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Many Classic Moments15 (攘夷高新)



*まとめ*




けど日常ではそんなんやって酒飲んだり、銀さんと晋助が相変わらずギャーギャー喧嘩してたり、特に変わりがないように見えてますが、戦局はと言うとジリ貧ですよ。

ジリ貧もいいところだよね。まず相手方とは使ってる武器も違うしね。相手方は異国の武器をバンバン使うが、どっかの星で造られてきた、殺傷能力の高い武器をバンバン使えるけども、攘夷の連中はまだ刀や槍でしょ。言い方悪いけど、ほんっと敵の天人連中には猿みてーに見えたと思うよ。蛮族だと思った事だろうね、まだそんな武器振り回してんの?ってさ。

んなモン振り回れたところでこっちから見りゃおもちゃみてーだしさ、てか地球人てよっわwよっわwすぐ死ぬしよww

と。凄え腹立つけども、仕方ないやね。向こうは侍ってもんを知らない連中だからね、これは文化の違いもありますよ。でも本当に腹立つのは天人連中でなく、幕軍だよなあ。こういう奴らに迎合して、甘い汁啜って、かつての仲間連中(攘夷)を追い詰めてんだもん。お前らの中の“侍”ってなんだよ?ってさあ。
お前らはそんな事する為に侍でいんのか?いる必要があんのか?なら、侍ってなんだよって。

思うよ、そりゃね。侍の定義自体が揺らぐ、そんなクソみてーな時代だよ。戦に明け暮れる日々だ。そりゃ晋助だって疑問に思わない筈がなかろうよ、ガキの頃に感じた鬱屈感も高まっていたと思うよ。


(先生の言ってた“侍”に、先生の説いたもんに、果たして今の俺はなれてんのか?……それとも、自ずから遠去っちまってんのか)

疑問に思わない日はなかった。

戦が終わったばかりの戦場で、ハアハアと息を整えながら、顔に浴びた返り血を上着の袖で乱雑に拭っている時。眼前の敵を袈裟懸けに斬り、返し刀に背後の敵の喉笛を剣先で突いて殺した時。いつだって、どんな瞬間だって常に疑問は晋助の中にあった。

でも自分が斬って斬って斬り伏せていけば、その後ろ姿に付いてくる奴だってまだゴマンといる。『総督!!』と目を輝かせ、己の為に死ぬ覚悟を決めてる兵隊だっているんだよ。晋助が死ねっつったら死ぬような、混じり気のないバカな侍が大勢居るんですよ。そんな奴らを晋助がどうしてほっぽりだして行けるだろうか。

戦況がどんだけ悪かろうが、たとえ自分が死ぬ目にあってようが、部下達は晋助を信じる事を決してやめない。



モブ1「ハア……ハアッ、お、俺はもうダメだ。もう俺を置いていってくれ……お前らだけでも、(ゴホゴホ)」
モブ2「馬鹿野郎!てめえ死ぬつもりか!総督置いて、俺らのことも置いて、てめえだけおっ死ぬつもりなのかよ!?」
モブ3「鬼兵隊のくせにてめえ!てめえは……う、うぅ、ぐっ(ぽたっ)」(拳で涙を拭う)
モブ1「いい……いいよ、もう、俺ァ分かんだよ。腹をこんだけ深く斬られたら、も……ハハ、助からねえ……」
モブ2「馬鹿!喋んな!」
モブ3「馬鹿野郎……何でだよ。何でてめえが先に死ななきゃなんねーんだ。こんな戦……何の為に」
モブ1「てめえら……ハア、俺に構ってねえで、総督のとこ行け……あの人の背中は、き、鬼兵隊が、」
モブ2「護るに決まってんだろうが馬鹿野郎!!でも総督自体が強すぎて背中すら護らせてくんねえよ!あの人鬼だよマジで!最高にかっけーよマジで!(ダンッ)」(地面を拳で叩きつけ)
モブ3「ああ全くだぜ!総督が鬼みてーだから俺ら若干遅れてるからね、せっかく総督が『鬼兵隊!俺に続けェェェ!!』ってミラクルかっこよく指揮とってくれても俺ら続けてないからね!あの人全部自分で斬り伏せる勢いだからね、返り血浴びまくってるよ総督、イケメンとか身なりとか全然関係ねーよ、パねえ勢いの斬り込みだよ、ってマジかっけー総督ぅぅぅぅぅぅ!!さすが俺らの総督!(ダンダンッ)」(地面を何度も叩きつけながら)
モブ1「だなァ……ハ、俺らが心配するなら、それ総督じゃねえよなァ……あの人は総督っつってんのに、いつも先陣切って敵とやり合っててよォ、いっつも返り血浴びてら……そんで鬼みてーに強え……かっけえ……総督……」(ふっと目を細め)
モブ2「ああ……だからも、お前、も、無理すんな。てめえは鬼兵隊だよ。どこいっても、俺ら、鬼兵隊だ(ボロボロ)」
モブ3「そうだぜ。な、鬼兵隊には総督がいる。あの人が居んだよ。だから安心しておっ死んじまえよ馬鹿野郎。そんで後から逝く俺らのことも笑ってくれよ。なあ。この馬鹿……ばか野郎……(ぽろぽろ)」
モブ1「な……最期にいいか?ハア……あれやって……くんね?」
モブ2「ああ、いいぜ。あれだな。…………(すぅっ)……そーとくっ!ハイ!」
モブ3「そーとくっ!ハイ!」(泣きながら)
モブ2「そーとくっ!ハイぃぃぃぃ!!」(泣きながら)
モブ1「そ、とく……



──って、今際の際まで何やってんだお前らばかァァァァァ!!!(ボロボロボロボロ)

なんて馬鹿な奴だお前ら!何でこうも忠誠心剥き出しなんだよお前らは、もう全員抱き締めたい!この馬鹿ども全員だ!(ボロボロ)(だから泣いてる)
何もう、こんなの日常茶飯事なの?こんな愛おしいモブ達まで死ななきゃダメなのか。なんて戦だよこれ。報われねえ。辛え。だっていくら名も無きモブでも、こいつらにはこいつらなりの覚悟と信念があるんだよ。一人一人に侍の魂を持ってる。そんな漢と書いておとこと読む侍達が、まだここには居る。

だから晋助はどんだけ報われなくても、今日も先陣で闘ってるよ。


こんなやって死にそうでも、たとえ死んでも信じてくれるって、それってもう凄え絆じゃん。鬼兵隊の奴らはバカな奴らだけど、ほんっと気づいたら総督コールしだす奴らだけども(いやそれはうちの鬼兵隊だけだよ)、そんな奴らの魂を護れないならそれ晋助じゃないもの。

だから斬る。仲間を一人やられたら、相手を五人でも六人でも斬る。斬って斬って斬って……そんで、気付いた時には足元に転がってるのは屍ばかりだけどね。仲間の屍も当然あるよ。それってすごくやるせないことだ。でも皆を導いてるから晋助は立ち止まれない。


だからたまにフと我に返り、しかし足元に転がった天人の屍を無造作に踏みつけ、

「……チッ、雨が降ってきやがった。血の臭いが消える……こりゃ銀時の鼻も効かねえな」

と雨を孕んだ天の雲を睨み、動物じみてる銀さんの嗅覚を思って薄く笑い、また刀をだらりと下げて晋助は戦場を行くんだ。今日も。


そんで、たまたま偶然にも戦場の片隅で新八くんを見つけた。危ういながらもちゃんと眼前の敵を斬る新八くん。ヒュザッと振り落とされるは、きちんとした道場剣術のイロハを纏う美しい刃。新八くんは強い。
そんな新八くんを見て晋助も少し安堵するんだけど、その次の瞬間にはもう新八くんの頭上に迫り来るは敵の天人の刃ですよ。

戦場では息つく暇もない。そしたら晋助は新八くんの頭上に迫った敵の白刃を認めるなり、身体を俊敏に動かせてダダダと地面を蹴り、

「────ッッ!!」

刀を構えた敵の胴体をザバァッと真横に斬る。一片の容赦もなく斬る。そんでビチャビチャと腹わたをぶち撒けた敵が、

「……あ?……ああ?んだコレ……」

自分で自分の腹わたをつまみ上げてるくらいには素早い動きで相手を斬ってる。もちろん、ものの数秒後には相手はどうっと地面に伏せております。斬られた事もひょっとして気付いてないかもしんない。

新八くんは一連の流れを間近で見てたけど、まだ腰を抜かして立てなかった。だって一歩間違ってたら、自分が今こうして転がってる天人と同じように死んでたかもしれないのです。一瞬で生と死が分かたれる、それが戦場です。

んで、ふうと息を吐いてる晋助を恐る恐る見上げた。


「……た、高杉さん」
「テメェ、頭の上もよく見とけ。死ぬぞ」

晋助はそう言いながら、頬に薄く飛んだ血飛沫を乱雑に拳で拭う。


「い、いや、頭の上とか普通見れないでしょ。だって今のは完全に死角から来ましたもん。そんな風に動けるのは銀さんとか高杉さんとか、桂さんとか坂本さんくらい……ってアレ、結構動ける人が僕の周りに多いな」(←確かに)
「ああ……まあ、テメェができねえだけか(真顔)」
「うるせーよ!誰のおかげでこっちが目立たないと思ってんだよ!……でもあの、ありがとうございました。高杉さんが助けてくれなかったら、死ぬとこでした」


恐る恐るながらも、たとえ場所は戦場でも、目と目を合わせればもうこうやって話せる高新です。新八くんだって今は立ち上がり、ペコリと大きく頭を下げる。だから晋助も血のこびりついた刀をヒュッと振り、

「テメェを助けた訳じゃねェ。ただ……死にそうになってるテメェ見てたら身体が勝手に動いた」

新八くんから目を逸らして、ぽつりと呟く。新八くんはその言い草に少しドキッとして、

「そ、そうですか。僕ってばそんなに死にそうでしたかね」

などと慌てて言ってますね、全く的はずれな回答です(戦場でも童貞メンタル)
そんな新八くんの周りにはいつも居る筈の銀さんの姿はない。だから晋助も訝しげな目つきになり、キョロキョロと周りを見渡し、


「銀時はどうした?近くに居ねえのか」
「あ、ハイ。負傷した方が居たので、銀さんはその人に肩を貸してます。だから今は負傷兵を庇いつつ、僕らの部隊は撤退してます」
「あ?勝手に何を撤退してやがんだ、テメェらは」


勝手に兵を分断され、ピクリとこめかみを引き攣らせた晋助。でも新八くんは怯まない。

「だって怪我をしてる方がたくさんいます。雨も降ってきたし、皆さんに治療が必要なんです。撤退するって銀さんが」
「銀時の野郎……何を勝手に進めてやがる(ギリギリ)」
「『いいか新八、戦略的撤退だからなコレ。負けてる訳じゃないからコレ』って、銀さんが」
「……銀時なら言いそうだな」
「ええ。銀さんなら言います。だって銀さんなら、護ることを諦めない」


澄んだお目目で銀さんの言い草を引き継ぐ新八くん。だけど晋助は納得いかない。だって鬼兵隊のメンツも今日の戦ではたくさん死んだ。敵の命を奪うくらいでは埋められないものが、晋助の手からこぼれ落ちた。だからもっともっと斬り伏せなきゃならないのに、なのに、銀さんは生きてる連中を庇うために撤退すると。生きてる連中こそを護るために闘うのだと。

そして新八くんは銀さんの意思を継いでる。


晋助の中にはどうしようもない苛立ちが募った。これはもう誰が誰を好きだの、嫉妬してるだのという生易しい問答ではなくて、魂からの咆哮だった。決定的に分断してる自分らの意思を突きつけられたみたいで。
だからギリギリと歯噛みしながらも、晋助は新八くんに向き直る。


「いいか、そういう時は敵も同じ状況なんだよ。今こそ畳み掛けねェでどうする」
「いや、今こそ撤退すべきです。だって今畳み掛けても、こっちの疲労がピークな分だけこっちが不利なんですよ。もともと幕軍よりも数が多くないし……分かってください、高杉さん。僕、銀さんに従います」
「……どうしてもか?」
「はい。どうしてもです」
「……チッ。もういい、勝手にしろ」


はっきりキッパリ、凛々しくも意見した新八くんをもう見ていられず、晋助はくるっと踵を返したのですよ。そして、

「高杉さん!待って!」


後ろから掛けられる声も無視してまた再び戦渦の渦に飛び込むの。
てか本当不器用!言いたいことも言えない晋助の不器用さが冴え渡るよ、今日も戦場で!(キラッ)(また例の輝き)


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