映像の中に推理物になってますってヒント自体はいくつかあるから、言ってもいいと思うんだけど…。やっぱりこのドラマ途中の部分が展開2つあるんですよ。何言ってるか分かんないだろうけど、これただのドラマじゃないからね。映像もセリフも1つで変わらないのに、2つの異なる展開を同時に作り出すっていう、とんでもないことしてるんですよ。徳尾さんの脚本がものすごく巧妙なんです。変化するのは5話「俺達付き合ってます」〜最終話「おかえり」の部分。

1つ目は普通に今まで通りに見てたらいいです。「俺達付き合ってます」の交際宣言があってお付き合いしてて、突然振られて1年後にプロポーズ。皆さん普通に今まで通りに思ってるやつ。

2つ目は『視聴者の感情論や思い込みは一切無しにして、牧君の言動に沿う』というもの。こちらは見る話数順が少し変わります。起点となるのは6話春田母の「ずーっと創一と友達でいてね」です。牧君が何で春田さんと別れたかって、これなんですよ。これを真に受けちゃったわけ。だから恋人関係は別れて好きでいてはいけないから「好きじゃない」って言うんだけど、友達でいるために嫌いになっちゃいけないんです。それで、元の先輩後輩の関係に戻ったように装いますね。マロは春田さんを「友達」って言うんで、この関係を友達とするのでいいはず。「ずーっと創一と友達でいてね」が合致しているので、『春田母のことを考えて春田創一と別れた』のは間違い無いです。
なので武川さんの「お前のことを考えてな」は思い込みで言ってしまっていることになります。まあ6話で春田家に押し掛けた時、「このまま本当に付き合ってて、春田さんは本当に幸せなのかなって思って」と言ってるので、そのまま『春田のことを考えて』と思い込んでるわけですね。
牧君が「好きだから」って言ったら春田創一のことを言っているように聞こえますが、「何で別れた?」って聞かれるので、春田母のことを考えて別れたのに春田創一のことを答えたら支離滅裂です。もちろん恋愛の意味ではなく、家族になる人、という意味で、本当に好きな人と言えるくらい春田母と向き合っていたんです。巻き込むのが怖くなった相手とは春田母で、本当に好きな人が2人になっているんです。春田さんは「別れるって何だよ」と言って別れることは望んでいないんだけど、お母さんは息子が同性と付き合ってるってあの時知らないから。2人の望みは同時には叶えられないから春田母の方を選んだって話。
「俺といたら、春田さんは幸せになれませんよ!」とは、俺といる、とは友達でいるということです。春田さんの幸せが女性と結婚して子供が産まれる普通の人生に戻ることだと考えてるなら、友達でいたって幸せになれるんです。←これ重要な所ですからね。別れた後は会社でしか関わってないんだから、春田さんの幸せが何かを何故知っていたかって、6話で別れる前から知ってたんです。「俺と結婚してください!」って『牧凌太との結婚』を望みますが、それが春田さんの幸せだって牧君本人が知ってる方法なんて1つしか無いじゃないですか。これが『2回目のプロポーズ』だっていう。
6話の「本当にいいんですか?相手が俺で」「いいよ、それは」が『結婚の相手』として話しているなら、話がすごく自然に繋がる。この前日には牧君が熱で倒れてるから、1回目はいつかって言ったら、好きだと自覚したその日のうちしか考えられないです。春田さんは買い物デートの日に牧君を好きだと自覚して、その日のうちにプロポーズしてんの。

おっさんずラブだけ専用で名前とブログを分けたので、元々は違う名前のブログで書いてましたが(そちらの記事は現在非公開)、ここまでのことは6月末から言ってますからね私。「ずーっと創一と友達でいてね」を特定するのが難しいから私も気付くのに4週間近くかかったんだけど、始めから何も隠してないんですよ。これにさえ気付けばあとは国語の問題で解けます。ここからはまだ書いたこと無いんだけど、続きがあります。

ケンタツと檸檬ちゃんが結婚を前提に交際会見を開くので、「俺達付き合ってます」も「俺達(結婚を前提に)付き合ってます」であると思われるのですが、何かおかしいんです。
武川さんが押し掛けてきた時に、
「何で否定した?お前ら付き合ってるんだろ?」
「このまま本当に付き合ってて、春田さんは本当に幸せなのかなって思って」
春田さんからプロポーズされたんだから、急なことだから準備が整うまで結婚を前提にお付き合い…ってことなら、このまま付き合ってて幸せなはずなんです。何で疑問に思ってるのか?これ1番頭悩ませた所なんですけど…。「このまま本当に付き合ってて」ってことは、付き合ってること本当じゃないんです。つまり本当は「俺達結婚しました」なのに「俺達付き合ってます」と嘘をついてしまったことにより、『付き合っている』と周りからは思われてしまい、「ちょっと意味が分からない」と牧君は付き合っていることを否定した。

6→7→6→5→6話の順に見ることでこの流れを解くことができるのですが、これを時系列順に並べ直すとこうなる。
買い物デートの日に牧君を好きだと自覚、その日のうちにプロポーズして結婚(最終話で「形って何だよ!」と言ってるので、一緒に暮らすことのみであとは形の無い気分だけの結婚で良い)。

翌日会社でカミングアウトするが、「結婚しました」と本当のことを言えずに「付き合ってます」と嘘をついてしまう。

牧家から帰ってきて、春田母と鉢合わせてしまう。目の前にいるのがまさか息子の結婚相手だとは思いもしない春田母から、孫の顔が見たいとか早くちずちゃんとくっ付いてくれたらいいのにとか言われ、春田母の幸せを考えて身を引く。

1年後、春田さんからもう1度プロポーズ。

私が言ってる意味分かりますでしょうか?映像もセリフも何も変わってないですからね?単一の映像で異なる2つの展開が同時に作り出されてること、ご理解いただけますでしょうか?この巧妙な脚本すごくない!?牧君の言動に沿ってるんだからこっちが本当のストーリーで、一般的に解釈されてる展開は思い込みによって作られてる偽物だと私は考えてるんですが。それとも途中で2つの展開に分岐して、見る人の好みで好きな方を選んでいいとするのか。それをどっちなのかってことがかなり問題なのでテレ朝に問い合わせ送りました。今返事待ち。2つの展開どっちでもいいならファンとしては選択肢が増えるだけだし、真相なら牧君が本当は何を思っていたかちゃんと分かってほしい。
男同士でキスとかマジでねえって言ったその相手に、好きだと自覚したその日のうちにプロポーズして、突然一方的に振られたのに、1年後にもう1度プロポーズしてんだから、春→牧の愛情度が爆上がりするんですわ。

牧君が倒れるの、職場で交際宣言されたストレスで熱を出したように見えるけど、あれ「ただの風邪」って言ってるからね。5話から無くなるんですが、春田家のダイニングには元々マスクの箱が置いてあります(ちずちゃんが座った席の後ろ辺り)。食品扱うスーパーへ行ったんだから、風邪をひいていて人に移してしまう恐れがあるなら、マスクして出かけるべきです。なのにしていないということは、症状が熱のみで人に移してしまう恐れが無いんです。なのにわざわざ『風邪』って言う。そして人には移らないのに、「人に移すと治るって言うじゃないですか」と春田さんには移そうとする。
風邪の原因っていろいろあるけど、体冷やしたら風邪ひいちゃうことって誰でもあるじゃないですか。倒れる前の日(つまり買い物デートの日)の夜、何があったかお分かりいただけますでしょうか?そしてそれを移そうとするって、つまりはお誘いです。ふわっとしたお付き合いじゃなくて、ちずちゃんが割って入ってきたくらいじゃ揺るがないくらい、5話時点でちゃんと結ばれてんですよ。

淡いお付き合いの方がいいって人にはマイナスかもしれないけど、これが真相だって言われても純愛度が上がるから私はこっちがいいな。
かなり難しかったですが、直接は語られていないことまでいろいろ読み取れるように作られてます。