2012-2-23 12:34
啜るコーヒー。
かじる菓子パン。
食べ慣れた安っぽくも懐かしい味。
夢なんて、いつの間にか捨ててしまった。
でもひとつ、残したのは後ろ盾のない希望。
寄りかかればグラつき、縋れば殊のほか力強いソレひとつ。
描こうとした夢はいつから打算の色に染められたんだろう。
煌びやかに飾り立て、紛らわすように取り繕った。
見合わぬ意地で、欲したものがあったから。
まばたき一つ。
咳払い。
何ら変わらぬ日常の一コマ。
夢から醒めた味気ない寝起き。
それに似た何かが、やたらと飾った夢の成れ果てを喰らい尽くしているようだ。
遥かに望んだ彼岸へと、渡す舟はいずこに消えた?
啜るコーヒー、かじる菓子パン。まばたき一つ、咳払い。
変哲のない日常の中に、新たに描いた夢はささやかな願いなのかもしれない。
君の待つ場所へと走りながら、この先も君と共にあるコトこそが全てだと思った。
2012-2-23 12:14
至るトコロに君がいる。
この道の先に、あの店の中に。
君が。
あの日のままの君が、
すぐ隣で笑ってる。
遠く遠くにいる君の、
あの手のぬくもりが蘇る。
久しい声の気配に振り返り、
君がいない街並みに姿を探した。
夏の盛りに懲りもせず、
汗ばむ手を取り、あの木の下を並んで歩いた。
至るトコロに君がいた。
この見慣れた景色の中に。
あの、行くはずだった場所に。
君が、
あの日のままの君が、
笑ってた。
遥か遠くにいる君の、
あの眼差しが思い出せない。
巡る月日のその中で
君がいない街並みをひとり歩く。
冬の寒さに睦まじく、
温い手を取り歩きゆく、誰かの姿を見てられなかった。
去りゆく日々は、思い出に。
君も、
あの日々も、
あの喜びすらも、
いずれは霞み、美しく歳月に埋もれていく。
至るトコロに君がいる。
この先も、その先も。
永久に変わらぬ、思い出の中にだけ。
2012-2-22 01:42
さようなら。
もう振り返らない。
でも、ほんの時たま、思い出させて。
大事な大事な、思い出の1つとして。
焦がれる程に恋することができなかった。
深く、愛したから。
強く、信じたから。
君の全てを知りたかった。
でも本当は全てなんて、いらなかった。
手がぶつかるだけで、
言葉を向けてくれるだけで、
ほんの少し時間をくれるだけで、
とても嬉しかったから。
それ以上はいらなかった。
それ以上知れば、きっとそれ以上を望むと知っていたから。
それ以下になれば、きっと身勝手に傷つくだろうから。
眠る前、携帯越しに送られる「おやすみ」の一言。
目覚めたとき、送られる「おはよう」の一言。
何気なく向けてくれる、ほんの一言だけで、ボクは誰よりも幸せになれた。
いつだって、ちっぽけな携帯の向こうにいる君を思い描いて、すぐにでも触れたかった。
絡め合った指先のように、
重ね合った唇のように、
抱き合った身体のように、
決して1つになれないながらも、互いを確かめ合えれば、それでよかったのに。
知るほどに、知りたくなった。
子供じみた好奇心と独占欲で、お互いを潰してしまうほどに。
くだらないことを話した。
くだらないことで笑った。
くだらないことがあんなにも楽しかった。
でも、今は
もう 違う。
ありがとう。
知り得なかった多くを教えてくれた人。
去りし日の君の笑顔が見たいから。
在りし日のボクを思い出して欲しいから。
さようなら、愛しい人。
2012-2-21 16:25
ふとした予感に過ぎなかった。
何のこともない眼差しに応えるべく、合わさった視線。
他愛ない話に、お愛想で浮かべ合う微笑み。
雑踏の中を歩きながら、知らないコトをポツリポツリと尋ね合った、あの日。
お互いが、友人としての節度と距離を保ちながら話したあの時。
白昼夢みたく広がった妄想の中に、手を繋ぎ合って、幸せそうに歩く自分たちを視た。
きっと、この人を好きになる。
思えば、その予感が始まりだったのかもしれない。