2012-02-12
/死んだ猫の夢。死んだ体が歩き回っている。死んでいるけれど動いていれば、まだ生きているんじゃないか?という問い。どっちだ。
死んじゃいない!そう言う私に、焼き場の人が猫を火にかけます、お別れを、とあの日の言葉。動いているんだ。嫌だ。動いているんだ。どうしても焼けない。死んでいるけれど、焼けない。 動いている猫を炉に放り込んだ。夢が途切れた。
/鍵を預かっている。大事な鍵。集会所の責任ある立場の自分。
鍵を忘れて集会所を開けられない。取りに家へ戻る。しかし在処が分からない。探す。思い出す。戸棚の、引き出しの中の、林檎の陶器の小箱。
鍵を見付ける。集会所へ走る。
もう一つの鍵を預かる人間も鍵を忘れて取りに帰っていたようだが、私より先に着き鍵を空けていた。立ちすくむ。
私は鍵を空けたくなかったのかも知れない。苦い思いで開けた者を追い部屋へ入った。
2012-03-13
/猫と蛇とぐちゃぐちゃになった肉塊の夢。私は動物を潰している。麺棒のような物で、生きた鼠のような動物を潰している。
温かな生肉の臭い。いつか猫が狩った雀の臭い。そして体や骨が潰される音。
一撃目では動物を殺す事は出来ずに、躊躇した。しかし振り下ろしてしまったからには退けない。歪んだ動物の背にさらに一撃。
どん、どん。死なない。動物は強い。焦燥。
どんどんどん。何度目かで動かなくなり安堵。剥き出しの柔らかな赤い肉をさらに叩いて、叩いて、動かない事は知っているけれど、叩いて、形が、無くなり、快感に似た高揚。ぐちゃぐちゃになり、違うものになり、気持ち悪い感じがふっと消える高揚。
肉のにおい。ひどいにおい。
頬を撫でる程度の罪悪感。事務的。
起きてからも臭いが消えなくて、胸がむっとする。手応えが生々しく残る。
かたつむりに塩をかけたのと同じ行為だと思う。私は殺したんじゃない。
/猫と蛇の夢。猫はおとなしい。蛇に手を焼いている。蛇が籠から逃げてしまう。かわいい蛇。かわいいけれど同時に手中に置けないような、自由のものを感じる。
蛇がこちらを見た。
なんだかとても悲しく空しい。
(以上二つは同じ日の夢だが、繋がっていたか独立した二つの夢かは思い出せない。
ここのところ肉だの死骸だのの刺激の強い映像や出来事は見ていない)
2012-06-24
/化け猫とただの猫の夢。嫌な夢だ。私は広い庭にいる。寂れた公園かもしれない。
庭には猫と、猫に見える化け物がいて、人間は化け物に怯えている。人間を襲うのだろうか?どう悪いのかは思い出せない。ただ、化け猫を私は退治しなくてはならない。私しか戦えないからだ。助けを求めた者たちが遠巻きに、遠慮がちに、そして少しだけ楽しそうに私について歩く。不快だ。6月の雨のようにまとわりつく。
化け猫は姿形はそっくり猫だ。
猫を殺したいと思うか?何のために。「しかたないんだ。私がやるしか、もう。」やりたくてやるわけではない。仕事なのだ。
夢の中で私は化け猫を何匹か殺し、ふつうの猫を何匹か助ける。
ただの猫も怯えている。化け猫の被害が無いように、あるいは人間から隠すためにか茂みに放る。心配である。ただ、私が助けなくても猫は生き延びるのではないかと思う。(ただ面倒なのかも知れない。または猫を殺さなくてはいけない自分を保つための行為。)
ある化け猫は威嚇しながら向かってくる。また他のやつは怯え威嚇してくる。化け物である猫は片っ端から殺す。殺すだけなら良い。殺す感覚が生々しい。
首根っこを掴み(噛まれながら)窒息させるのが主。首の皮が伸びる。温かい毛皮がちくちくと触れる。猫が抵抗する。迷いに一瞬慰められながら、息が止まるのを待つ。機械的に次を殺しに行く。それだけで死なないなら、ナイフで首を切る。抵抗するなら、首の骨や前肢の骨を折る。
やりたくない。でも、私しかやる者、出来る者がいない。殺した化け猫は死んで安らかであれと、願う暇無く次を次を。
そんな夢を同じ内容で二日間見て、同じ化け猫を二度頃ずつ殺し、凹んで仕方ない。嫌な夢だ。「私がやらなくては」。
2012-08-19
/病室とライオンの夢。病院のベッドに寝ている。
私はあと少しで退院だ。
病院の生活に、活力は低下してる。疲れている。
ライオンが足元にいる。唯一のともだち。心を許せる。大きな鼻をなでる。固い毛がごもごもと気持ち良い。
退院はまだか。医者に聞きに行く。
医者の手から沢山のお金(お札)がばらまかれた。
2012-08-30
/駅と戦い合う人の中の夢
駅の窓から押し寄せる敵の群れを見た。今周囲に知らせれば、ここにいる人たちは助かる。??でも。いいか、と思った。叫ぶのをやめた。私たちはいつか奴らに捕まるのだ。もうどうにでもなれよ。
恐怖。
トイレに用を足しに。まだ奴らはたどり着かないはず。戦いのために一息つこう。しかしトイレの窓に敵の姿。続いて硝子の砕ける音。もう来たのか。トイレする暇もない!
戦わなくては。しかし、私の武器は土を削るための小さなナイフ。刃はつけていない。茹でたジャガイモなら切れそうだし、突き刺せば傷は与えられる。勝てるか?
敵が獣のようにたちはだかる。敵の得物はきちんと研がれた長刃のナイフ。それから身長の高さ。おまけに屈強。
不利だ。ついでに怖い。ああ、自分の得物が槍であれば良かった。うっすら考えている。
懐に潜り込めばあるいは勝てる……いいや、逃げろ!
踵をかえすと敵と当たり合う知り合いの姿。勇猛、エースだ。何か叫ばれる。覚えていない。戦え!か、大丈夫だ!、か。
自分が招いた災いではないけれど、諦めが呼んだ不利な状況。戦わなければ。得物を探しに、味方と敵の間をすり抜ける。
場面は曲がり角の目立つアパートのような建物へ。暗く、非常灯と夜の海の緑色。幾つもの扉がある。どこから何が出てくるかわからない。しんとしているのはみなが息を潜めているからだった。ロビーのような廊下を歩く。味方が幾人もいる。
天井は低く感じる。駅は白く昼間のような日射しで開放感(と窒息しそうな重苦しさ)であったが、ここは真逆。苔のような緑、夜の寂れたアーケード通りのような電球の頼りなさ、生温い居心地の良さ……。
隠れ家のようなこの場所にも敵はあっという間に侵入してきた。わらわらと戦い始める。今度は私も武器を持っている。刀。振り下ろせば殺せる。
「だめだ、殺せない」
刀があってもだめだった。私には殺せない。
12.10.16
連れて来られた実験室。
奇妙に膨れた虫から体液を吸い出せ、と言われた。赤黒い体に蚊の口の様なストローを刺して吸い出すのだと。
色は赤黒く、どろりと粘性があり、酸化したような、錆びた血液みたいな味。すぐに吐き出したい。水銀を含むと言われた。吐き出す以外は無くて安心したが、水銀は水銀なので、吸い出したくもない。
きみたちにしか頼めない。そんなこと言われても。
躊躇ううちに虫の数が減る。同じように連れて来られた周りの人がやっている。周りがやっているならばやるしかない。周りがやるならば。
なんだ、こんなことのために連れて来られたんだな。脱力と騙された自分の愚かさに言葉も出ない。
13.12.06
道路の雪を除雪しないといけない。機械ではなく人力。
いつも車で行き過ぎる山道を、今日は歩いて通っていた。一面雪。重い。車は通らない。車の音がしない。人はいるのに。
ここの雪は誰がどんなふうに片付けているのか?考えると自分がやらなくてはいけないことに気付く。ああ、こうして人が道を作っているんだ。途方も無い作業。
機械というものが排除されている。
人が集まってくる。おじさんたちが雪かきを始める。
休憩をはさむ。
人が雪の中で黙々と動いている。
終わりやしないんだ。
けれど悪くない。
何のために道をつけていたのだろう。誰のために公道を除雪していたんだろう。