笑ってください
お題でございます(^^)
絵、小話、詩、何にでもお使いください☆
留めたい記憶5題
@指先で踊る柔らかな髪
A光を映す澄んだ瞳
B鮮やかに色付く唇
C希望を紡ぐ穏やかな声
D幸せだと泣き笑う、愛しい人
(貴方の総てを、心に焼き付けていたいから…)
ありがとうございました。
まわしていただけるとありがたいです\(´▽`)/
.
------------------
エムブロ!バトン倉庫
mblg.tv
------------------
以前からやってみたかったお題に挑戦。順番はバラバラですがゆっくり書いていきたいと思います。
最初はバツティナ!無自覚に恋してる二人が大好きです。
野営地を離れ朝靄のかかる湖にたどり着いたティナは、澄んだ湖の冷たい空気に身を震わせた。
本日の食事当番であるティナは湖まで水を汲みにやって来ていた。多少なりとも力仕事なので、本来なら同じく食事当番である男性のフリオニールがやるような仕事なのだが、今まで料理を作った経験がなく秩序軍の中でも家事が苦手なティナは自らフリオニールに頼んで水を組みにやって来たのだった。
ティナが水を汲むためにしゃがみこむと、そこには水面に映る自分の顔。
元々感情の起伏が薄いティナは表現することが苦手で、最近になりようやく喜びや悲しみといった様々な感情の名前を知った。
しかし、今水面に映るのは喜びも悲しみも何も感じない人形の顔。
ティナは唇に力をいれ笑おうとするが、それは失敗に終わり歪んだ姿が映るだけであった。
(…彼のように笑えない)
そっと瞳を閉じ、ティナが思い浮かべたのはまるで風のように自由で、笑い、怒り、時には泣き、身体全体で感情を表現する旅人の姿であった。
ティナは目を開け、もう一度湖を除く。するとどこからか優しい風が吹き、水面に広がった波紋が感情のない自分の姿をかき消した。
「あれ?ティナじゃん!こんなところで何してんだ?」
木の影から現れたのは先ほどティナが思い浮かべたバッツの姿であった。
思わぬ登場に驚くティナだが我に返るとバッツの質問に答える。
「私は今日の食事当番だから水を汲みに来たの。バッツこそどうしたの?」
「俺は散歩。今日は風も気持ち良いしたまには朝の冒険も良いと思ってさ」
そう言いながら屈託なく笑うバッツの顔をティナはじっと見つめる。
「ねえ、バッツ」
「ん?」
「どうしたら上手く笑えるようになるのかしら?」
「へ?」
突然のティナの問いかけにバッツは間抜けな声で返事をしてしまう。
「う〜ん、そんなの考えたことないけど…急にどうしたんだ?」
「あ、えっと…私は上手く笑うことができないから、どうすれば笑えるようになるのかと思って」
頭を捻って悩みだしたバッツにティナは言葉を探しながら説明をする。
自分自身どうすれば良いかわからないことなので戸惑いながらティナがそう言えばバッツはいつもの笑顔で答えてくれた。
「まあ、笑うのに理由なんていらないよ!嬉しかったり楽しかったりすれば自然と笑顔になるしな!」
ティナはどんな時が楽しい?とバッツに聞かれティナはふと考える。
「楽しい時…」
楽しい、それは心が弾む幸せな気持ち。
今まで自分がその気持ちを感じたのはどんな時だっただろうか。
仲間たちと共に過ごす賑やかな空間。
新たな知識を得た瞬間。
綺麗な景色を見た時。
そして
ティナは再びバッツの顔をじっと見つめる。
「バッツ」
「ん?」
名前を呼ばれ振り向くバッツの目の前にはとても優しい微笑みを浮かべた少女の姿。
(幸せな気持ちで笑顔になれるなら、あなたと共に過ごすこの時間が私に笑顔を与えてくれるわ)
鮮やかに色付く唇