01-14

/花や草の香りが詰まったアロマオイル、冬に雪に埋もれていると、草の匂いも懐かしく感じる。瓶とか缶とかは、季節を閉じ込めてくれているらしい。冬も瓶詰めにして春にちょっと食べるのが良い。雪かきをつらく思う必要はない。

 

01-16

/そろそろ命日であり人の呪いのようなものは確かにあるけれど怨み怨まれることではない。

/丁寧に作られたものを不足の中で直さねばならない無力。触らず残しておかねばならないものだろうけれど仕事なのでやる他にない。布を裂くような話。

 

01-19

/手拭いが好きで、贈り物やお土産となるとまず手拭いコーナーに向かってしまう。手拭いばかり贈ってどうすると頭を振って他に向かう。手拭い好き同士とは旅行の度に各地の手拭いをどうだどうだと送ったり報告し合う。長くて渋くてユーモラス、使って良し、飾って良し。各地の手拭いに幸あれ。

絵心経の手拭いは先の夏に一番お世話になった。文字の読めない人にも教えが伝わるようにと絵で描かれたお経なので読めるし可愛い。遠野や花巻、奥州から来た手拭いもしばらく飾ったので来年は活躍させよう。冬に入りて夏を思う。

オリジナルの手拭いも作れるということで、今年は記念として何か物を作りたいと思っていた私はコレダと目を爛々とさせている。手拭いでいいだろうか。手拭いになると思う。

 

01-21

藤鶴青年の忘れものは気高いペンダント。あなたは冬の化粧された景色の中で目覚めました。戻るしかないようです。忘れものは近くにあります。向こうで項垂れるもぐらが呼んでいます。 #忘れもののおはなし

 

01-25

/数々の微妙な敗走を重ねる。微妙ゆえに痛手にはならない。やがて楽しくなってくる。

 

02-04

/さよなら、こんにちは、きみには、また明日。

 

02-12

/空の雲を龍が摘み食いしたらしく、穴からぽっかりと青空が見えていた。

/雪原には何も植えられない。ただただ雪。白い野っ原に何ひとつ生きているものがいない。ねぐらで寝るに限る。

 

02-21

/青森犬は雪の帽子をかぶりながら黙考している。青森猫がいたならば代わりに番犬をしてくれる。

 

02-26

/鉄橋のアーチからあちらが見える。行けそうで行けないな。

/これが夢ならばひどく苦しくてひとが優しいものであった。朝すっと目が覚めて光が入ってくるのだろう。朝が空から垂れてきて緑色に染まっていく中で、ああ夢であったかと、見知らぬ私が言うのだ。

 

02-27

/この身は一つの星のようです。

/擬似的に星空を作るならば、星とするものは何か質量のあるものがいい。大福とかがいい。まち針で開けた穴では光が向こう側にあるので遠すぎる。描いてみても平面なのでうっかり微笑んでしまう。電球の殻は良い形だが硬い。

/泣きたくなったときの気持ちを覚えているために泣くというのでもいい。後から理由を考えるときに、新鮮なまま取り出せる。

 

03-03

/死が近付くと故郷の夢を頻繁に見るようになるという。帰りたい場所であればいい。また、故郷に限らず帰りたい場所があるといい。

 

03-05

/海の上を歩くことは難儀ですが雪の上は歩けます。よくしまった雪の原に足をかけて渡りますと、童話の子供たちが歌い出しますので、ここには手袋を買う狐もいるだろうし猫の事務所もあるのだろうという気分になります。雪に乗って視点が少し高くなるので冬とは気分がいいものです。そしてたまに雪に埋まって身動きが取れなくなるのもお約束。助けが来ないなら春を待て。

 

03-06

/霞が出ているのなら、その奥に月を押し込めてしまいたい。

 

03-07

/夜空を煮立てて蒸発させて、青いコンロの火だけトロトロと燃やしていたい。夜中の景色も雪灯りで何も見えないわけではないので、冬は一晩中明るい。

 

03-08

/三月の雪。地元で見ていたものはも少し寂しいものだった。まだ弱い陽光と積もる前にどこかに消えていきそうな雪の風景はまだ寒さが染みる。冬の最中だった。こちらでは熱さを取り戻した太陽が降る雪をびかびかと焼くので流れ星のような刹那の春。

 

03-11

/おおきな鳥が空から来た。どうぞ静かにお帰り。

 

03-16

/今日の月は小鳥のようだよ。自然のものと語らう時間を取るといい。人とも違う言葉の中で今一度考えてみるといい。

 

03-20

/星空から止まない雨音

 

03-31

/雪が波打ち際を描いている。川にいた雪の塊みたいな白鳥は帰っていく。白いものがいなくなってフキノトウが顔を出すと、これからいよいよ色に溢れて喧しい季節になる。心して迎えよ、春がもうじき来る。

/雪が消えていくと、霜焼けやら腹ぺこやら寒さによる痛みやらに悩まされてきた季節の終わりがはっきにと見えて、生き延びたなと思うようになった。春の寒さは透き通ってはいるが傷口をなぞられるようで苦手だ。それにしても悩まされた雪との別れは切ない。

 

/RT、みんクエありがとう。芯海の旅人でした。大好きな世界でした。想像がどこまでも広がる舞台と、素っ気なく淡々と語られる物語に引きこまれます。物語そのものはもちろん、文体も好きで。ドットも敵味方みんなかわいい。公式サイトでテキストを公開しているようなので、しばらく入り浸ります。冒険初期のリザルトなど懐かしいです。

 

04-06

/逃げた先でもわりと笑って暮らせたりする

/あたたかで静かな夜に、病院の跡地でうたた寝をした。育った木々が黒々としていて、ビルの明かりを遮っていた。木の葉の穴の夜空は深くて、星が所々食われていて、腰掛けたベンチもあちこち虫食いで、小船のようにぐるぐると揺られていた。落っこちれば冷たい水で目も覚めるだろうけれどこのままで。

 

04-09

/晴れた夕暮れの月が、飛行機ほどに真っ白で、月は手に取れそうな距離にいるんだなんて思ってしまった。

 

4/19

/りんごの木の若芽が膨らみ、ツバメが住処の視察に来て、春だなあと思い、夏が来てそのうちりんごが実ってトンボが飛んで寒くなりまた冬になるのだなあと寒さに耐えていると名残雪がちらつき、寒いのは苦手だけれども冬は好きだとしみじみしている。

/毎年名前を忘れる黄色い花は今年も見事に名前を思い出せずに検索をかけることになった。レンギョウだった。自宅の庭に植えられているので幼い頃からこちら毎年名前を誰かに聞いている。来年こそは。レンギョウ、良い名だ、と初めて聞いたかのように言える。

 

4/20

/肩翼になっても帰っておいで。

 

4/22

/スカイオデッセイ、スタッフロールまで辿り着きました。空気を掴んで飛べるフライトアドベンチャー。良い空でした。音楽はワンダと巨像でもお馴染み大谷幸さん。未知の島々の冒険に奥行きが出ます。

これまでエスコン、トリノホシで飛んで来ましたが、それぞれ良い部分が違うのであちこちの空を渡り歩きたくなります。エスコンの空はひたすら高く、トリノホシの空は鳥の目線を楽しめる。

 

4/25

/夕暮れの中で桜を見てやっと咲いているようだと思えた。春が来ているようだ。あんまり雪が降らないものだから幻を見ている。霞か雲か灰のように木に足元に降り積もり一面が白い畑である。手元に置いた植物がいやに青々としている。こんな灰霞の中では紫色の花の絨毯も毒々しい。