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(‥そりゃあ、ユキちゃんみたく胸も大きくないし。
若い山本シナ先生みたいに大人の女性とはいかないけど)
チラリ、と乱子は昆奈門へ視線を向ける。
その視線を受けて彼がニコリと笑った。
(私達、付き合ってるのにキスもしてない‥これじゃ本当に付き合ってるなんて言えない気がする)
今まで頭を撫でてもらったり、抱っこをしてもらったり、手を繋いだりはした。
だがそれ以上の行動が無い為に、不安で仕方がない。
(今度こそっ!!)
そう気合いを入れた乱子は、ぐっと昆奈門へ顔を近付ける。
突然のことに少し驚く昆奈門だったが、彼女の真剣な眼差しに黙って見守ることにした。
「ん」
訴える様に見つめていた目を閉じ、乱子はくいっと顎を持ち上げる。
縋るように彼の忍装束を掴み、見上げる状態の少女は待ち詫びるように自身の唇を差し出した。
頬を赤らめ、必死な様子の乱子に、昆奈門は愛しさで胸が満たされていく。
彼女のおねだりに応えようと、その赤く染まる頬に片手を添え、自らの口元を覆う頭巾に手を掛けた。
その瞬間に何かの気配を感じ、昆奈門は乱子を抱き抱えて木の枝へと飛び上がった。
ドスッと鈍い音が響き、2人が下を覗き込めば
全て金属で作られた重たそうな算盤と、白い漆喰の塊が先程まで2人がいた地面にめり込んでいた。
「おやおや、今回はまた過激だねぇ〜」
特に驚く風でもなく他人事のように呟く昆奈門とは対照的に、乱子は怒りの形相でそれらが飛んで来たであろう茂みをキッと睨み付ける。
「もぅーーーっ!!
潮江先輩っ、食満先輩何するんですかぁーーーっっ」
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