前回から10日も経っているんですね(汗)
続きです。
といっても、どこで区切りにしたらいいのかよくわからないのですが。
本格的に書くとなると、根性いれないとできないし…。
とりあえずタカヤがデレたら一区切りにしたい。
(デレてくれ…!)
タカヤは夢をみていた。
苦しくて、つらくて。
もうダメだと思った時。
現れたのだ、天使が。
真っ白な光に包まれた、雄々しき姿で彼を捕らえている闇を切り裂いてくれた。
彼を食らおうとしている魔物の首をかき切り、彼の身体に巻き付いている大蛇を断ち切ってくれた。
助けられたのだ。美しい天使に。
タカヤの瞳が開いた。
最初、焦点は定まらず、やたらと薄暗いなかにいると感じた。
次の瞬間、身体がグンッと地に沈むようなめまいに襲われて、ビクリと足先が痙攣した。
そのままめまいにたえる。
世界がぐるぐるとまわっているようだった。自分はそこにまるまっているだけなのに、世界は勝手に横滑りしていく。それでいて、滑っていったはずの世界がまた瞬時によみがえって横滑りをはじめるのだ。
タカヤは苦しくて手をのばした。
すると、その手を誰かがつかんでくれる。
その手の大きな感じ、温かい感じが、タカヤに安心感をもたらす。
視界がまわることに変わりはないが、タカヤはそのまま、また眠りに落ちていった。
そして次に目が覚めたとき。
タカヤは明るい日の光を感じた。
(ここは…?)
身体中、きしみをあげるように痛むが、彼はそっと身を起こした。
そして、日の光を受けてキラキラと輝く石造りの窓、そこから差し込む光がよろこびを歌っているように静かに照らされている床。温かい光が這いのぼっている自分が乗る、上質の生地で作られた白いベッド。
彼が、身体に染み付くほど、長い時間ひたすら眺めていた天蓋。
すべてが懐かしく感じる場所。
ここは、ハルナの寝室。
(オレは…)
タカヤは呆然としながら、すべてがうららかな光に包まれた世界をみつめる。
(助かったのか…?)
そのとき、部屋のなかに人影が現れた。
ビクリ、と痛ましいほど肩を震わせてタカヤは反射的に振り返る。
「…ああ、ごめん」
そこには湯をいれた瓶を持ったアキマルが立っていた。
「おどかしてしまったね。でも、よかった、目が覚めて」
そういいながら、アキマルは無意識にタカヤの様子を確認するように、頭からつま先まで素早く視線を滑らせた。
すべらかな肌は、縄の跡以外、ケガはないようだった。
だが、彼の目を強烈にひくものがある。
それは、首筋から鎖骨、胸元へかけていくつもつけられた口づけの跡。
(…あいつ、タカヤくんが意識を取り戻すまで、手をださないっていってたのに)
そんなアキマルの視線に、タカヤは不思議がって、少々タレ気味な大きな目をパチパチと動かす。
その様子に、タカヤはなにも知らないのだろう、と思ってアキマルはあえて教えることをやめた。
胸元は自分で気づいてしまうだろうが、首筋のほうが派手なことになっていることは知らないですむだろう。なにせ姿見などないのだから。
(水鏡に映してしまったら大変だな。タカヤくん、きっと顔色を変えそうだ)
ハルナの口づけた跡はまるで首飾りのようにタカヤの喉に巻き付いている。
アキマルは初めて、ハルナのタカヤにたいする執着の深さを感じて背中に薄ら寒いものを感じた。
そしてタカヤへの愛着の裏に、ハルナが抱えているなにか病的なものを感じとった気がした。
ハルナからタカヤを取り上げたら、きっとハルナは壊れてしまう。
この異国の少年の身体に、呪術を刻み込んでいるのはハルナのほうなのではないか、とさえ彼は考えた。
「タカヤくん…」
そんなことを考えながらも、アキマルは彼とまた口をきくことにいいようのない緊張を感じながら、それでも声をかけた。
「身体を拭いて食事にしよう」
しかし、タカヤは凍りついたように自分に視線を向けて、その瞳をじっとこらしている。
「…裁判は終わった。君は無罪だ」
大きく見張られていたタカヤの瞳がさらに広がる。
それから、その黒目がぎくしゃくと動き、なにかを思案しているようだった。
「ハルナが裁判を終わらせた。君を解放したんだ」
「解、放…?」
タカヤが呆然とした表情で繰り返す。
「ああ、君はもう自由の身だ」
すると、ゆっくりと、実にゆっくりとタカヤの唇が動いた。
「ニシウラに…帰れる?」
ハッと、アキマルは顔をゆがませた。
「ごめん、そういう意味じゃない。君はいままで通り、ハルナの側室としてこの城で暮らすんだ」
「ああ…」
ゆっくりと、またタカヤの顔から呆然としていた表情が消え、花がしぼむように彼はうつむいた。
そうしながら、むしろ彼の瞳は現実的な色合いを持ち出した。
「ハルナが、裁判を終わらせたんですね」
「ああ、君は無罪だ」
無罪といわれて、ことがすべて丸くおさまるなどと考えるような無邪気な者ではない。
だが、ハルナが終わらせた、といわれれば、納得はできるようだった。
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最初は、弱ってるタカヤにハルナが無理やり口移しで食事をあげる、なんていう展開を想像していたのですが、なんかいつの間にか、アキマルとタカヤくんになりました。
じ、次回はハルナさん登場希望(汗)
でも、あの、なんていうか…好きです、アキマル(おい)
そしてほのかにハルナ様ヤンデレのかほり(うお)