スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

068.鼓動【学園的な100題】





火照る頬に手を当てて、

廻る酔いに歯止めをかけよう。

失敗するだろう目論見も、

紛らわすにはちょうどいい。





歪む世界はふわふわと、

何もかもが飛んでるよう。

笑う声がコロコロと、

頭の中に響き渡る。





あぁ、この心地をなんと言おう。





向かいに座るキミの目は

潤とうるみ、揺れている。

杯持つ手が鮮やかな薄紅色に変わっていた。





あぁ、

嗚呼、





昨日の言葉は本当に

君の本音と思っていいのだろうか。





疾る鼓動は酒のせいか、キミのせいか。





ビールを飲み干す喉元が、

くつろげた襟元から見え隠れしている。

昨日と変わらぬ声を紡ぐ、その喉元が。





響く響く、大衆のざわめき。

絡み絡む、探る視線。

どうかどうかと、打ち鳴る心。





のらりくらりとかわしていた、

言葉をどんな形にすべきか。

言外に匂わす雄弁な想いの

返し方がわからない。





火照る頬に手を当てて、

逡巡する思考に歯止めをかけよう。

見つめ合うだけで、まさか。

酔いのせいにでもしておきたい。





期限は確か、宴の後。

夜道をキミに送られる、

あの歯痒くも喜ばしい瞬間まで。





あぁ、誰か。

嗚呼、誰か!

教えておくれ。





この気持ちを余すことなく伝えるすべを。

かくも深く愛しいのだと、

この鼓動のように知らしめるすべを。









学園的な100題 一覧

067← ‖ →069

<<prev next>>