前置きー。

マクカム一家の日常のひとこま。長男ジークベルトが鋼の味を出そうとがんばるお話。


竜に変身できることと髪の色は母カムイ譲り。そんなジークベルトに一つだけ受け継げないものがあった。それは鋼の味だ。

そろそろ昼ごはんの用意をしようとキッチンにマークスが来るともうすでにテーブルにご飯が並べられていた。

「父上。白夜料理に挑戦してみたので食べますか。」

「ああ。いただこう。」

ジークベルトの新しい手料理を断る理由もない。盛りつけはジークベルトにさせ。マークスはお茶の用意をした。

「‥‥」

「‥‥」

家には、マークスと二人だけ。カムイはカンナを連れて白夜王国にはお出かけしている。

「ジークベルト料理が上達してとっても美味いぞ。」

「ありがとうございます父上。シノノメ君直伝の隠し味の調味料を少しいれてみたのです。」

「第一王子が隠し味を持っていたのか?だから見た目が素朴でも味が筆舌に尽くしがたくなるのか。」

両王族の中でご飯がすすむ味になるのはリョウマとシノノメとマークスとジークベルト。特に味つけはマークスの勝ち。何故ならカムイから「マークス兄さんの手料理が美味しい」とお墨付きをもらっている。

「「ごちそうさまでした。」」

「ジークベルトまた作ってもらってもいいか。」

「えぇ。いいですよ。あっ。父上。」

「どうした?」

「私は、母上とどこからどこまで似ているか教えてもらっていいですか。」

「急にどうしたんだ。ジークベルトはカムイと同じ髪色して竜になれる。それにカムイに似て夜の訓練にも精をだしているてはないか。」

「父上は竜になる息子を見て恐いとも。不気味だと思ったこととかないのですか。」

「ない。むしろカムイの子供であるという証があって嬉しく思うぞ。」

「そうなのですか。」

「あの子は竜になれて強いが。時々竜になれる自身に怯えたときもあった。」

「あんなに強くて人望のある母上が。」

「カムイが妊娠したときは「兄さんの子供の頭が竜だったらどうしよう」と泣きながらも竜に関することを探しては独学したものだ。」

「ハハハハ。現に母上は私を人間として無事に産んでくれました。秘境にいる間も竜らしく本能的にならなかった。」

「そうだな。ジークベルトはカムイにしかない優しさも。努力を惜しまない所を受け継いで嬉しく思うぞ。」

目標である父上が母上に似ているところをジークベルトに教えてくれてほっとした。

「父上もうひとつだけ私は、母上から受け継いでいないものがあるのです!」

「それはなんだ。」

「母上の作る料理の味。鋼の味です!」

これには真顔で言った。

「鋼の味になれるように鉄分多めに調味料を作り。隠し味をいれてみたのです。でもなかなか鋼の味になれなくて。」

アピールするジークベルトにマークスはぶっと吹き出した。

「なぜ!笑うのです。」

「前までカムイの手料理に塩をふって食べていたではないか。」

「それは小さい頃の話しです!」

カムイは、料理の順番は間違えてもいないのに何故か作った料理が鋼の味になってしまう。不味いわけじゃない。

「私からカムイに話しておこう。それにジークベルト、カムイの味が作れないことを気にしないものだ。」

「でもカンナは鋼の味を作れるのに私には作れない。」

「それはジークベルトがカムイと過ごす時間が短すぎたからだろう。カムイなら喜んで鋼の味を振る舞ってくれるぞ。」

マークスが食べ終わった食器を片付けるとジークベルトも手伝おうとした。

「父上は、母上の料理好きですか。」

「あぁ。カムイの作る味が一番好きだ。なかなか癖になって飽きない。」

マークスは嘘をついていなかった。その証拠にカムイの手料理を平らげて平気な顔になるから。

「それじゃお母さん今日は、腕によりかけて作るよー。」

「僕だって。」

「カンナ私と遊ぼう。今日は、ジークベルトが手伝うから。」

「いいの?ジークお兄ちゃん」

「あぁ。もちろん。父上と遊んでおいで。」

「はーい。」

終わり。



























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