果たして狂人はその疾患により、常人では考え付かないような天才的飛躍をみせるのか。
つまり、「天才と狂人は紙一重」という神話を暴く。

おもしろいと思ったのは、狂人はあまりに簡単に妄想によって安定を得るということ。
例えば、「私が避けられるのは、私から嫌な臭いがする」とか「家に閉じこもるのは、秘密結社に監視されているのが原因だ」というような類。
心の中の混乱や不安に対抗するため、応急処置としてこのような歪な妄想で取り繕われるようだ。
原因として、複雑な思考によって混乱や不安を解決できず、またそれを保持する余裕もないので短絡な思考によって解決してしまうらしい。

このような事を基に、著者は狂人の天才的思弁は幻想に過ぎないとしていく。

そこで、この短絡な思考はシュールレアリストが用いていたなあと気づいた。
例えば、同音異義語や似たようなイントネーションによるモチーフの選択。
一見、幼稚で短絡な表現方法。
やはり、シュールレアリストにとって狂人は先導者のひとつだったのではないだろうか。

著者は、分裂症患者の言動はともすると隠喩的であったり詩的であるかのごとく感じられるが、それはやはり感じられるだけであり、結果的判断によるものだと、やはり主観性を否定する。

しかし、シュールレアリストにとってその理性を排したようなプリミティブで大胆な思考法が、超現実性の発見に一役買ったのには、それが疾患によるものだとしてもロマンティックなものにみえたからだろう。



話題:読書日記

久しぶりの更新です。
時間がなかったとかネタがなかったとかではありません。
ただめんどくさくなっただけでした。

ネタのほうは溜まっていってるので、またやる気がでたら更新していきます。

めんどくさいながらも改めて記事にすると整理が出来て良いなと思えたので続けていきたい!