忘れないようにメモ
『双子かァ…、名前考えないとね。』
幹久はベッドに寝たままの妻の手を握った。
授かった子供は、二人だった。
一卵性双生児。
『実は名前、考えてるの。』
『一人は葉。
そして、もう一人が……』
<<名前のないあの子の話>>
着物姿の女性が、深々と頭を下げた。
色素の薄い髪がそれに釣られて滑る。
『はじめまして、茎子さん。麻ノ葉と申します。
この度は、うちのバカ息子がご迷惑をおかけしました。』
「いいえ。それに、…………彼は私の息子でもありますから。
お互いにバカ息子を持つと苦労しますね。」
『…うふふ、そうでしたね。』
生まれたばかりのあの子を殺すなんて、出来なかった。
あの子が逃げてしまったことに安堵を感じてしまった事は……、大怪我をした夫や祖父には言えなかった。
『葉王と自ら名乗るような、大馬鹿者です。
そんな大層な者では無いと言うのに。
私の授けた名では不足だというのかしら』
「そうよ…、親の心も知らないで…好き勝手やってくれて…」
『茎子さん。貴女はあの子に何と名付けるつもりでした?』
「………私は”花”と。」
『まぁ…良い名前!』
★叔父と甥っ子が、同じ名前って可愛いなぁぁ、なんて妄想。
ハオは麻葉の名前だから、あの子の身体に名前がないんですね!