アイスはパピ◯。
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蒸し暑い日。公園にて。
「阿部、これでもいいか?」
近くのコンビニから戻ってきた花井が、ベンチに座っていた阿部にアイスを差し出した。
二つにわかれるチューブ型のアイス。味はコーヒーだ。
「おお、サンキュ」
阿部が礼を言うと、花井はその隣に座ってアイスの袋を開きだす。
「コンビニでどれにしようかなーって悩んでさ、なんとなくいまの気分でそれにしたんだけど」
「うん、いいんじゃね。オレ、この味、好きだし」
阿部の言葉に花井は安心した顔をする。
「うまいよな! オレも好きなんだ!」
笑顔で言ってから花井はハッとした。
(うわ、オレ、なんかテンション高くね?)
気恥ずかしさをまぎらわすかのように、ブチっとアイスを二つにわけると、ズイと片方を阿部に渡す。
それぞれがアイスを口に咥えて、しばしの静けさ。
冷たい感触が舌の上に嬉しい。
花井が横目でみると、阿部は無心でアイスを吸っている。
その横顔が妙にキレイで愛しくて、花井はそれを眺めていた。
チラ、と気配を感じて阿部が目をこちらに向ける。
「あ、いや。うまいな」
ドキッとして花井は思わず口を開いた。
コクリと阿部はアイスを咥えたまま軽く頷く。
「食べ終わったらカラはくれよ。オレ、捨ててくるから」
「いや、それは自分でやるよ」
「いいって、それ、よこせよな」
「なんでだよ」
「いいから!」
アイスの後始末について自分は考えていたんだ、と思ってもらおうととっさに考えたのか、花井は妙にアピールをしてから阿部とは違う方向を向いてアイスの続きを食べだした。
と、座っているベンチの後ろにある茂みの向こうから、歩きながら話しているのであろうどこかの男性二人の会話が聞こえてくる。
「お前、彼女と最近、どうなの?」
「べつに、フツーだよ」
「ふーん」
「こないださあ、一緒にアイス食べた時」
「おお」
「大きなアイス買っちゃったの。そんで、一生懸命食べてる姿、ヤバかった。やたらかわいくってさ」
「なんだ、仲いいじゃねーか」
「食べ終わったあとさ、舐めてるあの棒、欲しいって気持ちがムラっとわいたんだけど」
「変態だし」
ワハハ、と二人はやたら大きな声で笑って遠ざかったいく。
(くだんねーこと言ってんなあ)
花井はそう思いながらなんとなくまた阿部に目を向けると、バチリと視線があった。
チュッ
阿部がだいぶ少なくなったアイスを咥えたまま吸って、花井のことをジッと見てくる。
(え?)
なぜだか花井は胸がドキリとした。そして次の瞬間襲ってくる、妙な焦り。
「んだよ、その目は!? 違うからな! オレ、そんな風に思ったわけじゃ!」
「ただ見ただけだよ。なに騒いでんだよ」
「ええ?」
「食べ終わったヤツは、やっぱオレ、自分で処理するから」
「だーから! 違うって言ってんだろ、お前こそなに言ってんだよ」
「花井、声、大きすぎ」
アイスを食べたのに、余計に暑く感じる花井なのだった。
おしまい
2015-6-8 06:54
不意にはなべ。
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(まずい、完全にしくった。オレ、なんつー。いや、押し倒したかったわけじゃなくて)
「……」
「いや、その、つまり…いや」
(待てよ、こういうところで引いたら痛いか!? ここは、もう、一気に)
ジィッ…
(ダメだ…相手の目ぇ見てらんねぇ)
「あ、のさ、ゴメン…な…って、イテ! ……おま…なに? どこ蹴って…」
「ここ、こんなにしといて、ゴメンとか笑ってんじゃねぇよ」
「やめろ、バカ、足、どけろ」
「答え出すまで、このまんまな」
ポンポンポンポン
「やめろって、蹴るなよ!!」
「なに怒ってんだよ。軽くだろ」
「阿部! いい加減にしろ!!」
「……花井なんて、じゃあ、知らない」
「え? おい、阿部!?」
ガシ
「放せよ」
「嫌だ」
「放せって」
「放さない。お前のことは、放さない」
「すげー、めんどくさい…」
「阿部!」
「なに?」
「好きだから、お前のことが好きだから!」
「………」
「だ、だから。だから、な……」
*****
「あれからもう4カ月か…」
「おー、いた。阿部、お待たせ」
「べつに待ってねえし」
「え?」
「嘘だよ。なんでそー、いちいち反応するんだよ」
「してないよ!」
「ああ、そう? あ、そうだ花井」
「なんだよ?」
「気持ちいいんだけどさ、やっぱ首に跡つけんのはなしな。オレ、あとで気づいて焦った」
「…………すみません」
2015-2-7 04:02
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こんばんは。
ミハチュウとお寿司ネタのハナベを書いていたら、とりあえずハナベの下書きができたのでブログにのせます。
……完全に下書きです。書き上げるまでもうちょいエネルギーが必要だったので、もうとりあえず忘れないように下書きをアプ。
内容も、うん、いつも通りな感じの(すみません…汗)
2013-3-23 14:12