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【友で在り人で在り】雑乱4話

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互いに接点となる友人がいなくなり、完全に2人の会話は途切れてしまった。


だが、その沈黙は長くはならなかった。






「さっき乱太郎の後ろにいたのアンタだろ?」


冷たく、鋭い言葉を発して沈黙を破ったのはきり丸。


乱太郎と一緒にいた時の子供らしさはなく、そこには一人の忍が居た。


「後ろから来たのだから当然だろう。
それが、‥どうかしたのかな?」


全く変化の感じられない昆奈門の声が、きり丸へ質問で返す。


とぼけているというよりは、その動じない様子を見る限り、探っているに近い。


ニコリと微笑み、考えの読めない昆奈門に対し


「それ」ときり丸は彼の懐を指差しながら口を開いた。


「カメラ隠してとぼけたって、バレバレっスよ」


きり丸が視線を向けている昆奈門の懐は、布が極僅かに膨らみが見える。


少年の指摘に、仮面の様な笑みを浮かべていた昆奈門の表情が忍組頭のそれへ変わった。


「いつもいつも、君は私の邪魔ばかりしてくれる。
そんなに私があの子に近付くのが嫌かな?」


口調は優しげだが、彼の漂わせる雰囲気は否と言わせまいと迫る。


「当たり前だ、乱太郎は俺の大切な友達だからな。
アンタみたいな危険な奴が側に来るだけで、乱太郎にまで余計な火の粉が降り懸かる」


キッと鋭い眼で睨み返しながら話される内容は、子供とは到底思えぬ大人びた考えだった。


「流石、土井先生の教え子なだけある」


くっくっ、と喉で笑う昆奈門に少年は茶化されたと感じたのか、ムと眉間にシワを寄せる。


「…それとも、親を亡くしているからか?」








一瞬、2人の空間が凍りついた。


きり丸の表情が、昆奈門を得体の知れぬモノでも見るかの様に歪められる。


だが、すぐに相手は情報収集のプロ・その頭であることを思いだし
いつもの少年・きり丸の顔へと戻った。


「おや、もう少し驚くかと思ったのに‥、君はなかなかの曲者のようだ」

「アンタの足元にも及ばねぇよ、俺なんか」


互いに軽口を叩き合えば、先程までの重い空気は消し飛んだ。






「きり丸にとって乱太郎君が大切なように、私にとってもあの子は大切な人だ。
悲しませたり危険が及ばない様、細心の注意は払わせてもらうよ」


仲直りだ、とでも言うかのように微笑む昆奈門の表情は、あの仮面の様な笑みとは違い、優しさを伴っている。


彼の様子を見て、きり丸もニヤリと笑った。


「じゃあ、俺は全力でアンタから乱太郎を守らせてもらうぜ」


まるで悪戯でも成功したようにニィッと口角を上げたきり丸の言葉に、昆奈門はキョトン、と反応出来ずにいる。


「俺にとっても乱太郎は大切な人だからな」


その台詞がきり丸の口から発せられ、昆奈門は今度こそ込み上げた笑いを漏らした。


「これは1本取られた」




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【友で在り人で在り】雑乱3話

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「す、すみません昆奈門さんっ」


恥ずかしさから、透かさず少年は地面に正座し、赤くなってしまった顔を俯かせてしまった。


「乱太郎君が謝る必要はない」


俯いている乱太郎の頭に、昆奈門の大きな手が優しくのせられる。


「むしろ、君達の普段の姿が見られて嬉しいよ」


常に表情の変えることのない昆奈門が、珍しく微笑み


頭巾越しにではあるが、労るように乱太郎の頭をゆっくりと撫でた。




昆奈門の言葉に安堵して力を抜いた乱太郎は、皆で雑談を再開しようとしたが




その時




「乱太郎〜っ!!」


少年を呼ぶ声は、乱太郎達と同じ年頃のもの。


慌てた様子で駆け寄ってきたのは、やや暗そうな雰囲気を漂わせる少年だった。


「あ、伏木蔵」


3人の元へと駆け寄ってきた少年・伏木蔵は昆奈門の姿を見ると、ペコリと一礼する。


「ちょっと粉もんさん、こんにちわ」


礼儀正しい挨拶だが発せられた名前は、またもや乱太郎と同じ。


「‥忍たまのお約束とはいえ、私の名前はそんなに間違え易いのかな?」

「いえ、お約束なので一応間違えてみました。
改めて、こんにちわ昆奈門さん」


乱太郎達とは違う強かな一年生を見ながら、昆奈門は密かに溜息をついた。


「ところで、何か乱太郎に用事じゃなかったのか?」


話がズレているのを見兼ねてきり丸がそう告げれば、伏木蔵は「あっ!!」と大きな声を上げる。


「食満先輩と潮江先輩の熱いバトルに巻き込まれた立花先輩がキレて、焙烙火矢を使ったんだけど、その爆発に皆が巻き込まれちゃったんだ!」


さらに焦った口調で伏木蔵は言葉を続けた。


「善法寺先輩から『怪我人がいる可能性がある』って。保健委員は全員集合だよっ!」


殺傷能力の高い焙烙火矢に巻き込まれれば、重傷を負ってもおかしくはない。


怪我人がいる、と聞いて乱太郎の表情が一気に引き締まった。


「分かった、私もすぐに行くよ」


乱太郎の返事を聞き、伏木蔵は先に駆け出して行く。


続いてさっと立ち上がった乱太郎だが、一度昆奈門へと向き直った。


「すみません昆奈門、これで失礼します。
きり丸また後でね」


昆奈門へ一礼し、きり丸へは駆け出しながら手を振って去っていく乱太郎。


伏木蔵が向かった先へと消えていく後ろ姿を見送ると


その場に残されたのは、昆奈門ときり丸のみ。




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【友で在り人で在り】雑乱2話

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「相変わらず賑やかだな、忍術学園は」


抑揚の無い落ち着いた低い声が2人の後ろから発せられる。




黒い忍装束、大柄な体、そして顔のほとんどを覆う包帯


「クソタレガキ忍者のちょっと粉もんさん」


乱太郎から出てきた名に、彼はガクリと脱力した。


「タソガレドキ忍者の雑渡昆奈門だよ」


お約束ありがとう、と溜息と共に呟き、昆奈門は乱太郎の隣へと腰を下ろす。


「そうでした」


えへへ、と笑って謝る乱太郎に、昆奈門はニコリと笑い掛ける。


「どうしたんスか、今日は」


ずいっと身を乗り出したきり丸に遮られ、昆奈門は仕方なくそちらへ視線を向けた。


「息抜きにね、ずっと仕事漬けだったものだから」


眉を八の字に歪めて笑う昆奈門を見て、乱太郎が心配そうに首を傾げる。


「大丈夫ですか?あまり無理なさらないで下さいね」


背の低い乱太郎は必然的に上目遣いとなってしまう。


友人を見つめる昆奈門の顔が僅かに赤く染まっている気がしたきり丸は


じと、と厄介なモノを見る様な視線を昆奈門へ投げ掛けた。


そろり


然り気なく乱太郎との距離を詰めてきた男の動きが、きり丸の目に映る。


「乱太郎っ!」


ぐいっ


きり丸は突然、乱太郎の手首を掴んで自分の側へとその体を引き寄せた。


「ななな、何っ!?」


丁度きり丸の胸に顔を埋める形となってしまい、乱太郎から驚きで動揺した声が上がる。


「悪ぃ悪ぃ、蜘蛛がついてたんだ」


ちょんちょん、と頭巾の上を指で示すきり丸に、乱太郎は「蜘蛛?」と聞き返した。


「私、蜘蛛は平気だよ?」


家で農業を手伝っている乱太郎は、普段から触れあっている為に、虫を恐がることはない。


きり丸もそれを知っているはずなのに、どうして?と乱太郎は不思議そうな顔をする。


「‥いや、その蜘蛛……生物委員で世話してる毒蜘蛛に見えて、さ」


とても言い難そうなきり丸の口から出た言葉に、乱太郎は「うひぃえぇーーっ!?!?」と飛び上がりそうな程の悲鳴を上げた。


「どど毒毒っ毒蜘蛛っ!?」

「大丈夫だって乱太郎!俺の勘違いだったんだ、落ち着けって!」


慌てて立ち上がり周囲を見回しだした友人を、きり丸が懸命に宥める。


「だから、見えてって言ったろ‥」

「う、うん‥、そうだったね」


宥められ冷静さを取り戻した乱太郎。


だが、はた、と我に返ると、昆奈門の目の前で晒してしまった痴態に、今度は別の動揺が乱太郎に込み上げる。




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【友で在り人で在り】雑乱1話

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またもやツィッターで語ったネタを使用した小説です

今回はびーえる仕様


組頭が変態になってます、ご注意下さい
あ、組頭が変態なのはいつもかwwww


時代錯誤もはだはだしい捏造小説ですんで、そういうツッコミは無しでお願いします;;




─────────








あぁ、今日も君は天使のようだ




パシャリ




橙の柔らかな髪、マシュマロのような頬




パシャリ




君の愛らしい大きな瞳が、こちらを見てくれないものか












『友で在り人で在り』








「ん?」


放課後、きり丸とお喋りをしていた乱太郎は急に背後へ振り返った。


「どうしたんだ乱太郎?」

「誰かに見られてる気がしたんだけど‥、私の気のせいだったみたい」


話を中断してしまったことに「ごめんね」と謝る乱太郎に、きり丸は「別にいいよ」と軽く笑ってみせる。


「そういえば、きり丸今日のアルバイトは?」

「今日は休み。まぁ、またすぐ忙しくなるだろうけどな」


いつもアルバイトで走り回っているきり丸にしては珍しい。


乱太郎もそう思ったのか、一瞬ぱちくりと見開いた目の動きが止まった。


「そっか、また手伝える時は言ってね、きりちゃん」

「おー、そん時は遠慮なく声掛けるよ」


勿論タダで、とちゃっかりした反応をするきり丸に、「ハイハイ」といつも通り流す乱太郎。


「‥それにしても、しんべえ遅いねー」


いつも一緒のもう一人が来ないことに乱太郎が口を開けば、きり丸は校舎へと視線を向ける。


「用具委員の用事って言ってたから、まぁた修理に走り回ってんじゃねーか?」


何となく乱太郎もきり丸と同じ方向へ視線を向けた。




「ぎんぎーんっ!!」

「いけいけどんどーんっ!!!」




とてつもない大音量の声と、何やら色々と壊された音が響き、2人の耳にも入る。




「‥大変だね、用具委員」

「そだな」


この学園ではすっかり聞き慣れた状況に、乱太郎もきり丸も動じることはない。


寧ろ関わらない方が身の為、と言わんばかりに傍観を決め込んでいた。




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シャーペンがキュッキュッ鳴るの嫌い派です

深夜におこんばんは〜

最近清書やゲームにうつつ抜かしてまたもやブログが疎かになってました


ツィッターで色々と雑乱ネタも仕込みつつ、ストーリー練ったり雑談したり萌え語りしたり


ようやっと雑→乱←きり丸の清書が終わりそうです


しかし愛用シャーペン、クルトガなんですが


俺の筆圧が強い所為か、芯が回らなくなるんですけど…

普段そういう事ないんだけども、集中して力込めちゃうとどうしても芯が平らになる


執筆段階では鉛筆愛用してるからなんかな〜

もしくは2Hの鉛筆使ってる所為?


でもHBだとすぐ削らなきゃならんから面倒いし


Hも良いんだけどね〜

以前買った鉛筆を使い切るつもりでやってるし、途中で捨てるの勿体ないしさ


ま、俺が頑張るしかないって話だよね(笑)

明日も清書頑張ろー
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