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ジャンク(古代英雄ss)

ファントムペイン


身体の一部、例えば腕。無くなってしまった筈のそれが痛む。
肘から先は何も無いはずなのに酷く痛むのだ。そんな時に思う。
魂は身体中に巡っていて、肉体を失った魂が喪失感に泣いているのだと。

って感じのが書きたかったらしい、残念な見切り発車ss。
非常にぶつ切りです。その上キモイです。






「馬鹿者が!」
いつに無い声色でミトスは叱咤された。
ベッドに寝たまま、そろりと鳶色の髪の剣士に視線を合わせる。
彼の怒りはもっともだ…とも思ったが、あの時の自分にはこれしか思い付かなかった。
既に彼の顔色は、赤を通り越して白い気がする。
「お前は分かっていないだろう!何度言ったら理解するんだ?
自己犠牲は立派な精神だと思うが、お前が死んでしまっては意味が無いとあれほど…!」
とうとうベッドの傍で頭を抱え込んでしまった彼は、やがて『頭を冷やしてくる』とだけ言い残して部屋を出て行った。
何を言っても言い訳にしかならない事は分かっていたから何も言わなかった。
だが彼が居なくなってすぐに漏れたため息を、まるで空気のように振舞っていた人物が拾い上げた。
「不本意だが、今回ばかりは奴に同意するぞ。お前が悪い」
「…ユアンもごめん。」
「その取って付けたような言い方が気に食わん。」
青い長髪の男は不機嫌を露にしたが、ミトスは笑った。
「それって僕の事、心配してくれてたって事だよね。」
「……。利き腕を失った剣士を、仲間として心配しない奴がいたら見てみたいが?」
とミトスの左腕が在る筈の場所、布団を拳で軽く叩く。珍しくユアンは冷静だった。
いつもなら真っ先に怒鳴っているだろうに、今回ばかりはクラトスの怒りにユアンの方が落ち着いてしまっていたようで。それでも心配かけてしまった。
「ごめん。」力無くミトスは呟く。

 

珍しく苦戦続きだった道中、全員が疲弊していた。
癒しの術も道具もほぼ尽きていた所を奇襲されたのだ。
勿論普段のクラトスやユアンに適う訳では無かったが、それでも数に物を言わせた部隊に、着実に体力と集中力は奪われていた。
特にミトスとマーテルを狙って集中的に攻撃を仕掛けてくる。
女と子供だけなら楽に仕留められるという目論見なのだろう、疲れきった彼らには有効だった。
必死に戦うがミトスは本来魔術に長けている。詠唱する為のわずかな時間さえ許されない。
マーテルを守りながら戦うユアンもとうに限界で。
ほぼ全滅した中で最後の数人が、僅かな隙を見つけクラトスへ迫る。
一人は他の兵士とは少し違う鎧を着けている…この部隊の長なのだろうか。
彼らもこのまま帰還しては王国に示しがつかないのだろう。
クラトスが飛び散った返り血に視界を奪われた。
自らの死を覚悟した刃が確実にクラトスを捕らえただろうと思った時には、もう無我夢中だった。
クラトスを突き飛ばしたまま上げていた腕が、次の瞬間には焼ける痛みの中に放りこまれる。
朦朧とした意識の中で、遠く姉の悲鳴と兵士の断末魔の叫びを聞いた。








「…っ!!!!」
激痛が襲う。目覚めた時は宿の一室だったようだ。
清潔な布団の中で痛みに身体が引きつる。
右手で自分の左肩を抱き、歯を食いしばるが呻き声は誤魔化せない。
「ミトス、よかった…目が覚めたのね!」
傍らに居たマーテルが裏返った声を上げた。目が腫れている。
「ねえ…さま?」
頭をぎゅっと抱きしめられる。「本当に心配したんだから」。
「ごめん…なさい、姉さま!」
それからはマーテルがあれこれと世話をしてくれ、落ち着いてきたミトスは「そういえばクラトスとユアンはどうしたの?」と辺りを伺った。
いつもの事だから外出していることは無いだろう。
と、機会を伺っていたのか、二人が木製の扉を開けて入ってきた。
咄嗟にユアンの顔色を伺った。
いつもならまずユアンが「お前はいつもいつも!!」と怒鳴り出し、それを宥めながらクラトスが一言付け加える程度なので、その反応も仕方の無い事だった。…のだが。
ユアンはいつまでたっても口を開かず、そして冒頭の場面に繋がる。





一方。クラトスは額を押さえ、宿屋の椅子に深く腰掛けた。
「……。」
不甲斐ない無い自分に腹が立っている。
失血の酷いミトスに応急処置したのも、珍しく取り乱したマーテルを宥めるのも、自分でも驚く程冷静だった。しかし今冷静でいられようか。

APH…ALBUM内に頂き物二点追加

しずく。さんより、相互リンク記念。
砂月さんより、一万HITお祝いをいただきました。

本当にありがとうございます!(*´∇`)

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ころころ改装してすみません。
目がいたいですよね!もし何か不都合があればご連絡くださいませー。
携帯機種によって表示の仕方がかわるから、できるだけ背景は使わないようにしてますが、可愛いトップにしたくてお借りしてきてしまいます。どうでもいいですがタピオカはDoCoMoユーザーです〜。
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