フレユリ・ED後 ユーリ女体化 女性特有の悩みの話。






「……あー…しんどい……」


下町の自室のベッドに突っ伏して、ユーリは呻いていた。

仲間達と共に星蝕みを倒してから早やひと月。ようやく己の身に起きた劇的な変化に慣れてきたというのに。

「女のほうが楽かも、とも思ったが……。甘かった、な」


ユーリを悩ませているもの、それは「生理痛」であった。


あの戦いの数日後、ユーリの身体は女性へと変化していた。
リゾマータの公式がどうとか精霊の影響がどうとかもっともらしいことを何やらリタが喚いていたが、どうせ理解できるはずもない。原因の究明はリタに任せたが、今では実質、諦めたようなものだった。

当初はあまりの衝撃にらしくなく取り乱したりもしたが、しばらくして落ち着きを取り戻してみると、もう「なってしまったものは仕方ない」と思うしかなかった。

男であった時に比べて若干身長が縮み、腕力も落ちた。
だがもともとそこらの奴らが束になっても敵わない強さだったし、女性になったからといって剣の技量が失われたわけではない。
日々の鍛練は欠かせないが、それほど困ることはなかった。大体、エステルやジュディスは生まれついての女性である。女性だからといって、戦闘において特に問題はなかった。


女性になって良かったこと、といえば、やたら周囲の男どもが優しくなったことだ。
初めのうちは鬱陶しい上に気持ち悪いことこの上なかった。
特に幼なじみで親友の、フレンの自分に対する態度の変化には戸惑いを通り越して呆れる程だ。何かと特別扱いされるのは嫌だったが、ちょっとした面倒……例えば荷物持ちとか、もともと好き好んでやりたいわけではないことに関しては非常に便利、もとい助かっている。ただ、そう思えるようになったのはごく最近の事だ。当初はそれが情けなくて仕方なかったのだ。

魔性ね、とジュディスは言うが、断ったところでどうせ聞かないのだからいいだろう。
フレンに限らず、ユーリに構いたがる男は多かった。

もっとも、そうさせてしまう「何か」が魔性である、ということにユーリは気づいていないのだが。


逆に面倒なのはやはり異性の自分に対する視線だった。
もともと胸元が大きく開いた服だったので、刺さる視線はジュディスに向けられるものの比ではない。そこそこ立派な胸だが圧迫されるのが嫌で、下着やサラシといったものは着けたくなかった。
しかし「頼むから隠してくれ」とフレンが泣きついたため、渋々鎖骨あたりまで上着の合わせを上げている。

面倒はもうひとつあった。視線だけではなく、直接的なナンパやらセクハラやらが日常茶飯事なのだ。
ダングレストの酒場に行こうものなら毎回酔っ払いどもの死体の山が築かれることになる。
もちろん、酔ってしつこくちょっかいを出した男どもがユーリに叩きのめされることによって、である。おかげでしばらく出入り禁止を食らってしまった。
フレンはユーリが一人で酒場に行く事を良しとしない為、当分の間、出入り禁止は解かれそうにない。どうやらフレンはユニオンに根回しをしているらしかった。

あそこの蜜蜜ザッハトルテは好きだったのだが、代わりにエステルやリタとスイーツの食べ放題に行ったりできるしまあいいか、と思うことにした。やはり男一人でその手の店には行きづらい。


そうしてようやく面倒事にも慣れてきたところへ、これである。それこそ未知の体験だ。これから毎月ではあるのだが。

初めてだからなのか、体質によるものか、ユーリの生理痛の症状はキツめのもののようだった。なんとかギルドの依頼と報告を終え、ようやく帰って来たのだった。

対処の仕方はエステルから聞いた。だが体調に関してはどうにもならない。

やっぱ男のほうが良かったかも、などと思いながら、重い身体をただただ恨めしく思うしかなかった。





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続く