もう毒々しい内容の詩は思い付かなくなってしまったなぁ……これは数年前に書いたやつです。
貴方の囁く声。
それは甘い果物の様。
だけど本当は毒物だって知ってる。
低く響く声に乗せて囁かれた言葉を、初めて聞いたのは何時だったかしら。
貴方が言っているという事実に、どれだけ安心したか。
どれだけ喜んだか。
そして、どれだけ依存したか。
どれだけ溺れたか。
貴方の声は、私を狂わせる。
まるで噛み合わない歯車。
ギシギシと耳障りな音を発てて、動かなくなるの。
まるで迷子の子供。
居なくなった人を探して、探し当てられない無力な自分に泣くの。
こんな惨めな思いはしたくない。
一度は逃げ出したわ。
けれど、それも意味が無かった。
逃げ切れなかった。
振り返ってしまった。
もう、逃げられはしない。
だから早く囁いて。
私の求めるその声で、あの言葉を。
嘘でも良いの。
聴かないと噛み合わないの、歯車が。
孤独に狂って叫びだしそうなの。
そして聞こえてくるその声、言葉。
何時だって見計らった様に囁いてくれる、低く響く声で。
正常に回りだす歯車。
泣き止む私。
だけど所詮は嘘。
本物じゃないから。
けど、貴方の囁くそれに縋る。
けど思うの、何時も。
何時か本物になる?って。
貴方の囁く声が、言葉が。
偽物に満足出来る程、私も満たされてないから。
答えは未だに見えないけど。