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いよいよぼくはこの世界からいなくなる、という気分を体感したいとき、小さな安アパートから退去する夜を想像すればいい。棚は解体し植物は知人に預けた。長年世話になった洗濯機や冷蔵庫は無情にも売り払った。彼らは紙切れに変わっただけで、あれほど夜中にウンウン唸ったり、水を宇宙のように混ぜたりして立派に活動していたのに、物言わぬ紙切れになると何も言わない。きみたちがいなくなると正直寂しい。ぼくはぼくがここからいなくなることを差し置いて言う。明日にはこの部屋は空になる。