何パターンもPCのエディットの好み、というものは案外決まっているものである。
「あんれ〜?」
マク・アヌの橋の上で見慣れないPCがいて、楚良は首を傾げた。
白一色のプレイヤー。ジョブは……判断できない。
明らかなチートPC。
「おっもしっろそ〜」
にんまりと笑って、楚良はそのPCをターゲットした。
名前は……百蘭。
その名前には聞き覚えがあった。
どうやら、わざわざジャパンサーバーでログインしているらしい。
「コンニチハw」
「ん……?」
わざとらしく笑みを浮かべて挨拶すると、百蘭が顔を上げた。
「オニーサン、チート?僕ちんにもそのやり方教えてくんない?」
「教えてほしいの?」
「ん〜……やっぱいいや」
「どうして?」
百蘭が首を傾げる。
「だって、簡単に出来てつまんなそーなんだもん」
「つまんない、か……」
「オニーサンはつまんなくないの?」
楚良の質問に百蘭は考える素振りを見せた。
「つまんない、か……。でも、今は面白いんだよね」
「どーして?」
「面白いことをしてるからw」
「それなに?本当に面白いの?僕ちんにも教えてよ」
「……教えるわけにはいかないな」
さすがにそう簡単に教えてくれないらしい。
「……でも、君の方も面白いかも?」
「そーだよ。僕ちんお買い得?今ならPKついてきますってね」
にんまりと楚良が笑みを深める。
「どーする?買ってみる?」
「……楽しみは後で取っておくさ。……ソラ、だね」
「そ」
「またね、楚良」
百蘭がログアウトをした。
「……ふーん」
すぐに楚良もログアウトをする。
やはりというべきか、百蘭のログは見つからなかった。