056.課外授業【学園的な100題】



大きな窓からは観覧車が見えた。

闇夜の中、鮮やかなネオンを纏い、いつも私を誘っていた。

私はいつも、くだらないと笑っていたけど。





話し相手は決まってルーズリーフ。

あるはずない世界を描いて、願っていた。

変わり映えのない日々に何かが起きることばかりを。





望む都会はラッシュのリボンに飾られて、哀れな私に教えてくれた。

欲しいものはいつも手元にあるのだと。





ぼんやりボードを眺め、

何度も聞いた話を無感動に流していた私は気付けなかった。

振り返れば、あれだけ望んだ何かは

あの頃、もう私の手の内にあったのだと思う。





ないものばかりを求め、必死に足掻いていた。

持っているべき夢を探して、闇雲に焦っていた。





例えばあのときら素直に寂しいと言っていれば

手にしたものに早く気付けていたのかもしれない。




大きな大きな回り道をして、

ようやく知ることができた。

変革なんぞ、すぐに起こせるものなんだと。





今日、





見ているだけだった観覧車の下に

放課後の授業をサボって遊びに行こう。





それから、傍らにいる君に大事な話をするんだ。





もしも上手くいったなら

あの観覧車のてっぺんで










初めてのキスをしようか。