2012-4-4 06:47
052.三日坊主【学園的な100題】
鮮やかに色づく夢に、心は躍る。
きっとあんなことができる。
きっとこんなことをしよう。
輪郭の中の空白に、色を置く。
きっとこれがいい。
やっぱあれがいい。
描いた最良の理想に見合う空想を日がな一日、追い求めた。
それはきっと、ちょっとだけ
許された気がしていたのかもしれない。
鼻歌さえ交えながら、乙女のように夢をみた。
柄にもないと自覚するまでの短い間。
ただ純真に夢だけを追ったあの頃とは違うと、気付くまでの楽しく儚い時間。
あんなことができたかも。
こんなことをしたかった。
空白を染める安っぽくみすぼらしい色に、突如として興が醒める。
抱く望みはいつだって叶わぬと知った昔。
ばかばかしい熱意も捨てたはずだった。
それなら、これは
何なんだろう。
壊した空想の成れ果てに覚える、淡い寂寥。
抱いた夢を退かした後の、言い知れぬ虚脱。
ただ戻るだけに過ぎない。
味気なく、色味のない日常に。
きっと、
それが私にはお似合い。