、私のことを好きになってくれればいいのに。そんなことを考えながら、私は再び問題と向き合った。
こんばんは。部長の13です。
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