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ろまんちっく 続き

アパートの外からスズムシ?の鳴き声がする。ついに、秋か…。
昨日は会社の人たちと仕事終わってから花火大会に行ってきました…。
********

(元希さんが考えていた? 高校に入っても? オレのことを…?)

隆也の中でグルグルと思いがめぐる。
思わず元希から目をそらせた。
顔が、熱い。

言い切った元希の方は、いまの自分の言葉に満足しているのか、苦笑いを浮かべながらも目が輝いている。

「まあ、オレの経験したなかで、いっちばんクソ生意気な存在がお前ってことだけどな!」

隆也から反応がないので元希はそう付け加えた。
そうして隆也を見る。相手は露骨に目をそらせたままだ。

「……おい?」

あまり沈黙が続くので元希は声をかけた。

「疲れたか?」

すると隆也は小さく首をふって元希に背を向けるように寝返りをうった。

「じゃあ、オレ、そろそろ帰るな」

ドキン、と隆也の心臓が鳴った。
元希の声は穏やかだ。
少しの間、隆也の反応を待って、そうしてなにもないことを確認すると元希は立ち上がった。

「ちゃんと寝ろよ」

そういって彼が立ち上がったのがわかる。
ゆっくりと部屋のドアのところに行く。

なにか、言わなくちゃ。

隆也は思った。

でも、なんて?

元希さん…、そう声に出そうとして、自分の声が涙がかっているのがわかる。
隆也は唇を強く結んだ。
静かに涙が、幾粒もこぼれ落ちてくる。

「明かり、消すか?」

ドアから元希の声がした。
隆也は背を向けたまま、首だけコクリとうなずく。

パチリと音がして部屋が暗くなった。

「じゃあな」

静かにドアが閉まる。
足音が遠ざかるのを耳にしながら、隆也は目をきつくつぶり、涙とともに小さく声を漏らした。
▼追記

ろまんちっく 続き

(あー…なんか、頭ぼんやりするかも)

「なんか、寝る前に飲むか?」
「ん…大丈夫です」

枕に頭を沈めながら隆也が答える。

「元希さん…」
「なに?」
「本当に、お世話様でした」

元希から返事が返ってこないので、隆也は顔を動かしてベッドの横にいる元希を見る。
すると、不思議なくらい優しく笑っている彼の顔があった。

「な、なんですか?」

思わず尋ねる。

しかし元希はいっそう微笑ましそうに見下ろしてこう言った。

「こんなしおらしい隆也を見られるなんて、すげえ楽しい」
「はあ…!?」

体力のせいか、隆也の「はあ?」にはさほど力がない。

「オレだって、ちゃんと世話になったときは感謝くらいします」
「いやいや、お前だってちゃんとそーゆーところあるのはわかってたけどさ。オレに対してだけはきつかったろ、ずっと」
「え…?」

元希が思い出に浸るようにしゃべる。

「なにしてやってもオレにはつっかかってくるし。物を渡したりもらったりするときも、お前、パッと取るじゃん。差し入れのジュースとか、プリントとか。ほかの先輩から物もらうときは、ちゃんと受け取るのにさ」

そんな細かいこと覚えていない。
隆也は自分の記憶を探ってみた。

「あ!」
「なに?」
「だって、アンタこそ、鞄とか道具とか荷物をオレに預けるとき、ドカッて投げつけるように渡してただろうが! あれ、本当に腹立たしかったんですよ! だからオレも負けないようにしようと思ったんです」

隆也の眉間に急に深いしわが寄る。

あんま、いい記憶スイッチ押さなかったな、と元希は後悔した。

「しかも、アンタこそ、一番辛くあたってたの、オレじゃないですか。それこそ、オレ、他の後輩がうらやましかったんですよ。だって、もう少し優しくしてもらってたもん。オレばっか…」
「あー、悪かった、悪かったよ。……荷物のこと? 最初の頃? あん時、オレ、お前になめられたくなかったから、最初にやりすぎちったんだよ」
「荷物、ドカって渡して、『ついてこい』だけですよ? 全部荷物持たせて、自分は先を歩いて。まあ、野球部ってそういうところありますよ。でも、アンタ、他の後輩にはもう少し優しくしてた」
「わかったよ、なんかやたらそこ気にしてっけど…オレ、そうだったっけ?」
「仲良かった」
「ああ、そう……。話しやすかったんじゃねえの。お前よりは」

ギリッと隆也の目がすさむ。

「ほらよ、具合悪いんだから、あんま興奮するなよ。謝るから。ホントはあんときから、ちょっとワリかったと思ってだんだよ」

その言葉で、隆也の表情が少し緩んだ。
それでもまだ、疑わしそうな色は残している。

「なにを、どう思ってたんですか」
「ああ? え? いや、どうって。なんだろう。……だから、お前にばっかきつくあたってんのは、自覚あったから、ワリーなーとは思ってたんだけど。ほら、お前の方も、オレを見ると睨んでくるから。特に最後のほうさ。オレ、お前のことどうしていいかわかんなくって。そういうときってやっば、話しやすいヤツの方にいくだろ。お前だって、オレのこと避けてたんだし。ただ…」

元希は一度、言いよどんだが、あらためて口を開いた。

「友達としてはうまくやれなかったけど、あのチームの中で一番好きだったのはお前だけどな」


自分の顔に熱が集まってくるのを隆也は感じた。
元希はまだ気づかない。

「お前の、あの試合に勝とうとする力は一番だった。オレ…そんなお前にこたえられないで、お前のことまともに見れないこともあったし。お前のこと、監督よりよっぽど怖いと思ってたよ。オレの力量見透かされそうで嫌だったんだ。だから、高校入っても練習、さすがにしんどいと思うときに限ってお前のこと思い出すんだよ。ここで、手え抜くかどうか、隆也が見てるみたいでさ。そんでいつも最後までやっちまうの」

*******
どうしよう。予想外に元希さんがしゃべってる。しゃべりすぎ?
とにかく出社してきます(毎日、毎日;)
▼追記

ろまんちっく 続き

自分の家の寝床というのは、どうしてこうも心地いいのだろう。

強がっていたものの、気を張っていただけのようだ。

自分の部屋で横になった途端に、身体中が重くなって少し痺れているような気がした。

「隆也、大丈夫か?」

横になるまで世話をしてくれた元希が、まだ心配そうな声をかけてくる。

「ん…大丈夫です」

(着替えまで手伝わなくてもいいと思うけど…)

母親が用意してくれた薄緑のパジャマを見たとき、なんだか気恥ずかしかったが、さらにそれを着るのに元希が手をだしてきたのには焦った。

だが、もともと強引なこの先輩は、もたつく隆也の動きを制してトレーナーと下着をはぎ取ってしまった。
そして、汗をかいてないか確認すると、スルリとパジャマの上を着せたのだ。

「ズボンは自分で着替えますから!」

隆也が抵抗できたのはここだけだった。


*******
会社行ってきます。
▼追記

棚卸、したんだ by隆也

「元希さん、オレ、先日初めて棚卸に参加したんすよ」
「あ?」
「勤めてる百貨店の棚卸。いつも裏方事務作業で、売り場なんてあんま行かないんですけど、今回、人数調整でうちのところも声がかかって。上司は当日まで連休だったんで、休みの間に代わりに説明聞いておいて、当日教えてって言われてて、結構プレッシャーだったんですけど、終わってみれば楽しかったし、いい経験になりました」
「うん…」
「上司は張り切って、次回の棚卸にも応援にいこうって。次回はほかのヤツもいけるように内容を伝えたいと思ってます」


「………それってオレらと関係なくね?」

「え?」
「ここの管理人が、隆也にかこつけて自分の近況言っただけじゃね? 日記? おい、これ日記なの?」
「元希さん、落ち着いて」
「オレとお前のイチャイチャなくね?」
「イチャイチャって…最近でも使う言葉なんですか?」
「話しそらすなよ!」
「お、皇子様とシリーズでもしかして使えるネタになるかもっすよ」
「百貨店の棚卸がか?!」
「城ん中とか、城下町とか、武器庫とか、なんか、なんかそーゆーの」
「お前、いまそれ考えただろう」
「もういいじゃないですか! ブログ書くリハビリですよ。それにもうすぐ家出て今日は区役所に行かないといけないんですから」
「お前、やっぱこれ日記だろう」
「区役所の用事さえなかったら、もっと元希さんとくっついていられたのになぁ…」
「…っ、そうだな。そうだよな隆也。休みの日なのにな。オレ、いまからお前ん地区の区役所、ぶっ壊そうか?」
「冗談でも反社会的な発言はやめてください。行ってきます」

「じゃあ、ついてく」

*****
なんぞこれ。

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▼追記

三文字(ハルアベ 小ネタ)

「オレの好きなところを三文字で言ってみてください」
「はあ? なんだよ急に」
「いいから。はい、よーいドン!」
「だから待てって! ……三文字、ってなんで?」
「短い言葉でまとめようとするから、そのぶんいろいろ考えるでしょ? そういうゲームですよ」
「どっからそんなネタ拾ってきたんだよ」

ジッ

「わ、わかったよ。そうだな、お前の好きなところ……『垂れ目』」
「えー」
「不服そうな顔すんなよ。じゃあ、あと、『エロい』」
「最低…」
「こんなのはどうだ? 『タカヤ』」
「え?」
「まんま、お前が好きってこと。トキメキそうな言い方だろ?」
「ちょっとベタ」
「めんどくせーな−。じゃー『ほしゅ』」
「ひらがな…。まあ、ギリですね」
「でも、まだなんか出てくる気がすんだよね。 あ! 『アンタ』!」
「なんで?」
「だってお前、そうそう人のことアンタ呼ばわりしてないじゃん。いくらタカヤでも」
「そうでしたっけ?」
「だって、西浦の奴らそう呼んでる?」
「呼んでない」
「だろ? お前、シニアん頃からオレのことはしょっちゅうアンタ、アンタ言ってたじゃん」
「それって嬉しいことなの?」
「よくも悪くもオレのことイシキしてるからそういう言い方になるんだろ。オレはずっとそう感じているぜ」
「なっ!! ち、ちげえよ!!」
「どうかねぇ」
「アンタはそんなことばっかり…」
「ほら、言った! オレ、そんなタカヤが好きだから」
「あーも−、アホらしい!」

********
すみません、小ネタで乗り切りました。
▼追記
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