052.三日坊主【学園的な100題】



鮮やかに色づく夢に、心は躍る。

きっとあんなことができる。

きっとこんなことをしよう。





輪郭の中の空白に、色を置く。

きっとこれがいい。

やっぱあれがいい。





描いた最良の理想に見合う空想を日がな一日、追い求めた。





それはきっと、ちょっとだけ

許された気がしていたのかもしれない。





鼻歌さえ交えながら、乙女のように夢をみた。

柄にもないと自覚するまでの短い間。





ただ純真に夢だけを追ったあの頃とは違うと、気付くまでの楽しく儚い時間。





あんなことができたかも。

こんなことをしたかった。





空白を染める安っぽくみすぼらしい色に、突如として興が醒める。





抱く望みはいつだって叶わぬと知った昔。

ばかばかしい熱意も捨てたはずだった。





それなら、これは

何なんだろう。





壊した空想の成れ果てに覚える、淡い寂寥。

抱いた夢を退かした後の、言い知れぬ虚脱。





ただ戻るだけに過ぎない。

味気なく、色味のない日常に。





きっと、

それが私にはお似合い。





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