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そうやってフリを続けるのか




最初からフレンが誰の手をとるかなんて知っていた。長い時間を一緒に過ごした俺じゃなくて、短い時間でも同じ理想を抱くアイツを選ぶことなど分かっていた。
当たり前のように従い、どんなに先に行かれようとも、必死になって後を追うフレンの姿を何度も見ている。同じ速度で歩いてくれる訳でもなく、かと言って手を差し延べてやる訳でもない。
そんな奴に何でついていけるんだよ。何でお前はアイツを正義だと思えるんだよ。そうまでして共にありたいと願ったくせに、何で、そんな哀しそうな顔をしてるんだ。
俺は目の前に佇むフレンの肩を掴む。俺を見ようとしないフレンに苛立ちを覚えた。それと同時に、かたかたと小さく震えるフレンを守りたいと思った。俺の手で。


「いつまでお前はアレクセイのやり方に付いて行く気なんだ。テメェの心中さえも教えてくれねぇ団長を何で信じれる!?」


掴んでいた肩を揺さぶれば、細い身体もそれに従う。今だフレンは黙り込んだまま俺と目を合わせようともしない。それどころか、俯いてしまった為に表情さえも伺えなくなる。
だが、今、フレンがどんな顔してるかなんて見なくても分かる。幼い頃から一緒にいたから。一番近い所で、ずっと、見ていたから。


「お前の正義はこうゆうことか?力にものを言わすのがお前のやり方か!?答えろよ、フレン!!」


名前を叫んだ瞬間にフレンが伏せていた顔を勢いよく上げた。ようやく俺を映したその目を見て、俺は驚愕する。いつもは澄んで透明な青色だった瞳が、今は曇り濁った蒼になっていた。いつだって真直ぐな意思を表すかのような色をしていた筈なのに。
何が彼をこうしたというのだ。前みたいに、慈しみを浮かべ嬉しそうに笑うお前はどこにいった?心配や怒りに小言しては、最後には優しく俺の名を呼んでいたお前はどこに消えた?お前の心は荒れ果て、絶望する現実に苦しんでいるのに、何故アイツは傍にいて支えてやらない?
痛いと、寂しいと訴えたいくせに、それでも尚、フレンは微笑みを浮かべる。強がりなんかじゃない、何もかも諦めたような顔で、笑みの形を作ろうとする。
からからに渇いた喉から無理して絞り出したであろうフレンの声は、いつもと違って掠れていた。


「仕方ないんだよ、ユーリ。信じてしまったのだから……僕は待つしかないんだ」

「どうして、お前はっ、……」

「心配してくれて、ありがとう。でも、大丈夫だ。あの人の傍にいられるだけで、僕は、……幸せだから」


幸せな奴が、そんな風に憂いを帯びた顔するわけない。悲哀に打ちのめされた表情するわけないだろ。


「いつまでそうやって…フリをしているんだ?」


本当は温もりが欲しいと、傍にいてほしいと分かってるくせに、望んでいるくせに。
満たされているフリをして、沸きあがる全ての感情に蓋をして、笑って、それでお前は本当に幸せなのか?なぁ、自分は幸せだと言い切れるのか?


「……幸せ、なんだよ…」


自分に言い聞かせるようにして呟く声。今にも闇に飲み込まれそうなフレンをもう見ていたくなくて腕を引き寄せ、堪らず強く抱き締める。
それなのに、フレンは微々たる抵抗さえすることもなく。それが、今の彼の胸中を表しているかのようで辛かった。誰かに縋ることさえ忘れて、このまま信じ続けていくのだろうか。
意地はって強くあろうとするけど、本当は脆く危ういこの股体を守りたいと願う。なのに、いつからか歯車は噛み合わなくなっていたんだ。繋ぎ止める方法も、この場所から救いだす手段さえもない俺は、ただ彼に手を差し延べることしかできずにいる。
結局は同じ様なものだ。俺だってフレンを待つしかない。強行することなんて出来ないから。


だから、今は、今だけは。
腕の中で震えながら、小さく嗚咽を漏らすこの愛しい人を抱き締めて、自分が傍にいるのだということを伝えたかった。
叶うのなら、このまま夜が明けずにいてほしいと思って、濡れる瞼に唇を落とした。














アレクセイでてきてないけど、アレフレと言い張ります。(どーん)
でも、あれだ。結局はユリフレになるという(笑)

アレフレって鬼畜な匂いがぷんぷんします。そんでもって傷付いたフレンをユーリが慰めてる感じがします。←私だけ!?





 
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