逆裁大フィーバー中☆☆☆
映画で萌えて、ゲームで更に萌えてしまいました!!只今3の最後の話をやっていますが相も変わらず弁護士と検事は仲がよろしいことで(*´ω`*)
追記は1、2をクリアした勢いで書いたもの!ちなみにミツナルです。
(・・・いない)
成歩堂は静かにドアを開け、部屋に入ると室内を見渡し大きな溜め息をつく。
此処は検事局の12階にある上級検事執務室。
今回扱っている事件が昔、御剣が有罪にした事件と繋がっていることが分かり当時の話を聞きに来たのだが肝心の本人の姿が見当たらないのだった。
受付で確認した時は外出していないと言われたのでおそらくどこか別の階にでも行っているのだろう。
少し待っていれば帰ってくるだろうと思いソファに座って待つことにした。
〜数分後〜
自室に帰ってきた御剣は部屋に入った瞬間呆れた顔をする。
時間にして約30分。席を外したのはほんの僅かであった。
しかし帰ってきた部屋にはまるでこの部屋の主のように図々しくソファの上で眠る人物がいた。
「・・・何をやっているんだ、成歩堂」
ここで寝ているのが全く知らない男ならそのまま警察に突き出すところなのだが、あいにく嫌になるほど知っているその顔は肘掛に頭を預け仰向けのまま呑気に口を開けて眠っている。
大きな溜め息をつきながらソファに近づくと、ソファの下に落ちた封筒が目につき拾い上げた。瞬間、のりづけがされていなかったのか封筒の口が開き中の資料が散らばってしまった。
(のりづけくらいしっかりしておけ!)
未だ呑気に眠る彼に怒りを向けながら散らばってしまった資料を拾い集めると、資料の中に自分がよく知ったタイトルを見つけ思わず手を止めてしまった。
(この事件は・・・)
それは以前に自分が有罪判決を下した事件について書かれた資料であった。
読むつもりはなかったが自分が関わった事件の資料をなぜ彼が持っているのか気になり、いつの間にか全ての資料に目を通していた。
(・・・ふむ、そういうことか)
全てを読み終えると封筒の中にそっと資料を戻し机の引き出しから取り出したクリップで封筒の口を止める。
おそらくこの封筒の中に入っていたのは現在成歩堂が受け持っている事件の資料なのだろう。
その事件と以前自分が担当した事件が繋がっているようで今回此処を訪れたのはその時のことについて詳しく聞きに来たのだろうと容易に考えることができた。
(全くこいつは)
中々目覚めそうにない成歩堂の身体にそっとブランケットをかけてやる。
自分が出ていたのは30分足らずのほんの僅かな時間だ。その間に寝てしまったとなると相当疲れていたのだろう。必死に証拠を集めている姿が目に浮かぶ。
成歩堂が受ける事件はいつもそうだ。
有罪確定の依頼人。しかし彼は依頼人の言葉を信じ、得意のはったりと諦めの悪さで思わぬところから事件を切り崩していく。
気がつけば審理は逆転。依頼人は無罪となり、事件の真相が明らかになるのだった。
かつて自分が、そうしてもらったように。
自分が被告人として裁かれた事件。次々に突きつけられる証拠、証言、誰も信じてくれない孤独の中唯一信じてくれた彼。
敵である自分を最後まで信じ無罪を証明してくれただけに関わらず、ずっとトラウマとして心に残っていた事件の真相まで解き明かしてくれた。師匠であり、尊敬していた狩魔豪が黒幕であったと知った時はさすがにショックは大きかったが、今またこうして検事を続けていられるのは彼のおかげだろう。自分を信じてくれた彼に恥じない立派な検事になりたい。その思いが自分を再び法廷へと立たせのだ。
そして気がつけば自分の中で大きくなった彼の存在は更に特別なものに変わっていった。
(好き・・・なのだろうな)
手を伸ばし成歩堂の髪を優しく撫でる。友人、好敵手、命の恩人、様々な関係を経ていつしか彼のことを愛しいと思うようになっていた。
いつからこの気持ちを持っていたが分からないが、もしかしたら幼い頃、彼を庇った時にはもうその気持ちが生まれていたのかもしれない。
口を開けたまま眠る間抜けな顔に苦笑しながら、不意に自分を真っ直ぐに見つめてくる黒い瞳が恋しくなった。
引き寄せられるように顔を近づけそっと瞼に口付ける。
「愛している」
甘く切ないその響きは静寂に包まれた室内に溶けていった。
名残惜しげにゆっくりと身体を離すともう一度その寝顔に微笑みかける。
この後彼が起きた時に聞いてくる事件の資料をまとめておいてやろうと思い、静かにドアを開け部屋を後にしたのだった。