先に言っておきますと、私は窪田さんや二階堂さんをはじめとする俳優さんは誰一人嫌いではないし、皆さん実力のある方々だと思っています。
あえて言うなら脚本と演出かな…?
私にはどうしても合いませんでした…。
主人公夫婦が、私には非常識で世間知らずの芸術家夫婦で、周りの優しさに甘えまくり、迷惑をかけまくって、自分勝手に生きているようにしか見えませんでした。
特に妻は幼少時から苦手なタイプでした。
自分が主役をやりたいから「かぐや姫」の劇を激しく主張し、しかし主役が出来なかったら不貞腐れて逃亡。
確かに子どもだし、あれは先生が酷かったからしょうがないとは思うけど、自分の主張が通らないと拗ねる、わがままな子だなあ…と思いました。
しかも嫌々とはいえ主役の子が台詞に詰まると、頼まれもしないのに勝手にしゃしゃり出て主役の立場をなくさせて辱める。
子どもとは言え、人の気持ちを想像することのできない、独りよがりな性格が苦手でした。
大人になっても独りよがりなところは変わらず、夫が全く作品を採用されないため契約金を下げられると聞いて、会社に乗り込んでほぼ恫喝同然で契約金を元に戻させる。
いや、落ち込んだ夫に「あなたは才能があるんだから頑張って」と励ますのはいいと思う。
でも、義務も果たしていないのに権利ばかり主張しているようにしか見えない。
私の最も嫌いなタイプです…。
例えるなら、営業成績が全く上がらない夫がリストラ対象になって給料も下がるってなった時、会社に文句言いに来て雇用も給料も維持させるってモンスター妻じゃない…?
お願いするにしても「ヒットさせた暁には今回減らした分上乗せするか、せめて元に戻して」とかだと思うけど…。
才能があると信じてくれるのは嬉しいけど、私だったらこんな厚かましい妻、恥ずかしくて死にそう…。
あと、学校の舞台の主役に選ばれたけど妊娠したことが分かった時、周りが辞めろって言ってるのに、むしろ周りが気を遣う方が悪いみたいな感じで「やる」と強情に言い張って聞かず、結局悪阻で倒れて散々休んだ挙句辞める。
その休んでる間、みんなが練習時間を無駄にしたって分かってるのかな?
例え降板するだろうと思っていても、決定ではないから2通り練習したりしないといけないよね?
それなのに舞台に出られないことを悔しがってるだけで、夫以外の周囲の人々に対する謝罪や感謝する描写もなかった気がする…。
…これを自分勝手と言わずして何と言うの?
私こんな人と絶対関わりたくない。
極め付けは、辞めると双浦環に言いに言ったとき、
「あなたも夢を諦めて、(結婚、子育てという)普通の幸せを選んだのね」
みたいなことを言われて(これも相当失礼で嫌な発言だと思うけど、かけられた期待を踏みにじって裏切ったと考えたら、このくらいの嫌味は理解できる。それでも人間性を疑う失礼さだけど)、
「今まで自分のことしか見えなかったけど、一緒に夢を見てくれる夫がいることに気付いた。だから今は休んで、時期が来たらまた一緒に夢 を追う」
とか言ったんですけど、アンタ何言ってんの?
まず皆さんに謝罪じゃないの?
「これ以上皆さんに迷惑をかけては申し訳ありませんので、今は休みます」でしょ?
その上で「時期が来たら、夫と一緒にまた夢を追いかけたい」じゃないの?
今も周りは見えてませんよ?
半径0mmが50cmになったくらいですよ?!
なんかほんとに周囲に対する配慮が無い気がする…。
自分は散々気を遣ってもらっているのに、感謝している風でも無いし。
これを「妻の夢に理解のある夫って素敵!素晴らしい夫婦愛!」みたいに描いているのがちょっと…。
自分たちの夢のためなら、誰に迷惑をかけたって構わない、って言っているのと同じに思えるんだけど、それって素晴らしいの…?
例えば賃貸マンションとかでさ、妻が声楽家を目指して一日中歌う声が建物中響いて周囲が寝られなかったりして迷惑かけても、全然気にせず対策もせず「夢のためにいっぱい練習していいよ!」と言う夫って素敵か…?
私絶対近所に住みたくない…。
そもそも妊娠したのだって自業自得だよね?
まだ学生なんだし、増して舞台に出たいなら控えるべきだよね?
職場で周囲に気を遣って妊娠を控えてるんじゃないんだよ?
自分の夢のために勉強してるんだよ?
この時の夫の態度も最悪だったな…。
妻が夢を諦めなきゃいけなくて苦しんでいることに気付かず、さらにその事態になる責任も自分にあるのにそのことにも気付かず一人で勝手に喜んで。
(しかも言われてようやく気づいても、妻は慮っても周りに配慮する発言ゼロ)
結婚するときも、会ったこともない人の家に連絡もせず勢いに任せて勝手に押しかけた挙句に何日も泊まり込んで。
私だったらそれだけでもうお断り。(元々選んでいただけないけど)
実家に散々迷惑かけたのに「理解してくれるのは音さんだけ」とか寝ぼけた事言って家族を怒らせて、この時
「ああ似た者同士、2人とも非常識で自分勝手なんだな」
とぼんやり思いました。
弟さんが怒るのも無理ない。
弟さんもだし、廿日市さんだっけ?古田新太さんが主役とかだったら、この夫婦は困った人だと思われない?
他にも戦時中、お姉さんの立場を考えずに「嫌だから」と言う理由で婦人会みたいなのに出なかったり(まああれは戦争自体反対だからだろうけど、私にはいい大人がただわがまま言っているようにしか見えなかった)、挙げていけばキリがないほど、この2人の自分勝手さにはイライラしてました。
正直、最後に妻が再度夢を追ってオペラに(忖度で)合格するも、自分の実力不足を痛感して降板を申し出るシーンは、「自分勝手にやってきた報いだよ」とすら思いました。
共同責任者(と言っても無責任だけど)である夫だけは、キャリアに何の傷も付かず成功していることはイラっとしましたけどね。
それはこの夫婦に限らないこと。
しかし、周りを音楽関係の俳優で固めるなら、どうして主役もそうしなかったんだろう…。
二階堂さんはものすごく頑張っていたし、声楽家を演じる以上それを学ぶのは必要としても、実際に劇中で本人に歌わせるのはどうかな…と思いました。
周りがそれなりに上手いだけに「才能ある学生」と言うよりは「すごく頑張っている素人」にしか見えず、学校の舞台とは言え、この程度の実力でなぜ主役に選ばれるか説得力がなかったし、正直私は聴いていて不快でした。
歌いながらの演技も大変そうだったし、なぜ彼女を演技に集中させてあげないんだろうと思いました。
あと、大人になった華ちゃん…、味のある俳優さんだと思うんだけど、それまでの子役の華ちゃんたちと顔や雰囲気が違いすぎて、ものすごく違和感がありました…。
絶対他に合う俳優さんがいるし、この人にも他に合う役があると思う。
そう言えば梅ちゃん、空襲の中、自分を犠牲にして助けてくれた岩城さんに何も反応がなかったのも、尺の都合だろうけど残念だったな。
全体的に役者さん自身に不満はないんだけど、ストーリーというか脚本や演出がどうも私に合いませんでした…。
最後コロナの影響でどうしても駆け足になってしまい、「ああ、ここもっと丁寧に描きたかっただろうな」と言う感じはしたし、多分それまでも周囲に対する感謝とかお詫びとか、本筋に関係ないから端折られたんだろうと思う(もしくは私が流し見で見逃したか気付かなかったか)。
でもなんか、もっと違う描き方があった気がする…。
正直モデルの古関さん自身も嫌いになりそうです…。
成功したから美談に仕立てられるけど、これ成功してなかったら家族を悲しませて好き勝手に生きた人だよ?
実際の妻はもっと過激な人だったらしいし、夫も銀行に入ったのはプー太郎だったところを伯父さんが見かねて雇ってくれたらしいし、本人たちも何だかな…。
「栄冠に輝く」好きだったんだけど、今度から歌うときにモヤモヤが残るな…。
あ、でも1つ好きなシーン。
戦争に行って藤堂先生や知り合った方の死を目の当たりにしたとき、
「ごめんなさい、戦争がこんな(酷い)こととは知らなかったんです」
みたいなことを言って泣いていたシーンは、世界中の政治家に見せたいと思いました。
自分は戦争を正義だと思って鼓舞する歌を作っていた。
でも実際の戦争は死と隣り合わせで、自分はそのことを知らずに、その地に送り出す手伝いをしていた。
間接的な大量殺人だ。
争いを煽るのではなく、こう言う事態を避けることが政治家の本務ではないのですか?
そして今気づいたけど、このシーン、音楽以外の物ごとを深く考えたり、人を慮ることのできない主人公の姿勢の集大成ですね。
「言われないと気付かない、実際体験したり見てみないと分からない。でも自分で見たことしか分からない。想像することができないし、想像しようとすらしない」
この人は大体そうだった。
(でもこれは史実ではなく、本人は自分の作った曲を「軍歌」と言うのを拒んで、そこまで反省していたのか分からないとなると、ますますこの人のイメージが悪くなってしまう…)
そう言えば同じ福島出身の野口英世も、最初の自分の名前に境遇が似てる小説のだらしない主人公の名前を、自分のイメージが悪くなるから変えろって作者にクレームをつけたり、それが出来なかったら他人を巻き込んで当時難しかった改名をしたりしたんですよね。
(確か、近所の同姓の家に同じ名前の子供を養子にさせて、同姓同名が近所にいると混乱するからとか言う理由で、自分だけ「英世」に変えたはず)
さらに借金踏み倒して留学したとか言うし、なんか福島出身の偉人にも自分勝手なイメージがつきそう…。
ごめんなさい、福島の人…。
しかし私が激しく嫌う人って、私と似てることが多いから、独りよがりなところとか、この人たちに私と同じような嫌なところがあるんだろうな…。
反面教師にしないと。