「誰?」
「んー?」
ボヤけた返事のまま隆也が携帯ごと戻ってくる。

「そういえば、昨日、榛名さん送ってきたよ」
「あ? おう、サンキュ…」

イスに座ったところに声をかけると、案の定隆也の顔色は複雑なものになった。

無表情を努めて保とうとしている表情だ。
「誰?」
「んー?」

ボヤけた返事のまま隆也が携帯ごと戻ってくる。

「そういえば、昨日、榛名さん送ってきたよ」
「あ? おう、サンキュ…」

イスに座ったところに声をかけると、案の定隆也の顔色は複雑なものになった。

無表情を努めて保とうとしている表情だ。

「榛名さんって優しい人だね」
「はあ!?」

グリッと音がしそうな勢いで隆也がシュンの方を向く。

シュンが欲しかった反応だ。

「まあ、丸くなったことは認めるけどよ…」

隆也は口をモゴモゴさせている。

「そりゃ、まあ、いまみたいな気遣いを、現役の頃にもっとできてりゃ、まだましなバッテリーになれたとは思う」
「いまみたいって、どんな?」

そう言いながら、シュンは隆也の持つ携帯に視線を注いだ。

隆也の顔が赤くなる。

「…電話、とれなかったらメール送ってきたんだよ。体調よくなったかって。…無理してるヤツみてても楽しくねーんだよって、腹立つことまで送ってきてる」
「ムカツク。メール返す気、失せるんだよな」
「じゃあ、電話にしたら?」
「はああ?!」

兄の隆也は面白いほど顔色を変えた。