※ベンヤミン・コレクション〈1〉近代の意味に収録されている「シュールレアリスム」についてのみの記事です。

ドイツの思想家ヴァルター・ベンヤミンのシュールレアリスムに関する小著。
むずかしかった。
現在、シュールレアリスムの歴史に関する本を読んでいるが、この後に読んだほうが理解し易いかったかもしれない。
とりあえず、短いものだったので先に読んでみた。

ベンヤミンは卓越した文章家でもあるようで、学問に対する著作にしては文学的な表現が多いようにも思う。
事実、それが思考の助けになることもあった。

無力な妥協的態度との対照として、ダダとも決別したシュールレアリスムを<志操>という言葉で表したのは、ブルトン、ひいてはシュールレアリストの内部を垣間見たわかりやすい表現だった。
ブルトンの「自由はこの世ではいくたの非常につらい犠牲を払わなければ得られないものであるが、それが存在する限りは、無条件に、十全に、一切の功利的な計算抜きで享受されなければならない」という言葉に、シュールレアリスムへの信頼と志操を感じる。

このように、ベンヤミンの文体が思考のつっかえをとくきっかけになる。
しかし、その文体の緻密さ繊細さの故に読む力も必要だと思う。
私も、シュルレアリスムの政治へのパースペクティブに関しては理解できていない。
とりあえずは、現在読み進めているのを理解の助けにして、これについてもう一度考察してみようと思う。



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