701

現在の 私の歌を 軽々と
飛び越えている 十七の「僕」

700

髪を切る 爪切る 痩せる 少しずつ
彼知る細胞 削る 消え行く

699

眠り居る母に毛布を掛けながら
肩の上下を確かめる夜

698

春風に存在意義を希釈され
白い手袋 吹き飛んで行く

697

虚飾の灯 吹き消したまえ 天津風
木々には木々の 暦こそあれ

696

君去りし黄昏の街を独り歩く 貴女の為の生命で歩く

695 夏山吟行

楓の葉一つや二つ色づきて夏は未だに盛りなりけり

夏山や清水ながるる道の底

いざや走れ 日の照る前に日陰まで 雲を傘にし夏渡り往け

695

ぺたぺたと車道を這うていた蛙
彼は轢かれて死ねただろうか

694

空透けて 色は若葉に 変われども
君は「翡翠」と 呼ばれ温もる

(34)

メロンパン メロンのメの字もなかりけり

693

突き付けた胸の刃を押し返す君の呼吸は穏やかであり

692 題詠「結婚」

義兄(あに)になるらしき男の手の爪が 長い その手で姉に触れるな

691 題詠「恥」

君にはさ、色々見せすぎてさ、もうさ
乳房
なんかは恥部じゃないのさ

690 題詠「正」

女子社員計3名は昼休憩
完全無比なる正三角形(デルタ)に座る

689

黒髪のうねりを撫でて就活の乙女が朱く紅引いて消ゆ

688 題詠「ソーダ」

純喫茶コルボ店内 メロンソーダの泡の音のみ響く 黄昏

687 題詠「梅雨」

雨の無い六月の街 どこまでも薔薇の香りが繋がっている

686 題詠「革命」

革命前夜 世界史Aの教科書は予言書じゃない 震えよ、止まれ

685

夏風邪を早くひかなきゃ
引き出しの桃缶 彼が食べちゃう前に

684 題詠「小雨」

雨少々 ぱらりとふりかけるだけで
六月風味の街になります
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