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続・欲に濡れた手を繋ぐ R-18

※温いですが、性的表現が含まれます。





『ずっと一緒にいたい』
『僕はユーリと生きていきたい』


祈りにも似たあの言葉に
どんな意味があって、
どんな想いが込められてたかなんて、
俺はずっと知らなかったんだ。

それでもフレンはいつだって、
……綺麗に笑うから
















ガタンッという物音に後ろを振り返った。そこには膝から崩れ落ちたフレンが忙しない呼吸を繰り返しながら、震える身体を抑えるように小さく丸くなっていた。伏せられた頭から覗く頬は赤い。以前、彼が風邪をひいた時も今のような症状を起こしていたが、その時とは理由が別物だ。
原因が違うとなれば対処の仕方も当然異なる。それは俺がとるべき処置の仕方も異なるということであって。そんな当たり前のことに軽く目眩がしたが、俺よりもずっと参っているであろうフレンを見て、今ここで投げ出すことも出来るわけがなかった。


「はっ…ユ、リ…熱い…」


吐息混じりに訴えてくるフレンの声はか細く、頼りない。いつも凛とした音を紡ぐ唇からはただ熱いとばかりうわ言のように繰り返される。
ひとまず楽な体勢をとらせる為、ベッドに運ぼうとフレンに手を伸ばした。縮こまった身体はビクッと跳ねたけど、抵抗することなく視覚から確認した俺の腕に擦り寄ってくる。そのまま抱き上げた時、思った以上の軽さに内心で驚いた。


「フレン…大丈夫か?」


寝台に寝かしたはいいが、虚ろに彷徨う瞳には先程より苦しげな色が強くなっている。このフレンを犯す熱の解消させる方法を俺は知っていた。また、それを実行すれば今まで通りの関係でいられなくなることも知っていた。
だけど、フレンを一人にして自分の手で己の中に渦巻く熱を解放させるのも気が引けた。というより、俺自身がそれを拒んだ。そうすることが何よりも最善の方法だと分かっていたのに。

『お前はフレンのことどう思ってるんだよ』
『嫌がるかどうかは分からないぜ?』

脳内で繰り返されるケイトの言葉。何を言いたくて、何を伝えたかったのか俺はまだ知りえない。俺がフレンのことをどう思ってるのか以上に、フレンが俺のことをどう思っているのかの方が俺としては重要なことだった。
フレンが下町の男や女達に慕われていることは随分前から知っていた。知ったと同時に俺の中で焦りにも似た感情が沸き上がり、フレンの隣りを誰かに取られまいと奮闘していた気がする。決してこの青年を独占したいんじゃないのに。
ふいに、フレンが俺に手を伸ばす。不思議に思い屈んで顔を近付けてやると、フレンは俺の首に腕をまわし距離を詰めた。俺の顔のすぐ横にフレンの顔があり、耳元にかかる息がくすぐったい。


「フレン?」

「ユー、リ…に、触りた、い」


懇願するように落とされた言葉に不覚にもうろたえる。フレンは俺に触れたいと言った。それがどんな意味を持って、どんな気持ちで告げてきたのかは分からないが、自分の中に重くのし掛かっていた理性の枷が外れた気がした。
鼻先がつきそうな程近付いてフレンの顔を覗きこむ。やはり綺麗な藍玉は揺れていたけど、意外にもしっかりと俺を見つめ返していた。


「…今から俺がすることが嫌だったら殴り飛ばしてでも抵抗しろ。決めるのはお前自身だ。意味分かるよな?」


挑戦にも似た言をフレンはなんて思っただろう。こんな賭けにも近い気持ちで、この大切な親友に触れていい訳がないと分かってはいたが、確かめずにはいられなかった。
フレンは数回瞬きを繰り返すと、ふと媚薬による熱をも忘れさせるような柔らかい微笑を見せた。

「ユーリなら…、嫌じゃない、よ…」


それは無理をして言ったことでも熱に侵されたいいかげんな気持ちからくるものでもなく、フレンの心からの言葉であると判断するのに僅かに時間を要した。フレンの手が俺の手に触れてくるのを強く握り返す事で応えた。


「後で後悔すんなよ」

「……後悔なんかしない」


交わす言葉はそれだけで十分だった。
フレンが迷わず了承した理由なんて俺は知らなくていい。
















「ん、ふ……あ、ァ…」

「フレン…」


服を剥ぎ、生まれたままの姿にさせてフレンの身体に手を滑らせれば、快楽により艶のある声が絶え間なく零れる。当たり前の話だが、女との性交しか経験のない俺だけど何故かフレンの感じるところは何となく把握できた。どこに触れてもいい反応を返してはくるけど、特に耳の裏と首筋と鎖骨の付近、腹の方が弱いらしい。そこらを重点的に攻めれば悦楽に歓喜する。


「…はぁ、っ…ユーリぃ…」


下腹から指を滑らせ引き締まった太腿を撫でると、無意識に脚を少し開く。その柔順な様は抱かれ慣れた淫媚な女性のようにも映るのに、どこか幼くて可愛らしい。これがフレンの魅力なのだろうと頭の角で思った。気高く、麗しい塊を持ちつつも危うさを秘めた脆い心。それを最初は純粋に守りたかった。

──でも、今は?

涙の膜を拵えた双眸が見つめてくる。急に動かなくなった俺に不安を覚えたのだろう。小さい子供をあやすように髪を梳いてやると、心地良さそうに目を細めた。どんな状況下でも、こうゆう所は変わらないらしい。それに嬉しさが込み上げる。
添えていた手を中心へとやり、既に固くなっている自身をゆっくりと上下に擦ってやると、フレンは悦楽に蕩けたような顔を見せた。


「あぁ…ん、ぅ…あっ…!」

「気持ちいいか?」

「ん…、ユーリだか、ら…」


にっこりと微笑んだかと思うと、また直ぐさまに快感に打ち震える。溢れて止まらない蜜が俺の手やフレンの内股を汚していく。動かす度にくちゅくちゅと鳴るいやらしい水音が羞恥を煽っているらしく、赤くなった顔を両腕で隠そうとしているが、やんわりとそれを制した。
何故止めるんだと言わんばかりに迫力のない瞳で睨んできたが、それを俺は笑いながらいなした。


「お前の感じてる顔見てたいんだよ。いいだろ?」

「で、も…恥ずかし…っ」

「じゃあ、そんなこと考えられないようにしてやるよ」

「ユ、リ…?ひぁっ…!」


尖端から滴る白濁をローション代わりに指に絡ませ、閉まった秘部に差し入れる。滑りが良い為に難無く飲み込んだが、フレンは初めての感覚に戸惑いを隠せずにいた。たぶん、というか確実に女性との性交の経験すらないであろう彼が、男の自分と行為に及ぶことに怯えない訳がない。素肌に触れる感触におじげつく間も与えない程、官能の波を引き出そうとはしているが、体内に異物を入れられている感覚というのは、たぶん相当きつい筈だ。それでもフレンは文句一つ言わずに、なんでもない風に装ってはいるが、寄せられた眉頭が辛さを表している。
なら、俺は強がりな彼に騙されたふりを続けることにした。その代わり、なるべく優しく丁寧に後孔をほぐして、恐怖を上回る快楽を与えることに専念した。


「ぁ…、あっ、や…」

「もうちょい慣らすからな。我慢できるか?」

「ふ…ぁん、…へ…き…」


指を増やすと、シーツを強く握りしめる手に力が籠る。生理的な涙に濡れた顔が自分を見上げ、力なく笑った。その表情がどこまでも綺麗で妖艶で、下半身に熱が集まるのを感じる。
媚肉を引っ掻きながら、内部を広げていく。奥まった所を突いた時に、フレンの身体は一際大きく揺れ快楽に身悶えた。どうやら弱い部位だったらしい。強い刺激によって引き気味になる腰を押さえて、俺はそこを重点的に攻めていく。


「うぁ…ユーリ、そこ…やっ…」

「嫌じゃなくて、イイだろ?」

「……っ、あ…あぁ…」


指を中で広げたり曲げたりと少し乱暴に動かしてみたが、大分緩くなった蕾は難無くその行為を受け入れる。女の窒のように濡れそぼったそこは、物足りなさにひくひく蠢き誘っているようだ。
そろそろ大丈夫だろうと判断した俺は指を引き抜き、代わりに先程から痛いほど張り詰めていた自身を取り出す。比べるつもりはないが、今までこんなにも気分が高揚し、相手を欲する事は初めてだった。
男だとか女だとか親友だとか、もうどうでもいい。今、この瞬間…否ずっと前からフレンという人物が欲しくて、手に入れたくてしょうがなかったんだから。


「フレン、挿れていいか?」

「…いい、よ……僕も、ユーリがほしい…」


羞恥に紅潮した顔で、遠慮がちに告げられた言葉に迷いはない。
すらりと伸びた白い両足の膝裏に手を差し、胸につきそうなほど曲げる。するとサーモンピンクのそこが、ひくひくと物欲しそうに伸縮しているのが見えて、俺は誘われるがままに自分の猛ったものを挿入させた。


「ぁ…あ、く…っ」

「…っ、きっつ…フレン力抜け」

「できな……あっ!」


力む身体を和らげる為、再びフレンの自身に手を添えて触ってやる。上体を曲げ、淡く色付く突起を舌で転がすとフレンの強張った身体からは徐々に力が抜けていき、きつく締め付けていた秘部も緩くなった。それを見計らって一気に奥まで突くと、フレンは目を見開き衝撃に耐えた。
熱く絡み付く内壁の狭さに、気を抜けば意識までもっていかれそうになる。一旦、抜けそうになるぐらいまで引き、またゆっくりと埋めていく。フレンは堪えることなく甘い嬌声をあげ続けた。


「あ、ん…ぁっ、ユーリ…!」


シーツを手探りに掻き寄せる腕を取り、俺の肩へと導いてやる。その行動にフレンは一瞬きょとんと見つめていたが、すぐに柳眉を下げて泣きそうな顔をした。どんな事をしても笑ってくれていたのに、この些細な行動には悲痛な面持ちを作ったフレンに対して疑問に思う。蔑ろにしたでもないのに、何故こんな表情をするのだろうか。こんな哀しそうでいて寂しげな表情を。


「…優しく、しないでくれ…」


言われた言葉の意味が分からず眉根を寄せる。既にフレンはさっきまでの哀し気な色を引っ込め、困ったように笑っていた。



「…なんでだよ?」

「……勘違いしそうになる…」

「勘違い?」


俺が思い違うことがあっても、フレンが何故そうなってしまうのか分からない。薬のせいで高められた熱を解消する、という名目で触れている汚い俺と違って、フレンが何を思うところがあると言うのだろうか。
嫌々じゃないにしろ、親友だと思っていた奴に抱かれているという事実に心苦しくなったというなら、俺は今すぐにでもこの行為を止めるつもりでいた。だが、フレンの呟いた言葉は俺の想像を遥かに肥えるものだった。


「……き…だよ」

「え…?」

「ごめん、ユーリ…君が嫌なことを僕はさせてる、のに…」


情事からくるものでない涙にフレンの蒼の瞳が揺らめく。薄く開いた唇がわなわなと震えているのを見て、そんな顔をさせたくなくて思わず強く抱き締めてしまう。繋がったままだった為にフレンは掠れた声を漏らしたが、快楽に惑わされてる風ではない。
背中にまわしたフレンの腕が恐る恐る俺の衣服を掴む。


「どうしようもない程…嬉しいんだ……っ」

「フレン…」


とうとうフレンの瞳から堰を切ったように涙が零れた。それは止まることを知らないかのように溢れ、シーツを濡らしていく。


「好きだよ、好き……ユーリが…大好きなんだ……」

「……!!」


嗚咽混じりのフレンの告白は俺の聴覚に溶けるように響いた。知らなかった彼の気持ち。知ろうともせず、分かったつもりでいた。本当に大切な想いに気付かないままでいたのに、そんな俺を責める事なく隣りでいつも笑っていた。
そこで俺はようやく自身の気持ちにも気付いた。この親友として側にあれるポジションを失うことに怯えていたのは、俺も同じだったということ。大事な人という曖昧な言葉で片付けれるような存在ではないというのに。
フレンの頬に流れる雫を指先で拭ってやる。俺へと視線を戻したフレンに優しく笑いかけて、俺は内に埋めたままだったものを動かした。


「ひ、あ…!」

「んな可愛いこと言うな」

遅過ぎたかもしれないけど、まだ間に合う。俺だってお前に言ってないことがたくさんある。
伝えたい気持ちが溢れているんだ。


「俺、お前が大事だ…」

「ぁっ…ユーリ…!」

「お前にずっと側にいてほしい。お前じゃなきゃ嫌だ」

「ん、ぅ…あァ…はっ」

「フレン好きだ…愛してる」

「…ッ!!ユー、リ…ひぁ!」


信じられないと目を見張るフレンに、俺は自分の想いを届けようと唇を重ねた。柔らかい下唇を甘噛みして、少し開いた隙間に舌を滑り込ませる。奥に引っ込んだままのフレンの舌を絡ませて、強く吸い付く。
角度を変えて深い口付けを施しながら、腰を使った。くぐもった喘ぎが俺の口腔に響く。さっき見つけたフレンの感じる所を何度も突き上げて、絶頂を促す。
ぎりぎりまで引き抜き、最奥に叩き付けたと同時にフレンは背に爪をたてながら果てた。遅ればせながら、俺もフレンの中へと熱を吐き出し、繋がったまま彼の上に倒れ込み、抱き付く腕に力を混めた。
そして耳元で囁くんだ。

お前だけの為の誓いの言葉を……






















「いや〜、まさか本当に上手くいくとわなぁ」


おちゃらけた仕草でケイトは俺に言う。
あれから数日後、再び訪れた来訪者は俺とフレンを交互に見つめるなり、感心したような声をあげて満面の笑みを見せた。俺達に漂う雰囲気で何かを察したらしい。そうゆう所は妙に鋭い男だ。


「お前…知ってたな?」

「知ってたって何を?」

「だから…フレンが俺のことをどう思っているか」

「ああ、それね。知ってたよ。見てれば分かるでしょ」


あっさりと言いのけた友人に軽く不満が込み上げるが、今回は目を瞑ろう。余計なお世話な気もするが、ケイトの助け船がなければ俺達はお互いに未だ悶々と考えこんでたかもしれない。


「それにしたって他にやり方があっただろ…」

「あれぐらいしなきゃお前らくっつきそうにないからな。それに…」

「それに?」

「最中のフレンの様子でも教えてもらおうかな〜なんて。それをオカズに俺も………って、ユーリ!冗談だから!」


静かに拳を握り、立ち上がった俺を見てケイトは慌てて制する。どうにもこいつは一発殴ってやらないとなんだか気が済まなくなってきた。
決断すれば早い、とりあえず殴ろうか。
不穏な空気が漂い始めた頃、丁度いいタイミングで扉が開く。買い物袋を持ったフレンが中へと上がり込み、部屋を見渡すなり見つけた友人の姿に顔を綻ばせる。


「いらっしゃい、ケイト。来てたんだね」

「フレン〜!ユーリが俺を苛めるんだ」

「ユーリが?駄目じゃないかユーリ」

「まだなんもしてねーよ」

「まだって…まったくもうユーリは…」


腰に手をあて呆れた素振りを見せるが、フレンの表情は態度と裏腹に至極穏やかなものだった。
持っていた袋を机に置き、中身を取り出す。出てきたのは小瓶に入ったジャムと香ばしい匂いのするパンだった。


「おっ、うまそうなパンだな」

「そうだよね。コーヒー用意するからお昼にしないか?」

「さんせ〜!」

「ってお前も食ってくのかよ!?」

「いいじゃないか、皆で食べた方が美味しいよ。じゃあ準備してくるから、ちょっと待っててくれ」


ぱたぱたと音をたてながらキッチンへと向かったフレンの背を見送る。すると、にまにま笑ったケイトの顔が視界に入り、俺は思い切り嫌な顔をした。


「なんだよ」

「いや、ほんっと好きなんだなぁ〜って」

「はぁ?」


ケイトは満足そうに息を吐きながら、遠くを見るように目を細めた。この男はいい加減で軽そうに見えても、その実、胸中に秘める想いはとても繊細なのだということは長い付き合いで感じたことだ。
爽やかな風がカーテンを揺らす。不意にケイトは真剣な声で「なぁ、ユーリ」と、俺を呼んだ。


「……大切にしてやれよ」


彼の横顔は大きな歓喜とそれと同じぐらいの悲哀と両極端な色を拵えていた。その有様を敢えて俺は気付かないふりをした。たった一言だったけど、ケイトのその想いを一心に託された言葉をもう一度、心で繰り返す。
俺は揺るぎない、力強い音を持って彼へと言った。


「当たり前だ。俺が守ってみせるさ」


俺の返答にケイトは何も言わずに頷いた。
部屋中にコーヒーのほろ苦い香りが立ち込めてくる。カタカタ食器のぶつかる音が響いてきた。

朗らかな笑顔をしたそいつが部屋に戻ってきたのは、それから間も無くのことだった。






『ずっと一緒にいよう』
『俺もフレンと生きていきたいから』


幼い頃に誓った言葉を繰り返す。
たった一人の愛しい人を守っていく為に。












○後書き○
今まで書いたものの中で一番長い…!
というか何が言いたいのか分からない文になってしまい申し訳ないです(;_;)
要約するとフレンはユーリのことが大好きで、ユーリもフレンが好きなんだけど、親友だからと一線引いていて、それを見兼ねた友人のケイトが一肌脱いだということです。
極致に立たされれば嫌でもお互いの感情はぶつかるであろうと考えての行動です!あっ、ちなみに気付いた方もいらっしゃるかもしれませんが、ケイトはフレンに片思いしてました。好きな人をずっと見てたから、その視線の先に誰が映っているのか分かったのですね。

オリキャラをいきなりだしてしまいまして、すみませ…(ノ_<。)
楽しんでいただけたなら幸いですvv



 
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